経錦
名称: | 経錦 |
ふりがな: | たてにしき |
芸能工芸区分: | 工芸技術 |
種別: | 染織 |
認定区分: | 各個認定 |
指定年月日: | 2000.06.06(平成12.06.06) |
解除年月日: | |
指定要件: | |
備考: | |
解説文: | 経錦は、錦の一つで、複数の経糸【たていと】の浮き沈みで地と文様を織り出す染織技法である。その複数の経糸を一組として扱いながら、地または文様に必要な経糸を表に浮かせ、他を裏に沈めるための二種類の緯糸【ぬきいと】を交互に打ち込んで織りすすめていくものである。中国では、少なくとも前漢(前二〇六-後八)の時代にはすでに高度な技術を示す経錦が織られていたとされている。『魏志倭人伝』に、二三九年、卑弥呼が魏帝へ貢物を献じたのに対して、魏帝から経錦と考えられる「紺地句文錦【こんじくもんきん】」などが贈られたことが記されており、法隆寺には七世紀の飛鳥時代の「蜀江錦【しょくこうきん】」(重文)が伝世する。色数や文様の大きさが制限されるなど織り方が複雑で大変高度な技術を要するため、比較的製織が容易で華やかな緯錦【ぬきにしき】の登場とともに奈良時代以降その技術は次第に衰えた。近年、伝統的な技法を基本としながら、素材の吟味や織り方の創意工夫が加えられ、この技法を駆使する活発な制作活動が行われており、歴史的にも芸術的にも価値の高い工芸技術となっている。 |
経錦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/01 21:03 UTC 版)
多色の経糸と単色の緯糸を用いた錦。複数色(3色程度)の経糸を一組とし、このうちいずれかの色糸を浮かせ、他の色糸を沈めることによって地と文様とを表す。緯糸には母緯(おもぬき)と陰緯(かげぬき)の2種類がある複様組織である。母緯とは、経糸とともに地を構成するための糸であり、陰緯とは、たとえば3色の経糸を用いた経錦の場合は、3色のうちの1色のみを表面に出し、他の2本の経糸を沈める役割をする糸である。なお、母緯と陰緯については、それぞれ「地緯」「文緯」と呼ぶべきであり、「陰緯」という呼称は不適切だとする研究者もいる。技術的な制約から、使用する色数や文様単位の大きさには限界があり、色数は3色程度が普通である。中国では、漢、南北朝、隋を経て初唐頃まで行われたが、以後は緯錦に取って代わられ、製作されなくなった。日本では正倉院より一時代古い法隆寺裂の中にみられ、蜀江錦と呼ばれる裂がこれにあたる。
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