仮面ライダーJ 仮面ライダーJの概要

仮面ライダーJ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/06 00:31 UTC 版)

仮面ライダーJ
監督 雨宮慶太
脚本 上原正三
原作 石ノ森章太郎
製作
ナレーター 飯塚昭三
出演者
音楽 川村栄二
主題歌 BYUE「心つなぐ愛」
撮影 松村文雄
編集 菅野順吉
製作会社
公開 1994年4月16日
上映時間 46分
製作国 日本
言語 日本語
前作 仮面ライダーZO
次作 劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4
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同時上映は『劇場版 忍者戦隊カクレンジャー』『ブルースワット キック・オフ! ニュー・ヒーロー』。

概要

仮面ライダーシリーズで、原作者である石ノ森章太郎が生前に制作に関わった最後の作品[2][3]。前年、東映スーパーヒーローフェアのメインプログラムとして公開された『仮面ライダーZO』に続き、劇場用オリジナル作品として制作された。

この作品の一番の特徴としては、「主人公・仮面ライダーJが巨大化する」ということが挙げられる[4][2]。「仮面ライダーの巨大化」には前例として1993年に制作された『ウルトラマンVS仮面ライダー』があり、この作品が好評だったことが、仮面ライダーの巨大化の後押しとなった[5]

作風としては、当時ブームであったエコロジーを反映していることが特徴で、雄大な自然と並行してヒロインの少女・木村加那が公害で死んだ動物の墓を作るシーンや開発作業で切り崩された山林の情景などが挿入され、作品のテーマを端的に表現している。

なお、前作『仮面ライダーZO』や前々作『真・仮面ライダー 序章』と同様、平成に制作された作品であるが、『仮面ライダークウガ』以降のいわゆる「平成仮面ライダーシリーズ」には含まれていない。

あらすじ

世紀末の地球各地で異常気象が発生。これはかつて恐竜を絶滅に追いやった宇宙怪物集団フォッグが、再び地球に来襲したことを示す前兆であった。人間を餌に幼獣たちの大孵化を企むフォッグの女帝「フォッグ・マザー」は、自然を愛する心優しき少女・木村加那を儀式の生贄として選び、連れ去るよう王子・ガライを含む幹部たちに命令する。

一方、環境破壊を憂い、その現状を多くの人々に訴えようとするカメラマン・瀬川耕司はレジャーランド建設のための大規模な開発工事によって汚染された山間の湖の取材の最中に加那を狙うフォッグの襲撃を受ける。加那を守ろうとする耕司だったが、返り討ちに遭い谷底へ落とされてしまう。

一度は絶命した耕司は、地空人と呼ばれる人々によって改造蘇生手術を受け、Jパワーの戦士・仮面ライダーJとして復活。生贄にされる加那を救うべく、フォッグに立ち向かうのだった。

登場人物

瀬川 耕司せがわ こうじ / 仮面ライダーJ
野鳥や自然風景を主に取り扱う、新進のネイチャーカメラマン[6]。26歳[7]。自然環境破壊に関心が強く、オートバイで野営の旅をしつつ調査・取材を続けている。レジャーランド建設のための大規模な開発工事によって汚染された山間の湖を取材するために山に入り、フォッグと遭遇。アギトに崖から落とされ、絶命するが、その強い勇気と正義感、そして地球の環境を守ろうとする心を地空人に認められ、蘇生改造手術を受けて仮面ライダーJとして蘇り、フォッグから地球を守る使命を受けた。
  • 望月は、普通の人間であった時と、改造人間となった後との差をつけて役作りをしたという[8]
木村 加那きむら かな
耕司がレジャーランド建設のための大規模な開発工事によって汚染された山間の湖を取材するために山に入った際、知り合った少女。9歳。生命を慈しむ心優しい性格で、公害や環境破壊で死んだ小動物や虫たちの墓を作り弔っている。何の抵抗もなく墓に花をあげた耕司を慕い、野営中の彼にコーヒーを差し入れに来たが、フォッグに大孵化の儀式の生贄として狙われ、拉致されてしまう。山の麓に住み、千恵ちえという祖母がいる[9]が、登場シーンはカットされた。
地空人ちくうじん
地中の奥深くで、Jパワーを糧として生きる地上人とは別の人類[7]。劇中では男女が一人ずつ登場。優れた科学力を持つが、地上の光に弱い上、下半身が木の根のように大地に根付いていることから著しく行動範囲が狭い[7]ため、フォッグと戦う者として、大自然と心を通わせることのできる人間を捜し求めていた。耕司の自然を愛する心を認め、彼に蘇生改造手術を施し、フォッグ打倒の使命と仮面ライダーJの名を与える。
諸元
ベリー
体長 15 cm
体重 215 g[10]
ベリー
地空人の代理人である知性を持つ巨大なミュータントバッタ。地中から出られない彼らに代わって地上を飛び回り、耕司に助言を与える。あらゆる国の言葉を話すことができ、高速で空中を飛行できる。

注釈

  1. ^ 後に上原正三が著した小説版においては「ユピテルJupiter)」と称される[15]
  2. ^ 資料によっては、スズキTS-200と記述している[25]
  3. ^ フォッグ内で用いられる単位で、1エクトル=10馬力に相当する[39][40]
  4. ^ そのため、ズーに突き落とされるシーン以外は望月自身が吹き替えなしでほとんどのアクションをこなしている[8]
  5. ^ 書籍によっては、ZOの強化を描く続編としての制作も視野に入れられていたことが示唆されている[56][8]

