求核剤とは? わかりやすく解説

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きゅうかく‐ざい〔キウカク‐〕【求核剤】


求核剤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/30 00:20 UTC 版)

求核剤(きゅうかくざい、nucleophile)とは、電子密度が低い原子(主に炭素)へ反応し、多くの場合結合を作る化学種のことである。広義では、求電子剤と反応する化学種を求核剤と見なす。求核剤が関与する反応はその反応様式により求核置換反応あるいは求核付加反応などと呼称される。求核剤は、反応機構を図示する際に英語名の頭文字をとり、しばしばNuと略記される。


注釈

  1. ^ 共役酸のpKaが高いほど求核剤にプロトンが付加しやすく、よい求核剤とみなせる。
  2. ^ ただし、カルボニル基との反応は軌道相互作用にも支配される。
  3. ^ ただし、この場合は静電相互作用と軌道相互作用どちらも小さく、Hudsonが提示した規則から軟らかい求電子剤とみなせる。

出典

  1. ^ a b J・クレイデン; N・グリーブス; S・ウォーレン 著、野依良治ほか 訳 『ウォーレン有機化学(上)』(第2)東京化学同人、2015年、107 - 111頁。ISBN 978-4-8079-0871-4 
  2. ^ K・P・C・ボルハルト; N・E・ショアー 著、村橋俊一ほか 訳 『ボルハルト・ショアー現代有機化学(上)』(第6)化学同人、2011年、78 - 79頁。ISBN 978-4-7598-1472-9 
  3. ^ a b c 野依良治ほか 編 『大学院講義有機化学 (1)分子構造と反応・有機金属化学』(第2)東京化学同人、2019年、132 - 134頁。ISBN 978-4-8079-0820-2 
  4. ^ a b c d e K・P・C・ボルハルト; N・E・ショアー 著、村橋俊一ほか 訳 『ボルハルト・ショアー現代有機化学(上)』(第6)化学同人、2011年、284 - 293頁。ISBN 978-4-7598-1472-9 
  5. ^ 野依良治ほか 編 『大学院講義有機化学 (1)分子構造と反応・有機金属化学』(第2)東京化学同人、2019年、40 - 43頁。ISBN 978-4-8079-0820-2 
  6. ^ a b c d e J・クレイデン; N・グリーブス; S・ウォーレン 著、野依良治ほか 訳 『ウォーレン有機化学(上)』(第2)東京化学同人、2015年、360 - 362頁。ISBN 978-4-8079-0871-4 
  7. ^ J・クレイデン; N・グリーブス; S・ウォーレン 著、野依良治ほか 訳 『ウォーレン有機化学(上)』(第2)東京化学同人、2015年、519 - 521頁。ISBN 978-4-8079-0871-4 
  8. ^ a b c I・フレミング 著、福井謙一ほか 訳 『フロンティア軌道理論入門 有機化学への応用』講談社、1978年、40 - 47頁。ISBN 4-06-139250-6 
  9. ^ a b I・フレミング 著、福井謙一ほか 訳 『フロンティア軌道理論入門 有機化学への応用』講談社、1978年、54 - 55頁。ISBN 4-06-139250-6 
  10. ^ K・P・C・ボルハルト; N・E・ショアー 著、村橋俊一ほか 訳 『ボルハルト・ショアー現代有機化学(上)』(第6)化学同人、2011年、318 - 319頁。ISBN 978-4-7598-1472-9 
  11. ^ K・P・C・ボルハルト; N・E・ショアー 著、村橋俊一ほか 訳 『ボルハルト・ショアー現代有機化学(上)』(第6)化学同人、2011年、334 - 335頁。ISBN 978-4-7598-1472-9 
  12. ^ Prof. H. Mayr, LMU München”. Herbert Mayr. 2021年2月25日閲覧。
  13. ^ J・クレイデン; N・グリーブス; S・ウォーレン 著、野依良治ほか 訳 『ウォーレン有機化学(上)』(第2)東京化学同人、2015年、129 - 131頁。ISBN 978-4-8079-0871-4 


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求核剤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/21 14:29 UTC 版)

SN2反応」の記事における「求核剤」の解説

基質同様に、求核剤の強さ立体障害度合い依存する例えばメトキシド(英語版アニオン強塩基あり、かメチル基立体的に混み合っていないため、強い求核剤となる。一方tert-ブトキシドは、強塩基ありながら中心炭素メチル基3つ結合しているため弱い求核剤である。また、求核剤の強さ電気陰性度電荷にも依存する負電荷大きく電気陰性度小さ物質を強い求核剤と呼ぶ。例えば、OH−はよりも強い求核剤で、I−はBr−より強い求核剤である(極性溶媒において)。非プロトン性極性溶媒英語版)中では、溶媒と求核剤の間で水素結合生成しないため求核剤は周期表上で上に行くほど強くなる。この場合、求核剤の強さ塩基としての強さ比例する。したがって、この場合I−はBr−より塩基としては弱いため、弱い求核剤となる。つまり、強い求核剤や、陰イオン性の求核剤は求核置換反応ではSN2反応起こしやすいということである。

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「求核剤」を含む「SN2反応」の記事については、「SN2反応」の概要を参照ください。


求核剤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/08/13 16:27 UTC 版)

アンビデント」の記事における「求核剤」の解説

アンビデント求核剤とは、分子上の異なる2か所に求核性有する原子を持つ化学種である。エノラートイオン骨格中の炭素原子酸素原子どちらも求核性有するアンビデントな求核剤である。

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「求核剤」を含む「アンビデント」の記事については、「アンビデント」の概要を参照ください。

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