救済 仏教における救済

救済

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/21 12:36 UTC 版)

仏教における救済

仏教における救済とは、個人が悟りを得て、輪廻から外れ(解脱)、苦しみの多い(本質的に苦である)この世に二度と生まれてこない(転生しない)ことである。

つまり仏教における救済とは、「輪廻転生」という、仏教がバラモン教から引き継いだ、世界の仕組みに関する「概念」(世界観)をそもそもの前提としている。

そして「輪廻転生」は、「転生」という概念を前提としている。そして「転生」は、「霊魂的な「何か」(バラモン教では「アートマン」、仏教では「因果」)の存在」という概念を前提としている。

しかしバラモン教や仏教では、そうした「転生」が輪(環)のように永続する(輪廻する)ことで、「転生」そのものは「救済」ではなく「苦」と化しており、転生の輪(環)=輪廻から外れることを「救済」とするという、さらにひねくれた(発達した)構造となっている。

(通俗的には)悟りを啓いた者を「ブッダ」と呼び(伝統的には「仏陀」は歴史的人物としての釈迦を指す)、人間は誰でも(可能性としては)「ブッダ」になることが出来るとされる。

本来、仏教は、個人が悟りを得ることで輪廻から外れようとする、「個人救済」「自力救済」の営みから始まったものだが、大乗仏教が興ると自分のみならず他者(衆生)も救済しようという方向性が現れた。

また阿弥陀信仰や観音信仰や弥勒信仰や地蔵信仰など、菩薩により救済される「他力救済」もあるが、本来の仏教の「自力救済」の論理からはありえず、西方の異教(ゾロアスター教ミトラ教ネストリウス派キリスト教・マニ教など)に由来する、仏教の皮を被った救世主待望思想の面が強い。

なお、弥勒菩薩は56億7000万年後に降臨するとされると通常言われているが、初期経典の記述からは5億7600万年が正しい。これは現在弥勒が転生し修行中の兜率天での天寿を計算で出したものである。

平安時代には釈迦入滅末法の世が到来するという不安に戦乱も重なり、終末の後の救済を求める人心を反映してか浄土教が浸透していった。

こうした(本来の仏教の論理ではありえない)仏教の「他力救済」の面が、日本におけるキリスト教の受容に繋がっていることは否めない。


  1. ^ 大高善兵衛『読史随筆』赤堀又次郎 著 (中西書房, 1928)


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