ラズベリー 歴史

ラズベリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/07 19:08 UTC 版)

歴史

キイチゴ属の植物は果実に甘みと酸味があり、世界各地で人間の食用にされてきたが、特にヨーロッパ人の嗜好に合い、ヨーロッパ原産、及び彼らが進出した先、特に北米大陸原産の野生種がヨーロッパ系を中心とする人々によって、盛んに交配、品種改良を施されて果樹としての栽培品種群を生み出してきた。

ラズベリーは、16 - 17世紀ごろイギリスで栽培化された。最初の栽培の記録は1548年である。18世紀後半にはいくつかの品種が北米に導入されたが、風土の違いから大規模には栽培されなかった。19世紀に北米の種が栽培化され、ヨーロッパに移入されたり交配されたりした。

種類

イエローラズベリーまたは、ゴールデンラズベリーと呼ばれている種。
ラズベリーの花

ラズベリーやフランボワーズとは、本来はヨーロッパに自生するラズベリーをさしていたのであろうが、果樹としては特にヨーロッパキイチゴRubus idaeus subsp. idaeus)を原種や交配親とする栽培品種を指すことが多く、また広義には果床が木質化し、熟すと果床上に形成される集合果と果床が分離するキイチゴ属および栽培品種群全体をラズベリーやフランボワーズの名で呼ぶ。

この観点に立てば、日本に自生するキイチゴ属の植物は全てがラズベリーに分類されることになる。現に、日本にもヨーロッパキイチゴの亜種であるエゾイチゴ(R. idaeus subsp. melanolasius)やミヤマウラジロイチゴ(R. idaeus subsp. nipponicus)、エゾイチゴの変種のカナヤマイチゴ(R. idaeus subsp. melanolasius f. concolor)、ミヤマウラジロイチゴの変種のシナノキイチゴ(R. idaeus subsp. nipponicus f. marmoratus)、イシヅチイチゴ(R. idaeus subsp. nipponicus var. shikokianus)が分布する。

クロミキイチゴ Rubus occidentalis

果樹としてはヨーロッパキイチゴを原種とするもの以外に、北米大陸原産のアメリカイチゴ(アメリカンレッドラズベリー; R. strigosus)やクロミキイチゴ(ブラックラズベリー; R. occidentalis)を原種とするものが重要である。これらの選抜や交配で生み出された品種群は、果実の色で赤ラズベリー、黒ラズベリー、紫ラズベリーに大別されるが、黒ラズベリーをキイチゴ属のもうひとつの重要な群であるブラックベリーと混同しないように、注意が必要である。

主な種

エビガライチゴ Rubus phoenicolasius

Idaeobatus 亜属の主な種をあげる。ただしこのほかにも、名前にラズベリーを含む種は多い。栽培化されているのはこれらのうちごく一部である。

ナガバモミジイチゴは西日本に分布する本種。モミジイチゴは東日本に分布する地理変異種。

栽培

生産量 (トン) 2003-2004
FAOSTAT (FAO)
 ロシア 95 000 26 % 110 000 28 %
 セルビア 79 471 21 % 79 180 20 %
 アメリカ 48 535 13 % 50 000 13 %
 ポーランド 42 941 12 % 42 000 11 %
 ドイツ 20 600 6 % 20 500 5 %
 ウクライナ 19 700 5 % 20 000 5 %
 カナダ 14 236 4 % 13 700 4 %
 ハンガリー 9 000 2 % 10 000 3 %
 イギリス 8 000 2 % 8 000 2 %
 フランス 6 830 2 % 7 500 2 %
その他 27 603 7 % 27 890 7 %
合計 371 916 100 % 389 061 100 %

栽培においては最も簡単な部類に入る果樹である。樹高は低く、土質を選ばないため、家庭でも手軽に栽培できる[2]。 ただしコガネムシの食害による枯死や地下茎による過度の繁殖に気をつけるべきである。

農薬を一切使わずに栽培できるが日本では収穫時期が梅雨と重なるため雨による灰色かび病など病気の発生が起こる。 罹病した果実の除去や通気性の確保などが対策として挙げられるが 営利栽培において商品価値を向上させるためにはビニールハウスなどの利用が好ましい。

国内における営利栽培はラズベリーやブラックベリーなどがほとんどである。 黒ラズベリーの栽培も見られるが、紫ラズベリーは皆無である、尚苗木の流通も同じである。


  1. ^ 日本サプリメント協会『体の悩みを解決!ずっと元気に!サプリメント健康時点』集英社、212ページ、2015年、ISBN 978-4-08-333142-8
  2. ^ a b c d 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、88頁。ISBN 4-12-101834-6 
  3. ^ Chie Morimoto, Yurie Satoh, Mariko Hara et al. (2005-5). “Anti-obese action of raspberry ketone”. Life sciences 77 (2): 194–204. doi:10.1016/j.lfs.2004.12.029. PMID 15862604. 
  4. ^ a b Raspberry Ketone”. WebMD. 2019年6月20日閲覧。


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