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ミオグロビン

英訳・(英)同義/類義語:myoglobin

酸素結合する色素タンパクで、を含む。クジラ類筋肉多量に含まれ大量タンパク質生成できることから、最初に結晶化されX線回折法分子構造決められた。

ミオグロビン

(myoglobin から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/19 08:28 UTC 版)

ミオグロビン立体構造

ミオグロビン英語: myoglobin[1])(略: Mb)は、筋肉中にあって酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵する色素タンパク質である。クジラアザラシイルカなど水中に潜る哺乳類は大量の酸素を貯蔵しなければならないため、これらの筋肉には特に豊富に含まれている。一般に動物の筋肉が赤いのはこのタンパク質に由来する。

歴史

X線回折により三次構造が解かれた最初のタンパク質として知られる。1958年ジョン・ケンドリューらはマッコウクジラのミオグロビン結晶を使って2Å分解能でその全構造を明らかにした。

構造と機能

1本のポリペプチド鎖と1分子のヘムからなり、酸素分子を結合する。筋繊維中に広く見られ、球状タンパクで酸素を蓄える。153個のアミノ酸残基から成り、1個のヘムをもち、分子量は約1万7800である。タンパク質は8個のαヘリックスをもち、それらがヘムをとり囲んでいる。酸素分子はヘムの中央にある鉄に可逆的に結合する(酸素化)。

  1. 酸素の貯蔵(Long period oxygen storage)[1][2]
  2. 生体触媒(Biochemical catalyst)[3][2]
  3. 酸素透過の促進(Facilitation of oxygen diffusion)[4][2]
  4. 酸素バッファー(Oxygen bufferあるいはShort-time oxygen storage)[2]

酸素に対する化学親和力ヘモグロビンより高く、血中のヘモグロビンから酸素を受け取り貯蔵することができる。ミオグロビンの構造と機能はヘモグロビンと類似性が高いが、ヘモグロビンが四量体であるのに対してミオグロビンは単量体である点が大きく異なっている。外部酸素濃度が低い場合、例えば筋肉の酸素要求が血液からの供給を超えた場合などにのみ酸素分子を放出し、緊急時の酸素貯蔵庫として機能する。

毒性

ミオグロビンは筋挫滅、強い圧迫、激しい運動を受けた筋肉が解放されるとカリウム乳酸などと共に大量に流れ出し、クラッシュ症候群を引き起こす。ミオグロビンやヘモグロビンヘム色素は腎毒性があるため、高ミオグロビン血症[5]による急性腎不全(尿細管壊死)を招き(ミオグロビン尿症)の原因となる[6]

誘導形態

食肉中には、酸素型(オキシミオグロビン)、還元型、メト型3種の誘導型が存在する[7]

ミオグロビンとヘム鉄

メトミオグロビンはミオグロビンのヘム鉄が Fe2+ から Fe3+ に主に酸素により酸化されたものである。生きている筋肉においては、補酵素であるNADHシトクロムb4の存在下でメトミオグロビンの補欠分子族であるヘムFe3+ を通常のミオグロビンの Fe2+還元するメトミオグロビン還元酵素の活動によりメトミオグロビンの濃度は無視できるほど少量である。死んだ筋肉である食肉は、メトミオグロビンを除去するためのこの還元作用が働かず、ミオグロビンが酸化されてメトミオグロビンが過剰に生成され、それゆえ食肉が古くなると茶色のメトミオグロビンが蓄積されるものである。

脚注

  1. ^ H. Theorell Biochem. Z. 268 73 (1934)
  2. ^ a b c d 田村守、押野臨、「ミオグロビンの生理的意義」 生物物理 1976年 16巻 1号 p.1-13, doi:10.2142/biophys.16.1
  3. ^ P. George and D.H. Irving J. Colloid. Sci. II. 327 (1956)
  4. ^ J. Wyman J. Biol. Chem. 241 115 (1966)
  5. ^ 副島昭典、北本清、長沢俊彦、「高ミオグロビン血症を呈した急性腎不全症例7例の臨床的検討とその病態に関する考察」 日本腎臓学会誌 1982年 24巻 11号 p.1289-1298, doi:10.14842/jpnjnephrol1959.24.1289
  6. ^ 藤江正雄、古谷雅子、柳沢英雄 ほか、「ミオグロビン尿症による急性腎不全を呈したalcoholic myopathyの1症例」 日本内科学会雑誌 1985年 74巻 6号 p.786-789, doi:10.2169/naika.74.786
  7. ^ 泉本勝利、小沢忍、「食肉中のミオグロビンに関する反射分光法」 酪農科学・食品の研究 1993年 42巻 5号 p.A-157-A-169, doi:10.11465/milkscience.42.A-157


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