シャコ 食材としての利用

シャコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/14 03:52 UTC 版)

食材としての利用

市場で売られているシャコ
シャコの握り寿司

エビよりもアッサリとした味と食感を持つ。旬は産卵期である春から初夏。秋は身持ちがよい(傷みにくい)。日本では、新鮮なうちに茹で、ハサミで殻を切り開いて剥き、寿司ダネとすることが最も多い。捕脚の肉は「シャコツメ」と呼ばれ、軍艦巻きなどにして食べられることが多く、一尾から少量しか取れない珍味。産地では、塩茹でにして手で剥いて食べたり、から揚げにすることが多い。産卵期の卵巣はカツブシと呼ばれて珍重されるため、メスのほうが値段が高い。また、ごく新鮮なうちに刺身として生食する場合もある。

シャコは死後時間が経つと、殻の下で酵素(本来は脱皮時に使われる)が分泌され、自らの身を溶かしてしまう。そのため、全体サイズの割に中身が痩せてしまっていることも多い。これを防ぐには、新鮮なうちに茹でるなどして調理してしまうことである。活きた新鮮なシャコは珍重されるが、勢いよく暴れる上に棘が多く、調理時に手に刺さる場合があるため取り扱いには注意が必要である。

東京都

岡山県

  • ばら寿司 - 岡山県郷土料理であり、地域や時期によっては具材のひとつとしてシャコが用いられる。
  • シャコ丼 - 笠岡市に「シャコ丼の店」がある。シャコ丼、シャコラーメンなどを食べられる。

青森県

青森県では花見にシャコを食べる風習がある。

北海道

北海道では春シャコ、秋シャコを食べる。水揚げは、石狩小樽など。

地方名

江戸時代シャクナゲと言われていた。淡い灰褐色の殻を茹でると紫褐色に変わり、それがシャクナゲの花の色に似ていたところから付けられた名である。シャクナゲは石楠花、または石花と書き、シャクカがなまってシャコと呼ばれるようになった。シャク、シャクナギと呼ぶ地域もある。

北陸3県青森県ではガサエビ、福岡県筑後地方南部ではシャッパ、熊本県ではシャクとも呼ばれる。

「シャコエビ」などと呼ばれることもあるが、前述の通り、本種を含むシャコ類自体はそもそもエビ類ではない。別にハサミシャコエビという種もいるが、エビ類でありシャコ類ではない。

また、地域によっては別系統であるエビの1種アナジャコも「シャコ」と呼ぶ場合もある。

分類

シャコ類シャコ目/口脚目 Stomatopoda)の中で、シャコ Oratosquilla oratoria はシャコ上科(Squilloidea)シャコ科(Squillidae)シャコ属(Oratosquilla)に分類される[5]。本種は記載当初 (De Haan1844) から長い間 Squilla oratoria として同科のホンシャコ属(Squilla)に分類されていたが、Manning (1968) によりシャコ属を新設され、その模式種タイプ種)として再分類されるようになった[11]

シャコに近縁な日本シャコ類には以下のものがある。これらはかつては同じシャコ属とされていたが、20世紀末頃からそのうち数種が新たな2属に分類されるようになっている。

  • Oratosquilla Mannin, 1968 シャコ属
    • Oratosquilla kempi (Schmitt, 1931) ミナミシャコ
  • Oratosquillina Mannnig, 1995 シャコモドキ属
    • Oratosquillina perpensa (Kemp1911) オキナワシャコ
  • Quollastria Ahyong, 2001 ニセシャコ属
    • Quollastria gonypetes (Kemp1911) ハヤマシャコ
    • Quollastria imperialis (Manning, 1965) テンノウシャコ

シャコ類全体の分類についてはシャコ目#分類を参照のこと。

同じシャコと名のつく生物としてアナジャコなどが挙げられるが、エビ類の1種でシャコ類ではない。


  1. ^ a b c d e f g h i j k l 87.シャコ 北海道立総合研究機構、2017年5月26日閲覧。
  2. ^ 普及版, デジタル大辞泉,動植物名よみかた辞典. “蝦蛄とは”. コトバンク. 2022年2月24日閲覧。
  3. ^ a b c 富川光, 鳥越兼治「食卓で学ぶ甲殻類のからだのつくり : エビ・カニ・シャコ類の教材化に関する研究」『広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部文化教育開発関連領域』第56号、広島大学大学院教育学研究科、2007年、17-22頁、doi:10.15027/22762ISSN 1346-5554NAID 800180129162022年2月11日閲覧 
  4. ^ Haug, Carolin; Sallam, Wafaa S.; Maas, Andreas; Waloszek, Dieter; Kutschera, Verena; Haug, Joachim T. (2012-11-14). “Tagmatization in Stomatopoda – reconsidering functional units of modern-day mantis shrimps (Verunipeltata, Hoplocarida) and implications for the interpretation of fossils”. Frontiers in Zoology 9 (1): 31. doi:10.1186/1742-9994-9-31. ISSN 1742-9994. PMC 3542093. PMID 23148643. https://doi.org/10.1186/1742-9994-9-31. 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l Ahyong, Shane T.; Chan, Tin-Yam; Liao, Yun-chih (2008-08) (英語). A catalog of the mantis shrimps (Stomatopoda) of Taiwan. National Taiwan Ocean University. ISBN 978-986-01-5060-5. https://scholars.ntou.edu.tw/handle/123456789/16150 
  6. ^ Tsyr-Huei Chiou et. al., Curr. Biol., 18, 429-434 (2008)
  7. ^ Chiou, Tsyr-Huei (2008), Polarization Signaling in Stomatopod Crustaceans and Cephalopod Mollusks, ProQuest 
  8. ^ Klein, Carel von Vaupel; Charmantier-Daures, Mireille (2013-10-24) (英語). Treatise on Zoology - Anatomy, Taxonomy, Biology. The Crustacea, Volume 4 part A. BRILL. ISBN 978-90-474-4045-1. https://books.google.co.jp/books?id=0aLWAQAAQBAJ&lpg=PA319&dq=stomatopod&pg=PP1#v=onepage&q=stomatopod&f=false 
  9. ^ 濱野龍夫, 松浦修平「博多湾の底生群集におけるシャコの食性」『日本水産学会誌』第52巻第5号、日本水産學會、1986年、787-794頁、doi:10.2331/suisan.52.787ISSN 0021-5392NAID 130001542932 
  10. ^ 朝日新聞社編 『海の紳士録』P78 昭和37年刊
  11. ^ WoRMS - World Register of Marine Species - Oratosquilla oratoria (De Haan, 1844)”. www.marinespecies.org. 2022年2月24日閲覧。


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