まや型護衛艦
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装備
イージス武器システム(AWS)
本型は、イージス武器システム(AWS)としてはベースラインJ7(ベースライン9.C2)、イージスBMDシステムとしてはBMD5.1を装備し、これらを統合している[16]。AWSベースライン9Cは、対空戦(AAW)機能とミサイル防衛(BMD)機能を両立した、IAMD(integrated air and missile defense)機能、およびNIFC-CA FTSを備えている。本型では、NIFC-CA FTSのためのSM-6 艦対空ミサイルは後日装備とされているが、共同交戦能力(CEC)には対応しており、海上自衛隊で初の搭載例となる[5]。
レーダー
AWSの中核となる多機能レーダーはAN/SPY-1D(V)である[16]。一方、対水上捜索用のレーダーとしては、こんごう型・あたご型に搭載されているOPS-28Eとは違い、建造時からAN/SPQ-9Bが搭載されることとされたが、「はぐろ」では就役時点では搭載されず後日装備となっていた[15]が、2022年3月に終了した年次検査の際に搭載されている。
ミサイル防衛能力
先述の通り、本型のイージスBMDシステムはBMD5.1である。本来ベースライン9Cと統合されるイージスBMD5.0システムでは、SM-3ブロックIIAの発射には対応していない。だが、本型のイージスBMDシステムは、すべてのSM-3の発射に対応できるように能力の向上が図られている[5][注 5]。
対潜戦
対潜戦システム(ASWCS)は改装後のあたご型と同じくAN/SQQ-89A(V)15Jを搭載し[19]、AN/SQS-53C艦首装備ソナーとAN/SQR-20 MFTA(Multi-Function Towed Array)曳航ソナーを組み合わせている[6][13]。なお本型では、AN/SQS-53Cソナーのバウ・ドームに収容される送受波器TR-343は日本電気により国産化されたTR-343Jが搭載されている[20]。これは対外有償軍事援助(FMS)が増加する中、国内防衛産業の技術基盤を維持するため、アメリカ海軍に仕様を確認の上で製作し、同海軍の評価・検証を経て納入に至ったものである[19][21]。
324mm3連装短魚雷発射管については、こんごう型・あたご型ではHOS-302であったのに対し、本型ではHOS-303に更新されて、Mk.46に加えて97式魚雷および12式魚雷の発射に対応した[6]。これは平時はRCSスクリーンで覆われており、必要に応じてスクリーンを開けて所定の方向に指向される[6]。スクリーンを開けるために手動では3分程度かかるが、高圧空気を使用した機力では30秒程度で開放できる[6]。
なお、あたご型では対魚雷用のデコイとして曳航具4型を備えていたが、本型では確認されていない[6]。
対水上戦
対艦兵器としては、「まや」ではあたご型と同じく90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)を搭載する[13]。ただし「はぐろ」では新開発の17式艦対艦誘導弾(SSM-2)が搭載される予定である[13]。
砲熕兵器
砲熕兵器はあたご型とおおむね同構成で、艦砲としては62口径5インチ砲(127mm単装砲)[22]を艦首甲板に、また近接防空火器(CIWS)としては高性能20mm機関砲を上部構造物正面と後部上部構造物上に搭載する[6]。
電子戦
電子戦装置としてはNOLQ-2Cを搭載している。これはこんごう型やあたご型で搭載されていた同系列機と異なり、ECM機能が削除されている[5]。
あたご型や「まや」では、艦載ヘリコプターの運用に対応するためマスト最上部に戦術航法装置(TACAN)のアンテナを設置していたが、もがみ型(30FFM)の開発過程で、マスト最上部に装備する必要のない新型TACANアンテナ(ORN-6F)が開発されたことから、「はぐろ」ではこれを導入し、マスト最上部にはNOLQ-2CのESMアンテナを設置した[16]。これによって「まや」よりもESMアンテナの設置位置が約5.5メートル高くなり、より早期に脅威電波を探知できるようになった[16]。
注釈
- ^ 2021年6月18日AN/SPY-7とベースライン9の組み合わせの案が承認された[1]。
- ^ a b c d 通常は搭載されていない。
- ^ SM-6も後日装備予定[5]。
- ^ 艦種については、アメリカ海軍の関連団体であるアメリカ海軍協会(United States Naval Institute:USNI)およびイギリスのジェーン海軍年鑑はミサイル駆逐艦[7][8]、国際戦略研究所の年報(『ミリタリー・バランス』)ではミサイル巡洋艦として種別している[9]。なお『ミリタリー・バランス』では、満載排水量9,750トン以上の水上戦闘艦を一律にミサイル巡洋艦としている[10]。
