効用理論
【英】: utility theory
投資の結果が損失に終わる可能性もあるようなリスク事業――例えば石油探鉱事業――の評価法並びにリスク分析法としては、確率論を加味して算出された結果を、あり得べき損失額や期待できる収益額として示すことが行われている。しかし、このような賭けに類するリスク事業の評価には、金額の数学的取扱いだけではすまない面がある。例えば石油の探鉱開発においても、資金豊富な大企業は少々のリスク投資損失は意に介さず、また大量輸送の対象とならない少量の産油にはあまり興味を示さないのに対して、ローカルな小企業にとってはリスク損失が非常に気になると同時に、近くに自社の製油所でもあればそこへの供給原油を補うために小規模油田であっても高い関心がある。このようにリスクに対する対応性向が異なるのは、各企業によって効用が違うということだと考える。効用理論は、投資の評価の直接の物差しは金額そのものではなくて効用値だとするものであるが、それには効用が数量化され得ることと、損失額(-)や収益額(+)と効用値との関数関係が方程式またはグラフとして明示される必要がある。この効用曲線は企業の内外の事情が変化するにつれて変化するので、実際上は、評価すべき事業が発生するごとに、まず通常の方法により求めた金額値を基本にして、これにそれ以外の要素を勘案して効用を評定するということになる。 |
効用理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 09:48 UTC 版)
「ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ」の記事における「効用理論」の解説
ジェヴォンズは、彼の経歴のかなり早い時期において、経済学と論理学に対する彼の最も特徴的かつ独創的な貢献の本質となる学説に到達した。彼の経済学の一般理論の基調となったこの効用理論は、1860年には実際に手紙の中で公式化されており、類似物の代替についての彼の論理法則の萌芽は、1861年に書かれた他の手紙の中で提起した、「哲学とは、物事の類似性をただ単に指摘することを意味するだけだ、ということがわかるだろう」という考え方に見出される。 先に言及した効用理論、即ちある商品の効用の度合は、利用可能な商品の量についての連続的な数学的関数である、という理論は、そこに暗示される、経済学は本質的に数学的な科学である、という学説と共に、1862年に英国学術協会のために書かれた『経済学の一般的数学理論』での論文において、より明瞭な形で採用された。この論文は1862年にも、4年後に"Journal of the Statistical Society"に出版された時にも、多くの関心を惹き付けたようには見えない。その状況は、彼が自身の学説を完全に発展した形で送り出した『経済学理論』が現れる1871年まで続いた。 その出版後はそうではなかった。彼は初期の文筆家、特にアントワーヌ・オーギュスタン・クールノーとヘルマン・ハインリヒ・ゴッセン等によって行われた、経済学への数学の適用に精通した。効用理論は1870年頃からいくつかの同じような系列上で、オーストリアのカール・メンガー、スイスのレオン・ワルラスによって独立に発展した。交換における価値と最終の効用(あるいは限界効用)との間の関係の発見に関しては、優先権はゴッセンにある。しかし、この事が、その原理を彼が新たに発見し、これによって最終的にその原理を認知させたことによって、彼が英国経済学に与えた貢献の重要性を決して損なうものではない。流布している見方では、彼の反応の中には、彼は時々、正当な資格無しに自説を述べたというものがある。例えば、『経済学理論』の初めに書かれた宣言、「価値は効用に完全に依存するか?」は、誤解を招いた。しかし、強調点のいくらかの誇張は、無関心な世間の注意を引きつけようと努める文筆家には許容されるかもしれない。経済学を作り変えようとする新古典主義革命が開始された。
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