海上保安庁の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 01:43 UTC 版)
「EB・キャリア号船内暴動事件」の記事における「海上保安庁の対応」の解説
第十一管区海上保安本部では直ちに警備対策本部を設置し、巡視船艇7隻・航空機9機を出動させた。このなかには、第七管区の特警船である「くにさき」も含まれていた。当時、第11管区では石垣島での新空港建設への反対運動に対する雑踏警備を行っていたが、同管区には特警船がなかったため、第七管区の特警船である「くにさき」が派遣されており、その警備を終えた直後でまだ第11管区の管内にいたため、引き続き増援を要請されたものであった。また第五管区海上保安本部の関西国際空港海上警備隊(海警隊)も増援として派遣されており、YS-11で伊丹空港から那覇空港に移動したのち、ベル 212に乗り換えて現場上空に進出した。 当初の情報では事態が極めて緊迫していると考えられたことから、在沖フィリピン名誉領事をYS-11に同乗させ、現場海域において、無線交信による暴動関係者の説得を行った。また本庁を経由して関係大使館に事案を通報し、パナマ、イギリス、フィリピン大使館から、イギリス人船員の救助を要請する口上書を受領した。これを受けて「くにさき」に対して救助の命令が下され、同船の後藤航海長および特別警備隊が乗船することになった。ただし武器の携行は認可されたものの、現場は公海上の外国船で、日本人の関与もないことから、あくまでも「外国政府からの要請に基づくレスキューオペレーション」であって、警察官職務執行法を準用しての危害射撃や威嚇射撃を行うことはできず、正当防衛に限られるという問題があった。 8月14日午前、「くにさき」特警隊は、現場でPC型巡視艇に乗り換えたのち、EB・キャリア号に乗船した。またその乗船を援護するため、海警隊も甲板にホイスト降下しており、合計で16名の海上保安官が乗船した。乗船した海上保安官によって船長は保護されたが、この時点では、船長室に籠城しているのは船長のみとなっており、他の高級船員は船橋に上がっていた。また暴動を起こした船員は船内に隠れており、その他の船員は暴動には関与していなかった。暴動の際に同船のエンジンや発電機は破壊されていたが、海上保安官2名の護衛のもとで英国人船員が修理を行い、3~4時間で復旧した。
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