レンズ付きフィルム 工作への応用

レンズ付きフィルム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 23:37 UTC 版)

工作への応用

メーカーの保証外となるものの、電子工作マニアなどはフラッシュ内蔵商品の昇圧回路(1.5Vを約420Vに昇圧)を利用してストロボスコープや高電圧発生器を製作したり、基板上の変圧器(トランス)や高耐圧コンデンサ、トランジスタキセノン放電管を部品取りし、利用する例がある。ただし前述の電池容量(寿命)と同様、それらの部品も「ロールフィルム1本分+α」程度の耐久性をもって必要十分であるとして選択や設計がされているものもあり、実験的な使用を越える用途では注意が必要である。

上述のように、分解の際にコンデンサにチャージがあると電池を外しても感電するので、コンデンサの端子をショートし、放電させる必要がある。作業にあたっては必ず手を電気的に絶縁し、アークにより破損しても問題ない導線の切れ端等を使う等、感電防止及び部品の破損防止対策をする必要がある。できれば適切な電力定格と抵抗値の抵抗器を使うと火花や破裂音なく放電されるので良い。

また、紙製の外装を剥がすとフィルムと乾電池の取り出し用の蓋があり、蓋をマイナスドライバなどで起こして折り取ることにより、完全に分解しなくてもフィルムと電池は取り出しが可能である。『写ルンです』で当時単体販売されていないフィルムが使用されていた1990年代には、未使用のフィルムを取り出して一眼レフカメラに装填し、報道写真等に用いるプロカメラマンも多く見られた。ただし、パトローネ(マガジン)表面の印刷などは単体商品のものと異なるため、DPEによっては稀に拒否されることもありうる。

一部の電子部品販売店やカメラ店では、内蔵の基板を200円程度で販売している所や使用済みカメラそのものが無料で幾つも貰える所が存在する。


注釈

  1. ^ 感覚的にはオリンパス・ペンなどに似ているが、ペンの巻き上げホイールはスプロケットギヤを駆動しているのに対し、「写ルンです」などの構造は単に巻き取り軸を回しているだけで別物である(カチカチと鳴るのは逆転防止ラッチ)。機構的にはペンよりリコーオートハーフに近い。
  2. ^ ただし、コダックEasy35 など宣伝広告上で「使いすて」の文言を使用した製品も存在する。
  3. ^ 2006年コニカミノルタが写真事業から撤退したことからDNPフォトマーケティング→DNPフォトルシオに事業継承され、海外メーカーのOEMによる「Torikkiri」シリーズとして引き継がれた。
  4. ^ 本物のパノラマではなく、25mm程度の広角レンズと、フィルムのコマの上下をカバーで覆って撮り、割増料金なしで幅広プリントのサービスが得られる、というもの。これは富士ではなくコダックがレンズ付きフィルムで先行し、コンパクトカメラにも広がるブームとなった。
  5. ^ ライカ判で焦点距離16mmという、超広角レンズが手軽に買えるとしてマニアの間では密かな人気機種であったが、メーカーはあえてそういう方向性の宣伝は避けていた。
  6. ^ 特に記念写真などで大人数を写す場合、全員をフレームに収めようとするとどうしても撮影者は後ろへ下がる必要があり、フラッシュ光が届かなくなりやすい。
  7. ^ 近年の製品では、夜景撮影時には絞りを開くといった機構を組み込むなどの露光不足対策が進み、露光不足を起こしにくくなった。
  8. ^ 後述のように通常の市販製品の乾電池のそれよりは少容量なのだが、それでも十分な余裕がある。マンガン電池としないのは容量だけでなく特性の問題がある。
  9. ^ 近年、一部のコンビニエンスストアでは、デジタルカメラ用のメディアや充電池代替となる乾電池を販売している店もあるが、多種多様なメディア種別・電池種別に対応できているわけではない。スーパーマーケットやホームセンターでも同様である。
  10. ^ 2009年シスコシステムズに買収された。
  11. ^ のちに発展し、Flip Video英語版として展開された。シスコ買収後の2011年に事業閉鎖され、展開終了。

出典

  1. ^ a b c 未来技術遺産登録記念「レンズ付フィルム展」”. 日本カメラ博物館. 日本カメラ財団. 2020年7月25日閲覧。
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  3. ^ a b c 月刊「家電批評」2017年4月号53ページ
  4. ^ みんなが海外旅行に持っていくカメラ! - モベルコミュニケーションズリミテッド 日本支店(2011年9月15日)
  5. ^ 旅行に持って行きたい使い捨てカメラ4選 - TABIPPO.NET(2017年9月24日)
  6. ^ カメラを持って海外旅行へ!持ち運びの注意点と目的別おすすめカメラ7選 - ガイドブックのような旅行お役立ちサイト IMATABI(株式会社VOYAGE MARKETING)
  7. ^ 健在「写ルンです」30歳…若者のおしゃれアイテム? - 読売新聞(2016年4月4日)
  8. ^ 石川直樹「いつでもどこでも写ルンです」展、“写ルンです”だから撮れた旅の記録 - IMA(2017年8月9日)
  9. ^ 第二回 レンズ付きフィルム - 石川直樹【ぼくの道具】
  10. ^ FUJIFILM SQUARE 開館10周年記念写真展 石川直樹 写真展「いつでもどこでも写ルンです」(2017年8月11日から24日に開催)
  11. ^ 八木山で 写真を撮ろう 現像しよう 八木山放送局Net(東北記録映画社) 2011年08月10日
  12. ^ “レンズ付きフラッシュメモリ”──三洋,旭光学らが使い切りデジカメをテスト販売”. ITmedia (2001年10月9日). 2020年7月25日閲覧。
  13. ^ 「3社共同でリユースデジカメ事業を試行」『日経デザイン』第173号、日経BP、2001年11月、29頁、ISSN 0913-3429 
  14. ^ a b Miyake, Kuriko (2001年10月11日). “Digital cameras go disposable” (英語). CNN.com. ワーナーメディア. 2020年7月30日閲覧。
  15. ^ 使い切り型デジタルカメラ「撮ってもEG」でデータ保存が可能に”. PC Watch. インプレス (2001年12月12日). 2020年7月25日閲覧。
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  17. ^ a b c “Single-use digital cameras” (英語). The Denver Post. (2007年9月13日). https://www.denverpost.com/2007/09/13/single-use-digital-cameras/ 2020年7月26日閲覧。 
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  20. ^ a b 塩田紳二 (2004年10月15日). “【レポート】世界初の液晶付き使い切りデジカメ試用レポート”. デジカメ Watch. インプレス. 2020年7月25日閲覧。
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  22. ^ “使い切り”デジタルビデオカメラが登場”. ITmedia (2005年6月7日). 2020年7月25日閲覧。
  23. ^ 「使い切りデジカメ」先行販売 プラザクリエイト”. ITmedia (2008年8月13日). 2020年7月25日閲覧。
  24. ^ 「使い切りデジカメ」、初日でほぼ完売-次回は全国展開視野に”. 市ケ谷経済新聞. コムブリッジ (2008年9月3日). 2020年7月25日閲覧。
  25. ^ Oliver, Dave (2012年11月16日). “VistaQuest VQ10 disposable digital camera review” (英語). WIRED UK. Condé Nast Britain. 2020年7月30日閲覧。





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