コンクリート 検査

コンクリート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/02 00:43 UTC 版)

検査

施工時に行う検査

工事規模により必要性があれば受入検査として、要求品質の適合性確認として一般的にスランプ試験、空気量試験、塩化物量試験、後日試験の強度試験用の供試体の採取を行う。 小規模工事の場合、これら受入検査を割愛し、JIS適合性の確認のみの場合もある。

単位水量試験

耐久性能等の確認のために使用される試験方法で、打設されるコンクリートの水量を具体的数値にする検査。水セメント比により強度が決定される性質上、使用される水量が打設前に分かれば強度低下の危険性を従来より、より安全に回避することを目的として策定された。 現時点では一本化された試験方法が無く、様々な試験方法が立案されている(電子レンジ法、RI法、エアメーター法等)どれも一長一短があり、なおかつ同一試料で別々の試験を行った場合、違う数値となることもある、標準化を模索中の試験法である。

非破壊検査

非破壊検査には外観検査と内部検査とがある。

  • 外観検査は、目視や写真ビデオの撮影による外観の検査である。
  • 内部検査は、超音波X線赤外線などを利用した内部の状態の検査である。

維持管理計画

初期点検、劣化予測、要求性能の評価・判定、対策、点検、記録をする必要がある。

特殊なコンクリート

コンクリート自体が特殊なもの

一般的なコンクリート(普通コンクリート)以外に、以下のように特殊な目的に用いられるコンクリートがある。

高強度コンクリート
高層建築や大スパン建築の実現のために開発された、普通コンクリートよりも強度の高いコンクリート。高強度コンクリートは設計基準強度は36N/mm2~、超高強度コンクリートでは60N/mm2超のものもある。超高層マンションの増加に寄与している。
硬化時に内部の気泡を減少させて密度を高めているが、近年地震時などの火災熱により内部の水分が気化膨張して破裂する「爆裂」の危険が指摘され(通常のコンクリートは気泡が水分の逃げ道となる)、2000年頃よりポリオレフィン系の繊維などを混入して高温時に水分の逃げ道を生じさせる対策が行われている。
遮蔽コンクリート
などの比重の大きな金属や高密度の骨材を用いるなどの方法で、放射線遮蔽機能を持たせたコンクリート。放射性廃棄物の容器、原子力施設の一部、核シェルターなどに用いられる。なお、コンクリート自体もガンマ線中性子線等の遮蔽能力を有するが、遮蔽コンクリートはそれを更に強化したものである。重量コンクリートとも呼ばれる。
軽量コンクリート
軽量骨材などを用いて普通コンクリートよりも密度を軽くしたコンクリート。普通コンクリートよりは強度が劣るとされる。強度をさほど必要とせず、重量を節減したいシンダーコンクリートなどの箇所に用いる。超軽量コンクリートの中には比重1.0以下で水に浮くようなものも開発されており、住宅の外壁材や防音材などに使用されている。ヘーベル板、パワーボード、ALCなどの名称で流通している。
緑化コンクリート
直接植栽のできるコンクリートであり、屋上緑化や壁面緑化、河川の護岸工事等に用いられる。粗骨材の間に空隙を持たせ、根・空気・水が通るようになっている。
水密コンクリート
高い水密性を求められるプール、水槽等に使用されるコンクリートである。

補強コンクリート

コンクリートと他の(通常、引っ張り強度が高い)素材との複合材料。コンクリート自体は普通であることが多い。

補強材で骨組みを作る鉄筋コンクリートが代表的だが、他に、混合するもの、塗布するもの、貼り付けるものなどもある。

鉄筋コンクリート
竹筋コンクリート
コンクリート充填鋼管構造 (CFT)
繊維補強コンクリート (FRC)
合成繊維、スチール繊維、炭素繊維、ガラス繊維などを混入等したコンクリート。
スチール繊維補強コンクリート (SFRC)
太さ0.5mm、長さ30mm程度の鋼繊維を混入するもので、コンクリートとの付着性もよく、靭性も得られる。また耐摩耗性や耐熱性にも優れているので路盤によく用いられている。
ガラス繊維補強コンクリート (GFRC, GRC)
セメントモルタルを耐アルカリガラス繊維で補強したもので、曲げ強度、衝撃強度、靭性にすぐれ、自由な形状とする事が出来るため、外装パネルによく用いられている。
炭素繊維補強コンクリート (CFRC)
直径15μの炭素繊維を混入するが、高価なため使用実績は少ない。

