マドセン機関銃 実戦投入

マドセン機関銃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/17 06:56 UTC 版)

実戦投入

第一次世界大戦まで

1928年のノルウェー兵士、1名がマドセン機関銃を携行している。

本銃は生産コストが高いとされていたが、信頼性も有名であった。マドセン軽機関銃は、第一次世界大戦の前後に12の異なる口径[3]で34ヶ国に販売された。また軍閥が勢力を展開した1916年から1928年にかけての中国大陸で戦闘に用いられた。

本銃はロシア帝国軍に広く用いられた。ロシア軍は1,250挺を購入し、日露戦争中に投入した。ドイツ帝国軍は1914年に7.92mm口径仕様の本銃を用いた。装備部隊は歩兵中隊、山岳部隊、後期には突撃歩兵であり、これらは第一次世界大戦中に実戦投入された。

戦間期

本銃は1920年代と1930年代初期にパラグアイにより購入された。この国は、グランチャコ地域に対するボリビアとの領有問題について、静かに戦備を整えていた。この軽機関銃は1932年から1935年にかけて戦われたチャコ戦争でパラグアイ軍に使用された。戦争開始時、約400挺が配備されており、戦争の進行に伴ってさらに多数の軽機関銃が購入された[4]

ブラジルは1930年代後期にイタリアから約23両のCV-35タンケッテを導入したが、大多数の車両は口径7mmの連装マドセン軽機関銃で武装していた[5]

第二次世界大戦

1940年4月から6月、ドイツ軍によるノルウェー侵攻作戦の段階でも、マドセン機関銃はいまだにノルウェー軍の標準的な軽機関銃として運用されていた。6.5x55mm弾を使用するM/22、3,500挺がノルウェーの防衛に用いられた。1940年までに、各ノルウェー歩兵分隊は1挺のマドセン機関銃を割り当てられた。この武器は以前、別々の機関銃分隊に集められていた物である[6][7]。ノルウェー軍の歩兵大隊は、36挺のマドセン軽機関銃および9挺のM/29重機関銃(ブローニングM1917重機関銃)を標準装備として保有した。 しかしマドセン軽機関銃は、数発の射撃で作動不良を起こす傾向があり、ノルウェー軍兵士には好まれず、こうしたことからJomfru Madsen(処女のマドセン)というあだ名がついた[8]鹵獲されたマドセン軽機関銃は戦中を通じてドイツ陸軍の二線級部隊に使用され、またデンマーク陸軍1955年まで最後のマドセン軽機関銃を退役させなかった。

口径6.5mmのマドセン軽機関銃は、戦間期の終わりまで王立オランダ領東インド諸島軍(KNIL)の標準的な機材であった。何挺かは捕獲され、東インド諸島の陥落の後、日本軍によって使用された。

戦後

アイルランドは合計24丁のマドセン機関銃を保有した。これらは全て.303口径であった。これらの軽機はランズヴェルク L60軽戦車、リーランド装甲車、ランズヴェルク L180装甲車およびダッジ装甲車に装備された。1950年代になると、アイルランドの各部局に残されたこれらの武装は、ブローニングM1919重機関銃に換装された[1]

ポルトガル植民地戦争

1960年代および1970年代のポルトガルの植民地戦争の際に、ポルトガル陸軍はマドセン軽機関銃を使用した。マドセン軽機関銃の運用の一つは、Auto-Metralhadora-Daimler 4 × 4 Mod.F/64装甲車の代用武装であった。これはダイムラー偵察車に、砲塔に似た構造を追加して改修したものである[9]

ブラジルでの継続使用

マドセン機関銃はブラジルのリオデジャネイロ州に配備されたミリタリーポリスによって使われ続けた。弾種は7.62mmのNATO弾である[10]。一部の銃は麻薬密売人から押収されて任務に流用された(ほとんどはアルゼンチン陸軍の中古品、またごく少数は博物館から盗まれたものである)[11]。しかしブラジル警察が用いるマドセン軽機関銃の大部分はブラジル陸軍から来たものである。これらは30口径の兵器であるが、7.62mm NATO弾に適合するよう改修が加えられている。

公式な発表ではブラジル軍は1996年にマドセン軽機関銃を退役させたとしている。ブラジル警察の銃も2008年にはもっと現代的で高い発射速度を持つ銃に更新された[12]。しかしながら、2009年10月19日、ブラジル警察と麻薬密売人との衝突の最中に撮られた写真は、鮮明にマドセン軽機関銃がブラジル警察によってまだ使われていることを示した[13]


注釈

  1. ^ このため、前述のM.1888がM.1896と共に“マドセン-ラスムッセンライフル(Madsen-Rasmussen Rifle)”と呼ばれることに対し、しばしばM.1896を特定的に指して“ショービューライフル(Schoubue Rifle)”と呼ぶことがある。

出典

  1. ^ a b c Karl Martin, Irish Army Vehicles, Transport & Armour Since 1922, Karl Martin 2002.
  2. ^ a b c Kokalis, Peter. Weapons Tests And Evaluations: The Best Of Soldier Of Fortune. Paladin Press. 2001. pp15?16.
  3. ^ deactivated-guns.co.uk: Madsen machine gun
  4. ^ An Outline History of the Paraguayan Army Archived 2012年2月11日, at the Wayback Machine.
  5. ^ Kirk Jr., William A. (2003年3月12日). “Brazil”. Tanks! Armoured Warfare Prior to 1946. Florida State University. 2009年2月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年6月21日閲覧。
  6. ^ Holm, Terje H. (1987) (Norwegian). 1940 – igjen?. Oslo: Norwegian Armed Forces Museum. p. 26. ISBN 82-991167-2-4 
  7. ^ View from the trenches ASL journal Issue 31 May-Jun 2000
  8. ^ Jaklin, Asbjorn (2006) (Norwegian). Nordfronten - Hitlers skjebneomrade. Oslo: Gyldendal. p. 32. ISBN 978-82-05-34537-9 
  9. ^ Abbott, Peter (2005). Modern African Wars (2): Angola and Mozambique 1961–1974. Oxford: Osprey Publishing. p. 7. ISBN 978-0-85045-843-5 
  10. ^ Madsen Light Machine Gun website
  11. ^ News article about Argentine guns found with drug dealers[リンク切れ] (ポルトガル語)
  12. ^ Strategy Page on Madsen guns.
  13. ^ Photo slideshow on clash between Brazilian police and drug traffickers.
  14. ^ a b Gander, Terry J.; Hogg, Ian V. Jane's Infantry Weapons 1995/1996. Jane's Information Group; 21 edition (May 1995). ISBN 978-0710612410.
  15. ^ Lugosi, Jozsef (2008). “Gyalogsagi fegyverek 1868?2008”. In Lugosi, Jozsef; Marko, Gyorgy. Hazank dics?segere: 160 eves a Magyar Honvedseg. Budapest: Zrinyi Kiado. p. 382. ISBN 978-963-327-461-3 





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