弁護士の就職難と経済的困窮、職業としての魅力の減少とは? わかりやすく解説

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弁護士の就職難と経済的困窮、職業としての魅力の減少

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 14:04 UTC 版)

法科大学院定員割れ問題」の記事における「弁護士の就職難と経済的困窮、職業としての魅力の減少」の解説

法科大学院制度は、法曹対す需要急激に増大するとの予測前提に、旧司法試験制度のままでは合格者の質を維持したまま法曹人口の大幅な拡大を図ることができないという理由から、「質量ともに豊かな法曹」を養成するための制度として設けられた。しかし、法科大学院制度の導入提言した司法制度改革審議会意見書は、「平成222010年ころには新司法試験合格者数年間3,000人を目指すべきである」との数値目標掲げていたものの、実際に司法試験委員会判断により新司法試験合格者数年間2,000程度とどまったほか、その後検討により「年間3,000人」という数値目標には特に根拠がないことが明らかとなり、既に法科大学院への入学者数も年間3,000人を下回っている等の事情からこのような数値目標掲げることは現実性を欠くと判断されたため、平成252013)年7月16日法曹養成制度関係閣僚会議決定により、上記数値目標正式に撤回された。したがって法科大学院制度の導入に伴い司法試験合格者数従来より大幅に増員されたものの、当該増員を必要とするだけの法曹需要そもそも存在しなかったことになる。このように具体必要性を欠く法曹人拡大政策により、弁護士求人市場大幅な供給過剰となり、特に若手弁護士多く深刻な就職難経済難に喘いでいる旨が繰り返し指摘され多額学費支払って法科大学院入学し苦労して弁護士資格取得して経済的に割に合わないことが社会にも広く周知され結果法科大学院大幅な入学者減少定員割れ招いた可能性否定できない。なお、若手弁護士深刻な就職難経済難を示す根拠としては、主に以下のようなものが挙げられる(1)弁護士未登録者の増加旧司法試験時代には、司法修習終えた者は裁判官または検察官任官した者を除き、ほとんどが一括登録時点で弁護士に登録していた。しかし、特に新司法試験制度導入された後は、一括登録時点において弁護士登録をしない者(弁護士未登録者)が年々増加しており、第60期102人、第61期は132人、第62期は184人、第63期は285人、第64期は464人、第65期は546人、第66期は570人の弁護士未登録者が発生している(いずれも現行修習新修習の修了者合計した数である)。特に、平成252013)年12月司法修習終えた66期司法修習生のうち、一括登録時点で裁判官検察官弁護士のいずれにもなっていない者(弁護士未登録者)の割合は28.0%にのぼっており、4人に一人法曹としての職を得られていないことになる。なお、一括登録時点で弁護士登録をしない者も、その多くは数か月以内弁護士登録をしているため、日本弁護士連合会では一括登録時点から1カ月後、2カ月後、3カ月後、4カ月後、6カ月後及び12か月後における弁護士未登録者数も公表しているが、これらの時点における弁護士未登録者数も年々増える一方である。 (2)軒弁」「宅弁」「即独」などと呼ばれる弁護士増加旧司法試験時代弁護士になる者はまず既存法律事務所就職してイソ弁」となり、数年程度実務経験積んでから独立開業するのが一般的であった。しかし、司法試験合格者数の急激な増加により、司法修習終えて既存法律事務所就職できないため、やむを得ず修了直ち独立開業してしまう弁護士等が急増し、「軒弁」「宅弁」「即独」などという新たな業界用語弁護士業界に定着する至った日本弁護士連合会はこの現象を「若手弁護士深刻なOJT不足」として問題視しOJT機会少ないと推測される新人弁護士の数を公表している。関連する主な業界用語その意味は、以下のとおりである。「軒弁のきべん)」既存法律事務所所属するが、事務所雇用されているわけではなく、単に軒先借りている弁護士という意味である。事務所からの固定給原則としてないため、弁護士としての収入自力で稼がなければならず、さらに所属事務所経費支払なければならないケースもある。「宅弁たくべん)」既存法律事務所所属せず、自宅を登録事務所として独立開業する弁護士という意味である。「即独(そくどく)」既存法律事務所所属せず、司法修習修了即時独立開業する弁護士という意味であり、宅弁のほか、自宅以外の事務所用意して独立開業する場合を含む。即独弁護士正確な数は不明だが、日本弁護士連合会調査によると、平成262014)年1月現在、新人のみの1人事務所71事務所新人のみ2人上の事務所18事務所存在している。なお、厳密な意味の「即独」には当たらなくても、例え就職した事務所1か月程度といった極めて短期間退職しその後独立開業するケース少なくないようであり、日本弁護士連合会弁護士登録後1年以内独立開業する弁護士を「早期独立弁護士」と定義し若手法曹センターが『即時早期独立開業マニュアル』を発行するなど、早期独立弁護士支援努めている。言い換えると、もはや即独弁護士早期独立弁護士発生防止する方向での支援不可能であるため、そのような弁護士に対す情報提供等の支援切り替えている、ということである。「アパ弁(あぱべん)」司法修習終えた後、数名共同してアパートなどの一室借り、そこを登録事務所として独立開業している弁護士という意味である。「ケー弁(けーべん)」携帯電話持って市内徘徊している弁護士という意味であり、「ケータイ弁」とも呼ばれる弁護士に関す報道で時々使われることがある。なお、自由民主党河井克行議員2014年に、日本弁護士連合会による調査結果及び回答率の減少踏まえ、第65修了弁護士有資格者1,916名のうち「きちんとした就職先確保できた」と答えた者は1,255であったのに対し、第66期修了弁護士有資格者1,856名のうち「きちんとした就職先確保できた」と答えた者は827名に過ぎず猛烈な就職難がいま現場で起きているなどとブログ指摘している。 (3)年間所得著しく低い弁護士増加国税庁確定申告に基づき業種別の所得階級別人員」を毎年公表しているが、弁護士のうち年間所得が「70万円以下」「赤字」として申告する者が年々増加しており、平成242012)年には弁護士として確定申告をした者35,902人のうち、「損失のある者」が7,786人、「年間所得70万円以下」が5,508人存在するなど、年間所得著しく低い弁護士急増指摘されている。

※この「弁護士の就職難と経済的困窮、職業としての魅力の減少」の解説は、「法科大学院定員割れ問題」の解説の一部です。
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