マイケル・サンデル マイケル・サンデルの概要

マイケル・サンデル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/05 10:03 UTC 版)

マイケル・サンデル
Michael Sandel
生誕 (1953-03-05) 1953年3月5日(70歳)
アメリカ合衆国ミネアポリス
時代 20世紀の哲学
21世紀の哲学
地域 西洋哲学
学派 コミュニタリアニズム
研究分野 認識論
倫理学正義道徳
政治哲学
政治学
公共
主な概念 共通善
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コミュニタリアニズム(共同体主義)の代表的論者であり、その論述の特徴は共通善を強調する点にある。また共和主義者を名乗ることも増えている。

来歴

1975年(22歳)、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ウォルサム市にあるブランダイス大学卒業後、ローズ奨学生として、英国オックスフォード大学ベリオール・カレッジにおいて、学ぶ。1981年(28歳)、オックスフォード大学から、Ph.D.(博士号)の学位を授与される。オックスフォード大学での指導教授は、チャールズ・テイラーロナルド・ドウォーキン、アラン・モンテフィオーレ(Alan Montefiore)。1980年(27歳)、ハーヴァード大学政治哲学の教鞭を取った。

日本生まれのアメリカの社会学者キク・アダット(Kiku Adatto; 日本名だが、日系でもモンゴロイド系でもない)と結婚し、2男をもうける。マイケル・サンデルは、思想的にコミュニタリアンの立場をとっており、テイラー、アラスデア・マッキンタイアマイケル・ウォルツァーらと共に、ジョン・ロールズ批判したことでも有名である。

民主党のアメリカ大統領ビル・クリントンの要請により、意見具申をした。2002年から2005年まで、ジョージ・W・ブッシュ大統領が設置した生命倫理委員会(The President's Council on Bioethics)の委員を務めた。

2018年アストゥリアス皇太子賞社会科学部門受賞。

評価

  • ドイツでは、いわゆるフランクフルト学派(アメリカ亡命を果たしたユダヤ人学者・ドイツ国内ユダヤ人サークル)の第2世代、とりわけハーバーマス(社会学者)が、サンデルの思想に共感を寄せた。そのためドイツでは、サンデルの著作もハーバーマスによって紹介されている[2]
  • 地域社会の公共性の基盤となる思想を米国から逆輸入し、サンデルらの主導するコミュニタリアニズムに頼ったドイツでは、フランクフルト学派の企図した通り、かつてテニエスが提唱した伝統的な「民族共同体」的着想を破壊することに成功を収めた。しかし、ドイツの地域共同体からは自国の歴史・文化・伝統が失われた。そのため、価値の相対性を認めるコミュニタリアニズムの思想は、むしろ「人々の繋がり・関係性を破壊する」思想であり、「国内の政情を混乱に落としめる」ものとして警戒されている。
  • ドイツの政治学者レーゼ=シェーファー(Reese-Schäfer)は、移民が急速に増加する傾向にある現在、ハーバーマスが米国から輸入したコミュニタリアニズムが、米国的な文化多元主義の発想とジンテーゼを起こしつつあるとした上で、「共有されるべき価値基準を持たないまま様々な文化圏から多様な宗教や多元的な道徳観念が持ち込まれるならば、社会の内部に無数のゲットーが形成されてしまう。」と次のように結論している。
    「(サンデル的なコミュニタリアニズムの発想は、わが国ドイツにおいて)集団的排斥主義を帰結しかねない。これは、集団個別主義/集団至上主義的なゲットーの形成、つまり、排他的で特殊な『市民感覚・市民感情』によって結ばれたゲットーの形成を促す。そのため、民主主義的な公共性そのものの崩壊をもたらしかねない。」
    "... Das Resultat wäre ein Gruppenautoritarismus, der bewirken würde, dass das demokratische Gemeinwesen zerfällt "in Kulturghettos der Kollektive, die jeweils ihren eigenen, d.h. partikularistischen 'Bürgersinn' haben."[3]

人物

  • 能力主義においては、「われわれはどれほど頑張ったとしても、自分だけの力で身を立て、生きているのではないこと。才能を認めてくれる社会に生まれたのは幸運のおかげで、自分の手柄ではないことを認めなくてはならない。」と結論付けている。[4]

  1. ^ The Global Philospher: Should the Rich World Pay for Climate Change? BBC News
  2. ^ Michael J. Sandel: Plädoyer gegen die Perfektion-Mit einem Vorwort von Jürgen Habermas-, 2008
  3. ^ Walter Reese-Schäfer: "KOMMUNITARISMUS", Campus Verlag, 2000.
  4. ^ 『実力も運のうち 能力主義は正義か?』早川書房、2021年4月20日、323頁。 
  5. ^ 『正義』の哲学者・サンデル氏が巨人開幕戦の始球式へ”. スポーツ報知 (2011年3月5日). 2011年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月20日閲覧。


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