デウス・エクス・マキナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 14:48 UTC 版)
評価
内容
古代ギリシアの時点で既にこの手法は批判されている。アリストテレスの『詩学』において、デウス・エクス・マキナは褒められた解決方法ではなく、演劇の物語の筋はあくまで必然性を伴った因果関係に基づいて導き出されていくべきであるとし、行き詰った物語を前触れもなく突然解決に導いてしまうこのような手法を批判している。
また、"夢オチ”はデウス・エクス・マキナであり、手塚治虫は禁忌とした[3]。 ただし現代では、漫画やライトノベルのスピンオフ作品においてはデウス・エクス・マキナの例は少なくない。 この場合は本編の主人公或いはライバルが、スピンオフ作品の主人公の危機を救うといったケースが多い。
技術
好ましくない解決とされることが多いものの、舞台の機械装置の発展としては、盛期アテナイ演劇の成果のひとつとして評価される。
デウス・エクス・マキナの例
ギリシア悲劇
- ソポクレス『ピロクテテス』 - オデュッセウスの説得を拒むピロクテーテースに対して、神となったヘーラクレースが現れ、アカイア勢への助力を命じる。
- エウリピデス『オレステス』 - 母を殺したオレステスは狂い、エレクトラともども死刑を宣告される。オレステスらはその原因であるとみなしたメネラーオスの妻と娘を殺そうとするが、アポロンの計らいで和解する。
- エウリピデス『タウリケのイピゲネイア』 - 逃亡したオレステスとイピゲネイアに追っ手を出そうとしたタウリケの領主に女神アテナが現れ、追っ手をとどめる。
喜劇
オペラ
- モーツァルト『イドメネオ』 - 王が王子を生け贄に捧げようとし、王子の恋人が自分が犠牲になると進み出ると、神の声が響いてすべてが赦される。古典的なデウス・エクス・マキナの使われ方。
- ウェーバー『魔弾の射手』 - 主人公のマックスは百発百中の悪魔の魔弾でインチキをして射撃大会に出た挙句、恋人を撃ってしまう事になるが、弾が逸れて悪魔ザミエルと契約していた悪役狩人(マックスをそそのかした張本人でもある)のカスパールに当たって死ぬ。最後に隠者が出てきて全てを許す。
参考文献
- 中村善也(1979)“「悲劇の終わり」の「神」—エウリピデスのデウス・エクス・マキナについて—” 岡道男、松本仁助、中村善也共編 『ギリシアローマの神と人間』 東海大学出版会、161-190頁。
- Akiko Kiso(2004)What Happened to Deus ex Machina after Euripides?
- AbleMedia Classics Technology Center[4]
注釈
出典
- ^ 「デウス・エクス・マキナ」 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』 2014、Britannica Japan。
- ^ 佐々木健一 「デウス・エクス・マキナ」 『日本大百科全書』 小学館。
- ^ 手塚治虫 『漫画の描き方 似顔絵から長編まで』1977年,光文社
- ^ “What Happened to Deus ex Machina after Euripides?”. ablemedia.com. 2011年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月1日閲覧。
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