浜尾四郎と横溝正史とは? わかりやすく解説

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浜尾四郎と横溝正史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 13:44 UTC 版)

濱尾四郎」の記事における「浜尾四郎と横溝正史」の解説

検事だった浜尾文筆家として新青年』に引っ張り出したのは、当時編集部にいた横溝正史だった。きっかけは、小酒井不木手紙横溝に「浜尾がひじょうな秀才で、かつて帝大総長だった浜尾新養嗣子で、子爵にして検事で、しかも探偵小説について深い造詣関心をもっている」として、「何か氏に書いていただいたらどうか」と教示してきたことからだった。 横溝浜尾作品未読だったが、当時は「探偵小説といえば一般から侮蔑の目で見られていた時代で、そういう時代だからこそ浜尾のような肩書き持った現職検事探偵小説壇に引っ張り込むということが、探偵小説対す一般認識高めるために有効なではないか考え1927年昭和2年)から1929年昭和3年)ごろのある冬の夜に、さっそく原稿依頼牛込高級住宅街にあった浜尾邸宅訪ねた横溝浜尾について、子爵検事という肩書から、いかめしい尊大な人物想像してひそかに懼れていたが、そこに出てきたのは「のごとき痩身いたって無造作和服着流しつつんだ尊大とはおよそ正反対いたって愛想良い紳士」で、「とかくひとみしりをしがち」という横溝もすぐくつろいだ気持になり、小一時間話し込み、「これほど座談お上手なひとも珍しいのではないか」と思ったという。 横溝その時浜尾から一事不再理についてのトリックいくつか教示してもらった横溝感心したが、深い法律的造詣が必要と思い浜尾にこのトリック使って作品を書くよう勧めた横溝は「のちにクリスチーの『スタイルズ怪事件』に、そのトリックがうまく使われているのを読んでいまさらのように浜尾さんの探偵小説センス敬服したものであった」と語っている。このときの依頼浜尾書いたのは『落語における探偵趣味』というふうな随筆だった。 横溝浜尾直接会ったのはそれきりで、他の雑誌移ったため、それ以上親しくするチャンス失った。「のちに、たとえ時期へだててもおなじ本格探偵小説肝胆を砕くようになったふたりなのだから、もっと深く謦咳接しておくべきだったと、いまにして思えば残念でならない」と浜尾偲んでいる。 この初対面時に浜尾横溝に、小冊子大の和綴じ春本見せた。それは多数男たち一人の女に対す集団強姦描いた世にもえげつない場面連続」で、筆致からすぐ責め研究家として有名な画伯連想したが、「エロ通りこしてグロよいところ」で、当時20代横溝も「春情そそられるどころか腹の底固くなるようなグロ・シーンの連続だった」という。実はこれは検事である浜尾事件押収した物件で、『新青年』から若い記者が来るからと、反応試そうとわざわざ持ち帰っていたものだった。横溝が「腹の底かたくしながら、負けおしみもてつだって最後まで見おわると」、「いたずらっけの強い検事先生」はその小冊子取り上げ、「ひどいですね」と言いながら、「まるでやさしいメフィストフェレスみたいな顔をして、にこにこと笑ったのである」という。

※この「浜尾四郎と横溝正史」の解説は、「濱尾四郎」の解説の一部です。
「浜尾四郎と横溝正史」を含む「濱尾四郎」の記事については、「濱尾四郎」の概要を参照ください。

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