- ^ なお、イージス・アショアの代替として2隻が建造される予定の「イージス・システム搭載艦」については[17]、本型のベースラインJ7の改良型であるベースラインJ7.Bを搭載することになっており、2021年1月27日にはそのソフトウェアのリリースに伴う試験に成功した[18]。これはAN/SPY-7を搭載することができ、米海軍のイージス艦に搭載されるベースライン9及びベースライン10(予定)の機能を有する[18]。次回の試験は2021年10月に、イージス武器システム全体の能力向上試験が実施され、システム完成後はAegis Production Test Center(PTC)にて、イージス武器システムの適合試験・認証取得が実施される予定である[18]。
- ^ a b 2番艦は50t増
- ^ 3番艦は100t増
- ^ さわかぜのみ
- ^ a b 1番艦は90式、2番艦は17式
- ^ DDG-79とDDG-80は54口径。DDG-81から62口径
- ^ DDG-85から後部の1基のみ
- ^ フライトIIまではハープーン4連装発射筒が2基搭載されていたが、フライトIIA以降から搭載されなくなった。しかし、必要時には搭載できるようにスペースは確保されている。
出典
- ^ イカロス出版 2021.
- ^ a b c d e f ジャパン マリンユナイテッド 2018.
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- ^ Saunders 2009, p. 418.
- ^ Wertheim 2013, pp. 362–363.
- ^ 国際戦略研究所 2016, p. 261.
- ^ IISS 2016, p. 498.
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- ^ 香田 2015, pp. 210–213.
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- ^ a b c d 徳丸 2021.
- ^ 稲葉義泰 (2021年1月4日). “「イージス・システム搭載艦」は本当にベストな選択か? イージス・アショア代替問題”. 乗りものニュース 2021年3月24日閲覧。
- ^ a b c “The SPY-7 Hybrid Defense Security Cooperation Project with Japan Completes Initial Engineering Demonstration of Capability” (英語). 2021年3月24日閲覧。
- ^ a b “JAPAN – DDG (GUIDED MISSILE DESTROYER) 7 AND 8 AEGIS COMBAT SYSTEM (ACS), UNDERWATER WEAPON SYSTEM (UWS), AND COOPERATIVE ENGAGEMENT CAPABILITY (CEC)”. アメリカ国防安全保障協力局. 2020年7月29日閲覧。
- ^ 徳丸 2019.
- ^ “FMS調達イージス艦向けソーナー用国産送受波器の開発”. 公益財団法人防衛基盤整備協会. 2020年2月23日閲覧。
- ^ “護衛艦「まや」型”. 海上自衛隊. 2021年5月15日閲覧。
- ^ “海自護衛艦「まや」進水 イージス艦7隻目、「共同交戦能力」初搭載 情報共有で屈指の防空能力”. 産経ニュース. (2018年7月30日). オリジナルの2017年7月30日時点におけるアーカイブ。 2018年7月31日閲覧。
- ^ 海上幕僚監部 (2018年7月10日). “平成27年度護衛艦の命名・進水式について”. 2018年7月10日閲覧。
- ^ “新イージス艦「はぐろ」進水=21年就役、8隻体制へ-海自”. 時事通信. (2019年7月17日) 2019年7月17日閲覧。
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- ^ “最新型イージス艦「まや」就役 海自初の「共同交戦能力」搭載 漢字では「摩耶」”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース (2020年3月19日). 2020年3月19日閲覧。
- ^ “初の共同交戦能力、イージス艦「まや」就役 情報共有で防空能力向上”. 産経ニュース. (2020年3月19日) 2020年3月19日閲覧。
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