カシャッサ 分類

カシャッサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/19 23:14 UTC 版)

分類

カシャッサには、有名メーカーが工場で量産する大衆的ブランドと、職人が作る量産していない地酒ならぬ地カシャーサの2つに大きく分けられる。職人が作る非量産のカシャッサは、アーティザン・カシャーサなどと呼ばれる。なお、Artesanal - アルチサナゥ、Artesão - アーティザン(正確な発音はアルチザゥン)は、ともに“芸術的な職人”を意味する言葉であるが、一般的にブラジルでは、Cachaça Artesanal - カシャッサ・アルチサナゥというのが正式な呼称である。カシャッサはアルコール度数が高いため、量産品は早く酔える安価な酒として1瓶200円程度で購入できるが、製法にこだわった高級品は1000~3000円程度する[3]

量産されている主なブランド

  • イピオカ(Ypióca)
  • ヴェーリョ・バヘイロ(Velho Barreiro)
  • タトゥジーニョ(Tatuzinho)
  • 51(シンクエンタ・イ・ウン、Cinquenta e um)

製法と定義

サトウキビの搾り汁を加水せず直接発酵、蒸留を行って作り、48%のアルコール度数になるまで発酵させ、その後アルコール度数が39%辺りになるまで、芳香成分と香りを残しながら調整する。ブラジルが定めるカシャーサの定義は、ブラジルで産出されたサトウキビを原料とし、その絞り汁を醗酵させたアルコール度数が38~54 %の蒸留酒とする。また製品1リットルに対し6グラムまで加糖したものも含める。ただし、カシャッサ・アルチサナゥの主産地であるミナス・ジェライス州の法律では、独自のカシャッサ・アルチサナゥ製造工程法が取り決められており、原料として砂糖や副原料などの添加物を一切使用してはならない、と厳格に定めている。

特に北ミナス地方では、土地や気候に加え、製造技術の3つの条件を満たす、最も品質に優れたカシャッサができるという。気候は特に重要とされる。サトウキビの生産サイクルにおいては雨が大事で、前半は多くの雨を必要とし、後半は雨が少ない方がいいとされる。またさらに収穫の1ヶ月ほど前には雨がまったく降らないことが望まれる。もしこの時期に大雨が降ると、糖度が低下し苦味ができるためである。

ラム酒との違い

カシャッサとラム酒は共にサトウキビを原料とする蒸留酒である。

ブラジルでラムの名が知られるようになったのは1660年代半ば頃で、これに対しカシャッサの名が定着したのは1750年代半ばといわれる。ブラジルでラム酒の名が定着しなかったのは一説に西インド諸島を領土化したスペインとの交易対立であるともいわれる。

したがって、ブラジルでは「カシャッサはラム酒ではない」と明確に区別している。

ラム酒との違いを具体的に挙げると、以下の通りである。

  1. ブラジルと西インド諸島の気候や気温などにより、本来持っている酵素や細菌が異なる。
  2. ブラジル以外で製造されるスピリッツの多くは、200リットルのアメリカやヨーロッパの広葉樹(オーク)のに長く置かれるが、ブラジル原産のカシャッサは、それらよりも大きい1万リットル程度の樽を使う。また樽はアマゾンの森林樹や大西洋沿岸の森林樹を使う。
  3. カシャッサは砂糖抽出精製前のサトウキビの生汁を原料とするが、ラムは主に砂糖抽出後の廃糖蜜(モラセス)が原料である。

  1. ^ English pronunciation of “cachaça”, Cambridge University Press.
  2. ^ Dictionaries, Oxford (2012) (スペイン語). Oxford Essential Portuguese Dictionary. OUP Oxford. p. 30. ISBN 978-0-19-964097-3. https://books.google.com/books?id=4cecAQAAQBAJ&pg=PA30 2015年2月3日閲覧。 
  3. ^ a b c 【乾杯!世界のどこかで】歴史香る「独立の味」ブラジル・カシャッサ毎日新聞』朝刊2019年2月26日(くらしナビ面)2019年3月6日閲覧。


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