国鉄ED79形電気機関車 形態区分

国鉄ED79形電気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/01 09:46 UTC 版)

形態区分

基本番台

ED79 8(2004年撮影)

21両(1 - 21)が改造された。改造種車は後期の車両に集中している。

屋根上に安定抵抗器カバーを設置し、運転室側窓はHゴム固定+落とし窓から引き違い式のアルミサッシに改造された[4]運転席側の側窓下の位置には青函無線用の板状アンテナを設けている。外部塗色は交流形電機標準の赤2号である。

改造箇所の名義は土崎工場(現在の東日本旅客鉄道(JR東日本)秋田総合車両センター)・苗穂工場・大宮工場(現在のJR東日本大宮総合車両センターとJR貨物大宮車両所)のほか、工期短縮のため東芝(府中)や日立製作所(水戸)といった車両メーカーに工事を委託した車両も存在する。

100番台

ED79 106+ED79 10(五稜郭駅、1991年撮影)
改造により運転台側窓が引き違いサッシとなったED79 109(五稜郭駅、1990年撮影)

貨物列車を重連で牽引する際の補助機関車として使用するため、土崎・苗穂・大宮の3工場で13両(101 - 113)が改造された。改造種車は前期の車両に集中している。

屋根上の回生ブレーキ用抵抗器は非装備、制御装置も種車の磁気増幅器+低圧タップ切換器をそのまま搭載する。常に重連の函館側に連結して運用するため、運転台の側窓改造は函館側(第2エンド側)のみ施工され、青森側(第1エンド側)の運転台は種車の固定窓+落とし窓のままである。ただし107・109・110の3両は、種車のED75時代に側窓が(1エンド側も)引き違いサッシ化されており、ED79への改造に際して特に手は加えられていない。保安装置は、側窓同様に本線運転で先頭となる函館側の運転台に ATC 受電器のみを設置する。ATC 装置本体は未設置のため、単独では海峡線の走行はできない。外部塗色は赤2号である。

50番台

ED79 58と51号機の重連(2009年撮影)

津軽海峡線の貨物列車増発に対応するため、1989年に東芝で10両(51 - 60)が新製された。

基本番台とほぼ共通の仕様で製作されたが、ED76形と同じように前面窓を室内側に5度傾斜させ、前面窓直上にツララ切りを装備する[10]。JR貨物の新製機であるが、客車列車牽引を想定し電気暖房装置を装備している。最高速度は100km/hと基本番台・100番台よりも低くなっている。台車は一体圧延車輪を使用するDT129T(1エンド側)およびDT129U(第2エンド側)である[11]。外部塗色は車体がコンテナブルー+白、運転席の側扉は赤1号、床下機器は灰色である[12]。青函ATC受信器は基本番台と異なり、上り列車用L信号、下り列車用U信号の双方を受信可能で、自動判別するため機関車の向きが変わっても、青函トンネルを走行可能である[10]。ただし、ジャンパ連結器は基本番台と同じく片渡り構造となっている。56号機以降は製造当初、EF81形450番台と同じく裾周りに青帯が入っていた。

電磁ブレーキ指令回路はEF66形電気機関車(100番台)に準じ、電空帰還器を用いる構造から、カム接点付きのブレーキ弁に変更されている。

主要諸元

ED79形 主要諸元表
番台区分 基本番台 100番台 50番台
全長 14,300 mm
全幅 2,800 mm 3,074 mm
全高 4,199 mm 3,878 mm 4,280 mm
運転整備質量 68.0 t 67.8 t
最高運転速度 110 km/h 100 km/h
電気方式 交流 20kV 50Hz
軸配置 Bo-Bo (動軸 4)
動力台車形式 DT129T、DT129U
主電動機 MT52C形 × 4 MT52形 × 4
定格出力 1,900kW(1時間定格)
定格引張力 12,160 kgf(1時間定格)
定格速度 56.5 km/h(1時間定格)
制御方式 無電弧低圧タップ切換(タップ間電圧連続制御)・弱め界磁制御
制御機器 サイリスタ シリコン整流器・磁気増幅器 サイリスタ
ブレーキ方式 EL14AS自動空気ブレーキ、増圧装置
回生ブレーキ サイリスタインバータ方式 なし サイリスタインバータ方式
保安装置 ATC-LATS-SN ATC-L・ATS-SF
製造初年 1985年 1989年
備考 ED75形700番台からの改造 JR貨物による新製

注釈

  1. ^ この年はEF66型100番台EF81形500番台も増備されている
  2. ^ MT52Cは1991年、1992年に増備された関門トンネル用のEF81形450番台でも採用された。
  3. ^ 国鉄時代以来、交流電化区間で運転される電気機関車は、進行方向後ろ寄りのパンタグラフのみを使うことになっており、北海道でも1968年(昭和43年)に函館本線が交流電化された際に投入された、試作機のED75形501と量産形のED76形500番台は同様の扱いであった。しかし、1975年(昭和50年)頃から2エンド側(上り、小樽方)を常用、1エンド側(下り、旭川方)を予備とする扱いに変わっており、ED79形も函館本線全体で見ると同様の扱いとなっている。
  4. ^ a b c 1987年3月1日以降は秋田運転所秋田支所
  5. ^ 「ドラえもん海底列車」は2003年以降781系電車を用いて運転された。
  6. ^ JR旅客6社のうち、発足以来電気機関車を保有したことがないJR四国を除く5社で電気機関車を廃絶したのは、2008年(平成20年)のJR東海、2012年(平成24年)のJR九州に次いで3例目となる。

出典

  1. ^ 『車両技術』180号 日本鉄道車輛工業会 1987年 p.3
  2. ^ a b c d e 『車両技術』180号 日本鉄道車輛工業会 1987年 p.4
  3. ^ 『車両技術』180号 日本鉄道車輛工業会 1987年 p.5
  4. ^ 鉄道ファン1990年10月号75p、「近代形電機転身の記録6」より。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『鉄道ピクトリアル』通巻712号、p.62
  6. ^ a b c d e f 『鉄道ファン』通巻579号、p.33
  7. ^ a b c d e f g 『鉄道ファン』通巻519号、p.84
  8. ^ 『鉄道ファン』通巻484号、p.87
  9. ^ 『鉄道ファン』通巻496号、p.86
  10. ^ a b 『車両技術』187号 日本鉄道車輛工業会 1989年 p.9
  11. ^ 『車両技術』187号 日本鉄道車輛工業会 1989年 p.8
  12. ^ 『車両技術』187号 日本鉄道車輛工業会 1989年 p.4
  13. ^ 『鉄道ファン』通巻471号、p.83
  14. ^ a b 『鉄道ピクトリアル』通巻712号、p.63
  15. ^ a b 「JR 各社の車両配置表 平成21年4月1日現在」 - 『鉄道ファン』 2009年7月号 No.579[要ページ番号]
  16. ^ 鉄道ファン編集部、2016、「北海道旅客鉄道(本誌2016年7月号特別付録 補遺)」、『鉄道ファン』56巻(通巻665号(2016年9月号))、交友社 p. 208(JR旅客会社の車両配置表・データバンク2016、補遺)
  17. ^ 鉄道ファン編集部、2016、「JR旅客会社の車両配置表」、『鉄道ファン』56巻(通巻663号(2016年7月号))、交友社 p. 5(別冊付録、北海道旅客鉄道・機関車配置分)
  18. ^ a b 『鉄道ファン』2007年4月号、交友社、2007年、p.127
  19. ^ 鉄道貨物協会『2015 JR貨物時刻表』p.220
  20. ^ 電気者研究会『鉄道ピクトリアル 2015年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑 2015年版』p.72
  21. ^ 『鉄道ピクトリアル 2015年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑 2016年版』p.58
  22. ^ 2016年3月時点で五稜郭機関区から本形式の配置がなくなっている。出典:鉄道貨物協会『2016 JR貨物時刻表』p.220


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