出典

  1. ^ 最後の昭和ライダー「仮面ライダーJ」がS.H.Figuartsに登場、"J"サイン再現”. マイナビニュース (2016年8月30日). 2020年3月22日閲覧。
  2. ^ a b c 宇宙船150, p. 78
  3. ^ 東映HM64 2022, p. 73, 「シリーズ50周年特集 仮面ライダー全史 仮面ライダー 1992~1994」
  4. ^ a b c 竹書房/イオン 編『超人画報 国産架空ヒーロー40年の歩み』竹書房、1995年11月30日、216頁。ISBN 4884758749 
  5. ^ a b 『仮面ライダー 悪(ショッカー)の系譜』(樹想社、2003年5月)p. 173. ISBN 4877770496
  6. ^ オールライダー&全怪人昭和 2013, p. 98.
  7. ^ a b c 超図鑑 1994, p. 16.
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p ODF 42 2009, pp. 31–32
  9. ^ 大図鑑1 1994, p. 10.
  10. ^ 超辞典 2011, p. 684.
  11. ^ a b c 超辞典 2011, p. 199.
  12. ^ a b c 仮面ライダーJ|仮面ライダー図鑑|東映”. 仮面ライダーWEB. 2024年7月6日閲覧。
  13. ^ a b 超辞典 2011, p. 200.
  14. ^ 仮面ライダーJ ジャンボフォーメーション|仮面ライダー図鑑|東映”. 仮面ライダーWEB. 2024年7月6日閲覧。
  15. ^ スーパークエスト文庫『仮面ライダーJ』(小学館、1994年5月)p. 15 - 17, 101 - 105. ISBN 4094401024
  16. ^ ODF 31 2008, pp. 1–2
  17. ^ a b c ODF 89 2009, pp. 3–4
  18. ^ a b 超図鑑 1994, p. 17.
  19. ^ a b c 宇宙船150 2015, pp. 80–81, 「[インタビュー] 岡元次郎」
  20. ^ a b c 東映HM64 2022, p. 93, 「東映ヒーロー仮面俳優列伝 仮面ライダーシリーズ 50th SPECIAL 岡元次郎」
  21. ^ 超辞典 2011, p. 199
  22. ^ 超全集 1994, pp. 2.
  23. ^ a b c d e f g 超辞典 2011, p. 364.
  24. ^ 画報 2001, p. 217.
  25. ^ a b c ODF 10 2008, pp. 25–26
  26. ^ 画報 2001, p. 91, 「COLUMN 05 ライダーマシーン徹底比較」.
  27. ^ 超図鑑 1994, pp. 18–19.
  28. ^ a b c d ODF 43 2009, pp. 15–16
  29. ^ a b c d 超辞典 2011, p. 658.
  30. ^ a b フォッグ・マザー|仮面ライダー図鑑|東映”. 仮面ライダーWEB. 2024年7月6日閲覧。
  31. ^ a b c d e f g h i j k ODF 99 2010, pp. 13–14
  32. ^ a b 超図鑑 1994, p. 18.
  33. ^ a b c d e f 超全集 1994, pp. 18–19.
  34. ^ 超図鑑 1994, p. 19.
  35. ^ a b 超全集 1994, p. 20.
  36. ^ a b 大図鑑1 1994, p. 51.
  37. ^ a b c d 超辞典 2011, p. 234.
  38. ^ a b コブラ男|仮面ライダー図鑑|東映”. 仮面ライダーWEB. 2024年7月6日閲覧。
  39. ^ 超全集 1994, pp. 22.
  40. ^ a b c d e f g h i j k l ODF 7 2008, pp. 15–16
  41. ^ a b 超図鑑 1994, p. 21.
  42. ^ 超図鑑 1994, p. 20.
  43. ^ a b c 超全集 1994, p. 25.
  44. ^ a b ハチ女|仮面ライダー図鑑|東映”. 仮面ライダーWEB. 2024年7月6日閲覧。
  45. ^ a b 超図鑑 1994, p. 22.
  46. ^ a b c ODF 22 2008, pp. 17–18
  47. ^ 超辞典 2011, p. 411.
  48. ^ a b トカゲ男|仮面ライダー図鑑|東映”. 仮面ライダーWEB. 2024年7月6日閲覧。
  49. ^ a b 超全集 1994, p. 24.
  50. ^ 超図鑑 1994, p. 23.
  51. ^ ODF 67 2009, pp. 15–16
  52. ^ 超辞典 2011, p. 32.
  53. ^ a b c d 大図鑑1 1994, p. 52.
  54. ^ 「LIST OF WORKS 岡元次郎」『JAE NAKED HERO』太田出版、2010年3月8日、34頁頁。ISBN 978-4-7783-1210-7 
  55. ^ 「高寺成紀の怪獣ラジオ」番組公式Twitterアカウント(@kaiju_cfm) 2015年5月8日 08:06のツイート
  56. ^ a b c 超全集 1994, pp. 50, 60–63.
  57. ^ 超辞典 2011, p. 529.
  58. ^ 雨宮慶太監督による劇場作品『仮面ライダーJ』野村佑香キャストインタビュー - V-STORAGE
  59. ^ 宇宙船150 2015, p. 82.

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