トカイワイン トカイワインの概要

トカイワイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/07 08:44 UTC 版)

トカイ・エッセンシア

そのワインはトカイ地方独特の気候が産み出す。2つのが合流するトカイ地方は、からにかけての朝、濃いが発生する。この霧は丘の上に昇っていき、やがてブドウ畑全体を包み込む。そして霧による湿気によって、貴腐菌というカビに侵された白ブドウが作り出される。貴腐菌は水分を外に出し、糖分を濃縮させることで、とても甘いブドウになる。

歴史

貴腐ワインが生まれた経緯は、以下のように語られることがある。17世紀にトカイはオスマン帝国の侵略を受け(大トルコ戦争)、住民たちはこの地から避難せざるを得なくなった。そしてを離れている間に、ブドウ本来の収穫期は過ぎてしまい、霧によって収穫されずに残っていた実にカビがつき、腐り始めていた。諦めきれずそのブドウでワインを作ったところ、濃厚で甘いのようなワインになったことが始まりだという。しかし、この伝説自体が少々本来の伝承と異なる。実際にトカイ地方で語られる伝承では1632年の事、ハンガリー王国に進攻したオスマン帝国との戦いのため、改革派教会説教師でありラーコーツィ家所有のブドウ畑を管理するセプシ=ラツコー・マーテーが不在のため、ブドウの収穫が11月にずれてしまったシャートルアルヤヘイのオレムス畑では、しなびたブドウしか収穫できなかった。それから生まれた甘くて燃えるようなワインは、ラーコーツィ一世ジュルジの妃、ローラントフィ・ジュジャンナのイースターの食卓に献上されたのである。この伝承を書き残したのは作家のカジンツィ・フェレンツであり、彼の先祖はローラントフィ家の管理人であったカジンツィ・ピーテルである。そしてこの伝承もあくまで伝承であり、トカイ地方の貴腐ワインはそれ以前から存在する。トカイ・ワイン史としての証拠と呼ばれるものは、「アスー」あるいは「貴腐ブドウ」などの書き残された記録である。その一つは1600年代初頭のもので、農奴(小作人)と地主の裁判記録に見られる「"…fekete és aszús szemeket leszedik, azt hazaviszik, s nem fizetnek belőle kilencedet és tizedet."(ほぼ直訳:黒ブドウと貴腐ブドウを摘み取ります、それらを家に持ち帰ります、そして(黒ブドウの)9分の1と(貴腐ブドウ)10分の1を君に払わない)」である。そしてもう一つ、1571年のとある遺産記録である。それに書かれた「貴腐ブドウ」が現在見つかっている文書としては、最も古い貴腐ブドウの記述である[1]

ブドウの品種

トカイワインには、主にフルミントと呼ばれるブドウ品種が用いられる。その他にトカイワイン地区で栽培されているブドウ品種はハールシュレヴェルーイエローマスカットなどで、一般的にはこの3種をブレンドして使うが、単一種によるワインも造られる。「トカイワイン」はトカイ貴腐ワインとほぼ同義に使われる名称であるが、トカイ地区ではそれ以外に辛口白ワインとしてのフルミントや、最近では遅摘みブドウによる甘口白ワイン(アイスワイン)なども生産されている。貴腐ワインやアイスワインの瓶は一般的なワインのもの (750mL) よりも小さめで500mLのものが標準サイズである。フランスのルイ14世が「王者のワインにしてワインの王者」 (Vinum Regum, Rex Vinorum) と絶賛した逸話は有名である。フランツ・シューベルト1815年に作曲した「トカイ賛歌 ("Lob des Tokayers", D. 248)」という歌曲作品がある。




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