西アジア・マグリブ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 00:58 UTC 版)
サハラ砂漠以北のアフリカをマグリブ(日が沈む地=西方の意)と言い、文化的には西アジアと連続体とされる。この地域の国々はほぼ全てイスラム教を信仰しており文化的にも近い部分が多い。アラビア語が広く話されているが、長い歴史を持つイランのペルシャ語(および近縁な言語、タジキスタンやアフガニスタン)、強勢を誇ったオスマン・トルコのトルコ語(および近縁な言語、アゼルバイジャン)も有力な言語である。 イスラム教の中では音楽を認める考えと邪悪なものとして退ける考えの対立が長く、キリスト教のように宗教儀式で公式に音楽を使うことはないが、聖典コーランの朗唱キラーアや1日5回の祈りを呼びかけるアザーンなどは大変音楽的に聞こえる。とくにコーラン朗唱には地域などにより何種類かあり,優秀者をたたえるコンクールもおこなわれる。 伝統音楽では、単旋律、即興的、メリスマ的(音が長く伸びながら上下に動く)、微分音(半音の半分の音程)の使用、非常に複雑な拍子(48拍子まである)、ウード、サントゥール(カーヌーン)、ネイ(尺八のような笛)、ダラブッカ(太鼓の一種)、ラバーブ、スルナーイ(チャルメラのようなダブルリード楽器)の使用など、共通する特徴が見られる。 なお、ウードは琵琶・リュート・ギターの、サントゥールはダルシマーやピアノの、カーヌーンはプサルテリウムやツィターやハープシコードの、ラバーブはバイオリン・二胡の、スルナーイはオーボエの祖先であり、長く先進地帯だったこの地域は楽器の宝庫である。また、オスマントルコ以来トルコはアラブ世界の音楽的中心地となったほか、古くから軍楽が見られ、その中で使われているシンバルやトライアングル、ナッカーラ(ティンパニの先祖)とともに、ヨーロッパの音楽に多大な影響を与えた。
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