範囲と特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 10:19 UTC 版)
マニエリスムの定義そのものが悪名高いと言えるほどに複雑で、それに対して大いに否定的、あるいは還元的に定義される反マニエリスムの定義も同様に複雑である。ヴェネツィアをはじめとする北部の中心地を筆頭に、イタリアの多くの地域は、盛期ルネッサンスとマニエリスム双方の反動を受けやすい場所に位置しており、単に地域的なルネッサンス様式の継続的な発展を、それも適度な''マニエラ''(手法)の影響を受容したことで反マニエリスム様式と呼ばれ得るスタイルに到達した 。この用語は、フィレンツェやローマといった純粋な''マニエラ''の中心地において、その奥底に横たわる原理を否定はしないものの、当時流行したその様式に反発した画家に対して用いられることが多い。 フリードバーグはこの語の提案に際して、「対応関係」(counterpart)や「対位的手法」(counterpoint)などの語と比較しつつ、「これら二つの語の間にある並行性や関係性、そして同時にそれらが対立していることを暗に示す」意図があると説明している。 反マニエリスム作品においてもしばしばみられる''マニエラ''の特徴は、適度にではあるものの、作品内容の理想化・抽象化された提示方法、自然主義の欠如、感情表現の忌避や、フリードレンダーが指摘したように、絵画の前面かつ同一平面上に複数の人物が配置され、しかもそれらによって埋め尽くされていることにある。 排除された''マニエラ''の要素には、教養ある鑑賞者が探し出さねばならない極限まで突き詰めようとする衝動、優美な印象のために全てを犠牲にしようとすらする意欲、遊び心やウィット、 絵の細部や雰囲気が、重要だと思われる人物の邪魔になったり、覆い隠したりすることを許容する態度が包含されている。この様式は宗教画にふさわしい作法を復興し、そういった宗教上の中核的人物から注意を逸らすような要素を取り去った 。1585年からはじまるこの様式の円熟期に入ると、芸術家や教会の上層は大衆に対して訴求する重要性を認識していたようで、それまでの時代にあった厳格さは緩和され、時には感傷主義的になることもあった。 The term counter-maniera is not usually applied to the more radical Bolognese reaction of the カラッチ家(英語版) from the 1580s, although this represented a more effective rejection of Mannerist artificiality. For Freedberg this was "a new and un-Maniera attitude to art"; elsewhere he cautions against confusing Counter-Maniera with "anti-Maniera", apparently reflecting "Anti-Mannerism", the term used by ウォルター・フリートレンダー(英語版) for the "palpable break in the stylistic development of Italian painting" that occurred "sometime around 1590".この用語の使い方は北方マニエリスム(英語版)には影響を及ぼさなかった。 何が作品における反マニエリスム的特徴であるかを定義するかは簡単なものではない。ジョン・シャーマン(歴史家)(英語版)の著作である『マニエリスム』(1967年)の一つの節では、サンティ・ディ・ティートの《トマス・アクィナスの幻視》を取り上げている。フリードバーグはサントについては古典的な自然主義としてその類似性は認めつつも、様式の定義から外している。シャーマンの反マニエリスムにおける他の主な例として、同じくフリードバーグが彼の定義で触れなかったフェデリコ・バロッチを挙げた。
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