診断群分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 16:46 UTC 版)
診断群分類数の状況改定時期MDC数傷病名数診断群分類総数うち包括分類数 2003年4月 16 575 2,552 1,860 2004年4月 16 591 3,074 1,726 2006年4月 16 516 2,347 1,438 2008年4月 18 506 2,451 1,572 2010年4月 18 507 2,658 1,880 2012年4月 18 516 2,927 2,241 2014年4月 18 504 2,873 2,309 2016年4月 18 506 4,918 2,410 2018年4月 18 505 4,955 2,462 診断群分類は、1986年の米国エール大学における、一般産業でいうQC活動を医療に応用するための研究に端を発している。その後、各国でさまざまな形で応用され、米国で開発された診断群分類は、DRG(Diagnosis Related Group)と呼ばれている。DRGには資源消費の均質性という特徴があり、1983年、米国において、メディケアの入院医療費の支払方法として診断群分類ごとの包括支払い方式が採用された。これをDRG/PPSという。 1996年、日本でも診断群分類をベースとした定額制の方向が示され、1998年に急性期入院医療費の定額支払い方式の試行事業(日本版DRG/PPS)が開始された。その後2003年にこの診断群の考え方を踏襲して誕生したのがDPC包括支払いである。DPC(診断群分類)とは、患者ごとに傷病名や年齢、意識障害レベル(JCS)、手術、処置の有無などの治療行為を組み合わせたものである。DPC対象病院が増えてきたこともあり「DPC=包括支払い」と認識されがちであるが、DPCはあくまで診断群分類を意味しており、包括支払い制度を意味するものではない。DPCという呼称については混乱を避けるため、支払制度としてのDPC制度の略称についてはDPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination / Per-Diem Payment System)とすることで2010年12月16日のDPC評価分科会において整理された。 日本における診断群分類は、医療資源を最も投入した傷病名により分類し、次に、診療行為(手術、処置等)等により分類する構造となっている。傷病名は国際疾病分類(ICD10)、診療行為等については、診療報酬上の区分で定義されている。 2014年4月改定におけるDPCの分類項目は2,873分類であるが、包括評価対象となる診断群分類は2,309分類であり、これに該当しない患者は従来どおりの出来高払いとなる。包括評価の範囲は、主にホスピタルフィー的要素(入院基本料・検査・画像診断・投薬・注射・1,000点未満の処置などの施設報酬)であり、ドクターフィー的要素(手術料・麻酔料・1,000点以上の処置などの医療技術料)は対象外となる。従来の点数にあてはめてみると、DPCの対象となる入院患者に算定できる診療報酬の約7割が包括範囲に含まれている。(あくまでも全体の平均であり、手術等の無い入院の場合には包括部分が9割を超す場合や、短期の手術目的での入院では包括部分が1割未満の場合がある) また、2014年4月改定より一定程度治療法が標準化し、短期間で退院可能な検査・手術の診断群分類を短期滞在手術等基本料3の対象とした上で、包括範囲を全診療報酬点数とする見直しが行われた。入院5日目までに該当する手術・検査を実施した場合は短期滞在手術等基本料3として入院5日目まで定額の診療報酬となる。なお、短期滞在手術等基本料3はDPC対象病院に限定されず、保険医療機関(診療所を除く)において、入院5日目までに該当する手術等を行った場合は短期滞在手術等基本料3の対象となる。 短期滞在手術等基本料3に該当する手術・検査と診療報酬は次のとおり。 D237 終夜睡眠ポリグラフィー1 携帯用装置を使用した場合 16,773点 D237 終夜睡眠ポリグラフィー2 多点感圧センサーを有する睡眠評価装置を使用した場合 9,383点 D237 終夜睡眠ポリグラフィー3 1及び2以外の場合 9,638点 D291-2 小児食物アレルギー負荷検査 6,130点 D413 前立腺針生検法 11,737点 K008 腋臭症手術2 皮膚有毛部切除術 17,485点 K093-2 関節鏡下手根管開放手術 20,326点 K196-2 胸腔鏡下交感神経節切除術(両側) 43,479点 K282 水晶体再建術1 眼内レンズを挿入する場合 ロその他のもの 27,093点 K282 水晶体再建術2 眼内レンズを挿入しない場合 21,632点 K474 乳腺腫瘍摘出術1 長径5cm未満 20,112点 K617 下肢静脈瘤手術1 抜去切除術 27,311点 K617 下肢静脈瘤手術2 硬化療法 9,850点 K617 下肢静脈瘤手術3 高位結紮術 12,371点 K633 ヘルニア手術5 鼠径ヘルニア(15歳未満の場合) 29,093点 K633 ヘルニア手術5 鼠径ヘルニア(15歳以上の場合) 24,805点 K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(15歳未満の場合) 56,183点 K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(15歳以上の場合) 51,480点 K721 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術1 長径2cm未満 14,661点 K721 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術2 長径2cm以上 18,932点 K743 痔核手術2 硬化療法(四段階注射法) 13,410点 K867 子宮頚部(腟部)切除術 18,400点 K873 子宮鏡下子宮筋腫摘出術 35,524点
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