3 Valses brillantes Op.34 CT208-210とは? わかりやすく解説

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ショパン:3つのワルツ (第2-4番)

英語表記/番号出版情報
ショパン3つのワルツ (第2-4番3 Valses brillantes (As:/a:/F:) Op.34 CT208-210作曲年1835年  出版年1838年  初版出版地/出版社Leipzig, London  献呈先: 1.Josephina de Thun Hohenstein, 2.C.d'Ivry, 3.A.d'Eichthal

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第2番 変イ長調 No.2 As dur op.34-15分00
2 第3番 イ短調 No.3 a moll op.34-25分30秒
3 第4番 ヘ長調 No.4 F dur op.34-32分30秒

作品解説

2010年1月 執筆者: 安川 智子

 いずれも華麗なる(大)円舞曲 Grande Valse Brillante」として知られるが、自筆譜には「Grand」「Brillante」共に付けられておらず(作品34-3現存する自筆譜なし)、フランスシュレジンガー社によって書き加えられたものであるとりわけ二曲目にあたる「Lento」のワルツは、「華麗なる」舞曲とは無縁憂い含んでいる。
別々の年に作曲され3つのワルツが、合わせて作品34として、1838年12月パリライプツィヒロンドン出版された。このことについて、ショパン1838年12月28日に、ジョルジュ・サンドと過ごすマジョルカ島パルマから、友人フォンターナ宛てて次のように書いている。「シュレジンガーはもっとはるかにろくでなしだ。ぼくのワルツ一つアルバムにして、ブライトコプフ売りとばそうとしたのです」。この書簡からもわかるとおり、ショパンの曲集は純粋な音楽的理由だけで成り立っているわけではなく当時出版事情ショパン自身経済状態とも密接に結びついている
変イ長調 作品34-1 
作品の基本情報
  作曲年:1835 出版年:1838(Paris, Leipzig, London
   献呈 :ヨゼフィーナ・ド・トゥン=ホーエンシュタイン嬢 A Mademoiselle J. de Thun-Hohenstein
 【楽譜所収情報
 パデレフスキ版No. 2エキエル版No. 2コルトー版:No. 2ヘンレ版:No. 2
ペータース版(原典版):No. 2補遺3[1835年9月15日付の自筆譜に基づく]あり)

 1835年9月15日書かれ自筆譜が、フランツ・アントン・フォン・トゥン=ホーエンシュタイン伯爵のふたりの令嬢アンナとヨゼフィーナがもつアルバム残されている。
ショパンワルシャワ別れたままであった両親と、1835年夏にチェコ再会果たしたカルロヴィ・ヴァリに3週間滞在後、両親を見送る途上で、ボヘミアのヂェーチェンのホーエンシュタイン家に招かれた。変イ長調ワルツは、このホーエンシュタイン家滞在中に作曲され令嬢ヨゼフィーナに贈られている。この贈られ自筆譜は、出版用いられ決定稿大きく異なっているため、ペータース新版補遺3に収録されている。出版稿に比べて即興性強くダルセーニョによる反復を伴う連鎖型である。また「Tempo di Valseワルツのテンポで)」という指示見られるが、「3つのワルツ」として出版される段階で、速度表示が「Vivace」に変更されている。
フランス初版用いられ決定稿には、ショパン形式的な面で練り直した跡が見られる16小節導入の後、典型的な舞踏ワルツリズムを刻む主部中間部変ニ長調)、再現部コーダという三部形式作品18同型であり、自筆譜にはない調号付け替えによって中間部ははっきりと示されている。

イ短調 作品34-2
 【作品の基本情報
  作曲年:1831? 出版年:1838
   献呈 :C・ディヴリ男爵夫人 A Madame la Baronne C. d’Ivri
 【楽譜所収情報
 パデレフスキ版No. 3エキエル版No. 3コルトー版:No. 3ヘンレ版:No. 3
ペータース版(原典版):No. 3

ショパン生前出版され8つのワルツ作品18, 34-1, 34-2, 34-3, 42, 64-1, 64-2, 64-3)の中で初めての短調によるワルツである。晩年作曲・出版された「3つのワルツ作品64でも二曲目に短調置いており、いずれもショパンのワルツの中で、他に代え難い詩情湛えている。
イ短調という調性、「Lento」という速度表示からも、舞踏会におけるワルツとは別次元作品である。ワルツポーランドにおいて、マズルカ並んで日常的に踊られていた舞踊であり、ショパン自身ウィーンでは「ワルツ作品呼ばれている!」と驚いていた。このイ短調ワルツがもつ一種庶民的な哀愁は、同時期に作曲された《ワルツ作品18好対照をなしており、1831年ウィーン滞在で、ショパンのワルツ観が大きく揺れている様子感じ取れる。
曲構成5つ楽想一見気まぐれ順序繰り返される(A-B-C-D-B-C-D-A-E-A)。しかし全体はやはり三部形式変形である(A-B [bcd-bcd]-A [-E-A]))。16小節憂鬱な冒頭主題Aは、低音持続音、右手配されたリズムパート、そして内声部の旋律、と声部配置例外的だが、民族合奏団の器楽合奏思わせる。この主題最後に経過部を挟んで二度繰り返される。やはり16小節からなるイ長調主題D(第5368小節)は、イ短調反復されることによって、単純ながら微妙な感情変化見事に表現している。

ヘ長調 作品34-3
 【作品の基本情報
  作曲年:1838 出版年:1838
   献呈 :A・ダイクタル男爵令嬢 A Mademoiselle A. d’Eichthal
 【楽譜所収情報
 パデレフスキ版No. 4エキエル版No. 4コルトー版:No. 4ヘンレ版:No. 4
ペータース版(原典版):No. 4

作品34-1同じくVivace華やかなワルツである。ジョルジュ・サンドとの深い恋愛が始まる1838年作曲されている。同年サンドマジョルカ島出発したことから、フランス初版のための校訂友人フォンターナ託された。自筆譜失われたため、具体的な校訂過程不明である。1839年8月8日に、サンドと過ごすノアンから、フォンターナ宛てて、このヘ長調ワルツ写しを、ダイクタル嬢へ届けたかどうか尋ねつつ、「届けていなくてもかまいませんと書き残している。献呈出版に際して一種形式化していたとも言えるかもしれない
1838年という年ジョルジュ・サンドの年というだけではない。1837年に《12の練習曲集》作品25出版終えて24曲のエチュード完成させたショパンは、すでに1836年から書き始めていた《24の前奏曲集》の作曲集中的に取り組んでいた。バッハ楽譜マジョルカ島にも持ち込んでおり、《平均律クラヴィーア曲集》に刺激受けた調性感や転調対す意識の高さはこのヘ長調ワルツにも表れている。中心となるワルツ主題導入され細かく上下する音階パッセージは、経過音多用により調を曖昧にする効果があり、自然な転調可能にしている(例え143158小節)。




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