自己同型
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数学において自己同型(じこどうけい、英: automorphism)とは、数学的対象から自分自身への同型射のことを言う。ある解釈においては、構造を保ちながら対象をそれ自身へと写像する方法のことで、その対象の対称性を表わしていると言える。対象の全ての自己同型の集合は群を成し、自己同型群(automorphism group)と呼ばれる。大まかにいえば、自己同型は、対象の対称群である。
- ^ PJ Pahl, R Damrath (2001). “§7.5.5 Automorphisms”. Mathematical foundations of computational engineering (Felix Pahl translation ed.). Springer. p. 376. ISBN 3-540-67995-2 .
- ^ Yale, Paul B. (May 1966). “Automorphisms of the Complex Numbers”. Mathematics Magazine 39 (3): 135–141. doi:10.2307/2689301. JSTOR 2689301 .
- ^ Lounesto, Pertti (2001), Clifford Algebras and Spinors (2nd ed.), Cambridge University Press, pp. 22–23, ISBN 0-521-00551-5
- ^ Sir William Rowan Hamilton (1856). “Memorandum respecting a new System of Roots of Unity”. Philosophical Magazine 12: 446 .
- 1 自己同型とは
- 2 自己同型の概要
- 3 内部自己同型と外部自己同型
- 4 関連項目
自己同型群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/06 10:14 UTC 版)
対象 X の自己同型全体が(真のクラスではなく)集合をなす場合、この集合は写像の合成の下に群をなす。この群を X の自己同型群と呼ぶ。これが群をなすことは、以下のことから簡単に確認できる。 閉性(Closure):2つの自己準同型の合成は再び自己準同型となる。 結合法則(Associativity): 射の合成は常に結合的である。 単位元(Identity): 対象からそれ自身への恒等写像は単位元となる。 逆元(Inverses): 定義より、全ての同型は逆写像を持つ。その逆写像も同型であり、また自己準同型でもあるため、それは自己同型となる。 圏 C の対象 X の自己同型群は、AutC(X) あるいは、圏が前後関係より明らかな場合は、単に Aut(X) と書く。
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自己同型群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/08 06:00 UTC 版)
ベクトル空間としての V は基底 {e1, …, en} を上で述べた通りに持つ。V の任意の n 個のベクトル {v1, …, vn} を取るとき、線型代数学の知識を用いて写像 T(ei) = vi は V の線型変換に一意に拡張されることが示せる。そのような T の各々は V から V への群準同型としての自己準同型と見ることもできるし、線型変換としての自己準同型と見ることもできる。 V の自己同型に限って考えれば、Aut(V) := {T: V → V | ker T = 0} = GLn(Fp) は Fp 上の n-次正則行列全体の成す一般線型群である。 自己同型群 GL(V) = GLn(Fp) はベクトル空間の一般論により V ∖ {0} に推移的に作用する。実はこれが任意の有限群の中で基本アーベル群を特徴付ける性質である。すなわち、G が有限群でその単位元を e とし、Aut(G) が G ∖ {e} に推移的に作用するならば G は基本アーベル群である。(証明: Aut(G) が G ∖ {e} に推移的に作用するならば、G の単位元でない任意の元は同じ位数を持ち、それは素数である必要があるから、G は p-群である。p-群は非自明な中心を持つが、いまそれは任意の自己同型で不変であるから G 全体に一致する。)
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自己同型群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 00:51 UTC 版)
詳細は「対称群と交代群の自己同型群」を参照 nAut(An)Out(An)n = 1, 21 1 n = 3 C 2 {\displaystyle C_{2}} C 2 {\displaystyle C_{2}} n ≥ 4, n ≠ 6 S n {\displaystyle S_{n}} C 2 {\displaystyle C_{2}} n = 6 S 6 ⋊ C 2 {\displaystyle S_{6}\rtimes C_{2}} V = C 2 × C 2 {\displaystyle V=C_{2}\times C_{2}} 一般の n > 3 (n ≠ 6) に対する An の自己同型群は対称群 Sn で、内部自己同型群として An を外部自己同型群として Z/2Z を持つ。このとき外部自己同型群は奇置換による共軛変換から得られる。 n = 1, 2 のとき自己同型群は自明群である。n = 3 の場合の自己同型群は Z/2Z で、内部自己同型群は自明、外部自己同型群は Z/2Z である。 A6 の外部自己同型群はクラインの四元群 V = Z2 × Z2 であり、S6 の外部自己同型に関係がある。The extra outer automorphism in A6 swaps the 3-cycles (like (123)) with elements of shape 32 (like (123)(456)).
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自己同型群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 14:20 UTC 版)
P1(R) 上の写像は射影変換 (homography, projectivity) と呼ばれる。これら自己同型は中心射影(英語版)あるいは平行射影(英語版)およびそれらの合成によって人為的に構成することができる。斉次座標系を用いれば、自己同型の全体は射影線型群 PGL(2, R) によって与えられる。これは実二次の正方行列を互いに定数倍のみ異なるもの同士で同一視したものによって得られる。 具体的には、PGL(2, R) の元は、x を射影直線上のアフィン座標とする一次分数変換 x ↦ a x + b c x + d ( a d − b c ≠ 0 ) {\displaystyle x\mapsto {\frac {ax+b}{cx+d}}\quad (ad-bc\neq 0)} によって実現される。 群 PGL(2, R) は実射影直線上三重推移的、つまり相異なる点の三つ組が二つ与えられたとき、必ず一方の三つ組を他方の三つ組に写す自己同型写像がただ一つ存在する。任意の一点の(特に「無限遠点」の)一点固定群は、直線のアフィン群になる。 PGL(2, R) は、ローレンツ群の部分群である擬直交群 SOo(1,2) に同型であるから、実射影直線上の自己同型はローレンツ変換として表すことができる。例えばローレンツブースト f ( x ) = x + v / c x v / c + 1 {\displaystyle f(x)={\frac {x+v/c}{xv/c+1}}} f(1) = 1, f(–1) = –1, f(0) = v/c なる性質を持つ ℤ ⊂ ℝ ⊂ ℂ であるから、射影変換群 PGL(2, R) はモジュラー群 PGL(2, Z) とメビウス群 PGL(2, C) の中間にある。
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