日本の生コンクリート

  • 2009年に全国生コンクリート協同組合が公表した、2008年の日本の生コンクリートの生産量は約1億m3。ピークであった1990年の1億9800万m3からほぼ半減している。
  • 生コンクリートの発注は、余裕を持って多めにされて現場に納品されるため、最低でもその1割ほどは余剰分となり「利用されず」持ち戻される。その余ったコンクリートを残コン・戻りコンといわれる。
  • 残コンの殆どは生コンクリート工場に戻され、再利用もされずにそのまま産業廃棄物として処理される。その量を全国で足し合わせると,年間 150~200万m3にも及ぶ。

注釈

  1. ^ 質量・体積の大きいコンクリートで、ダムや橋桁などの大規模な構造物に用いられる。
  2. ^ セメントに対する水の比率をある程度まで減ずる事ができるという意味は、コンクリート中でセメント水和物を得るだけの水があればコンクリートは十分に固まるという意味であり、それ以上の水は流動性に確保のために加えられている。水はコンクリートに流動性を与えるのには安価で良いが、時間と共に蒸発すると固化したセメントや骨材の間に間隙を作る事になるため、強度低下の要因となる。高強度のコンクリートを得るには、セメント水和物への反応に必要な量の水だけを加えるようにして、失われる流動性を補うためにセメント粒子を分散させる減水剤と呼ばれる混和剤や、蒸発せずに流動性がありそれ自身も化学反応によって固化する、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフュームなどを加えている。こういった混和剤の使用によって最大200N/mm2程度の高強度コンクリートが作られている。
  3. ^ 締固め作業での過剰な振動は、材料の分離を招いてコンクリートの均一性が損なわれるので、避けられなければならない。
  4. ^ コールドジョイントが起きないようにするために、打ち重ねの層は2-2.5時間以上の間をあけないように計画的な作業管理が求められ、それ以上の時間間隔があく場合には「管理された打継面」にする。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 基礎講座シリーズ コンクリートの基礎講座”. 一般財団法人建材試験センター. 2020年8月15日閲覧。
  2. ^ 一般財団法人セメント協会
  3. ^ 身体防水について(はじめに)
  4. ^ a b コンクリートの歴史
  5. ^ “コンクリ、2000年の計 火山灰で耐久力アップ”. 日本経済新聞朝刊. (2017年3月19日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO14203070X10C17A3MY1000/ 
  6. ^ The Roman Pantheon: The Triumph of Concrete
  7. ^ Lancaster, Lynne (2005), Concrete Vaulted Construction in Imperial Rome. Innovations in Context, Cambridge University Press, ISBN 978-0-511-16068-4
  8. ^ D.S. Robertson: Greek and Roman Architecture, Cambridge, 1969, p. 233
  9. ^ Henry Cowan: The Masterbuilders, New York 1977, p. 56, ISBN 978-0-471-02740-9
  10. ^ Robert Mark, Paul Hutchinson: "On the Structure of the Roman Pantheon", Art Bulletin, Vol. 68, No. 1 (1986), p. 26, fn. 5
  11. ^ https://web.archive.org/web/20110221204004/http://www.allacademic.com/meta/p_mla_apa_research_citation/0/2/0/1/2/p20122_index.html
  12. ^ http://www.djc.com/special/concrete/10003364.htm
  13. ^ 現代の戦場で最も効果的な兵器は「コンクリート」”. GIGAZINE (2016年11月17日). 2017年2月13日閲覧。
  14. ^ 女性に継承、生死を分けた下穿きの有無『都新聞』昭和7年12月28日(『昭和ニュース事典第4巻 昭和6年-昭和7年』本編p57 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  15. ^ a b c d e f 土木学会関西支部編、『コンクリートなんでも小事典』、講談社、2008年12月20日第1刷発行、ISBN 9784062576246






コンクリートと同じ種類の言葉


品詞の分類

名詞(物)唐錦  呉織  コンクリート  心臓  八重畳

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「コンクリート」の関連用語

コンクリートのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



コンクリートのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのコンクリート (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS