ショパン:3つのワルツ (第6-8番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:3つのワルツ (第6-8番) | 3 Valses (Des:/cis:/As) Op.64 CT212-214 | 作曲年: 1847年 出版年: 1847年 初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel 献呈先: 1.Comtesse Delphine Potocka, 2.Baronne Nathaniel de Rothschild, 3.Comtesse Catherine Branicka |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第6番 変ニ長調 「小犬のワルツ」 No.6 op.64-1 "Petit chien" Des dur | 2分00秒 | |
2 | 第7番 嬰ハ短調 No.7 op.64-2 cis moll | 3分30秒 | |
3 | 第8番 変イ長調 No.8 op.64-3 As dur | 3分00秒 |
作品解説
この3つのワルツは、ショパンの晩年にあたる1846~1847年に作曲され、1847年に出版された。
1曲目の変ニ長調、モルト・ヴィヴァーチェは、デルフィーナ・ポトツカ伯爵夫人に捧げられた。ジョルジュ・サンドの飼っていたマルキという名の仔犬が自分の尻尾を追いかけてぐるぐると回る様子を見て作曲したというエピソードがあり、<仔犬のワルツ>の愛称で親しまれている。3部形式で書かれている。冒頭にレッジェーロ、中間部にソステヌートと記されていることから、タッチの変化が要求されるワルツとなっている。また、中間部では変イ音の短前打音による手法が印象的である。曲の最後は、4オクターヴを駆け下りる右手で締めくくられる。
2曲目の嬰ハ短調、テンポ・ジュストは、ナタニエル・ドゥ・ロスチャイルド男爵夫人に捧げられた。前曲と同様に、3部形式で書かれているが、主題の1つがリトルネロの役割を果たしている。中間部では主音が異名同音の関係にある変ニ長調に転調し、ピウ・レントとなる。長調に転じてもこのワルツの主題が持つメランコリックな性格が消えることはなく、そのことがこの曲に深みをもたらしていると言えるだろう。
3曲目の変イ長調、モデラートは、カトリーヌ・ブラニツカ伯爵令嬢に捧げられた。小節をまたぐタイが特徴的である。3部形式で書かれているが、ワルツとしては、様々な調が用いられていることもまた特徴的である。中間部では左手に旋律が現れる。このワルツの主要テーマを再現するためにこの中間部の終わりで用いられる半音階的な和声は、いかにもショパンらしい手法である。ワルツ全体の最後は、5オクターヴの音域内を駆け上がり、それから駆け下りることにより締めくくられる。
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