初演に対する評価とは? わかりやすく解説

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初演に対する評価

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 07:45 UTC 版)

ザ・カブキ」の記事における「初演に対する評価」の解説

初演対す反応賛否両論であり、ラストシーン切腹シーン集団自決のようだという批判もあった。しかし、どちらかと言えば歌舞伎よく知っている人の方が、このバレエ好意的に見ていたとされる前述フランソワ・ヴェイエルガンスによる『ル・モンド紙上記事歌舞伎飛翔するベジャール」(1986年5月18日19日)は、ダンサーたちのレベルの高い踊り観客喜ばせ判官幽霊登場させるなどのベジャールの工夫日本人高く評価され日本人中には終幕感動して涙する者がいるとしながらも、文化の違いにより日本ヨーロッパでは全く異なった見方がされることを予測し東京バレエ団はベジャールのネームバリューエキゾチックなタイトル・テーマによりヨーロッパ席巻するだろうと、作品普遍的な価値積極的に見出していない。 同様に4月21日付け毎日新聞は、「欧州人通じるか、死の美学」という見出しで、塩冶判官勘平四十七士次々と切腹するこの作品美学真意ヨーロッパ人々通じるのか、という不安を述べている。ただし、第6場「雪の別れ」における、塩冶判官亡霊顔世御前由良之助復讐を迫るシーン緊迫感や、随所登場する伴内狂言回しぶりを「出色」と評価している。 一方4月18日付け朝日新聞夕刊は、「心理描写本領発揮 ベジャール「ザ・カブキ」」と題し、特に後半部分の心理描写見事さ高く評価しラストシーンは「死の美学実演してみせるような幕切れ」と評している。 読売新聞4月19日付け夕刊大きく紙面割き『水戸黄門』などで知られ歌舞伎にも詳しい小説家 村上元三による批評掲載した村上はベジャールのこれまでのバレエ毛嫌いしていたことを告白しつつ、『ザ・カブキ』を高く評価し忠臣蔵」を深いレベルまで読み込んで新し作品作り出したベジャールに敬意表している。 見事なベジャールの世界-「ザ・カブキ」に脱帽 (略)当夜の『ザ・カブキ』のプロローグから、歌舞伎では大序に当たる鶴ヶ岡八幡宮社頭、そして刃傷場面至って、わたしは完全に脱帽した。『忠臣蔵』を下敷きにしているには違いないが、これは完全にベジャールの世界であり、そして『忠臣蔵』をこわしていない。ベジャールは『忠臣蔵』をよく理解して、どころではない。『忠臣蔵』の底に流れているものを、はっきりつかんでいる。 (中略芝居でいう討入りの場は、音楽もいいし、まさに圧巻であった由良之助はじめ塩谷ママ浪人たちの群舞見事だし、判官亡霊効果的で、クライマックス運んでいく動きも無理はない。フィナーレ背景大きく輝く太陽は、まことにザ・カブキ』らしい終末であり、日本好きなベジャールに好意上のものを感じた客席には若い女性多かったが、中には歌舞伎の『忠臣蔵』を観たこともない人がいただろうが、そういう人たちが『ザ・カブキ』を観て、どう思ったのか、それがききたかった。 ともかく、面白かった最後に一言、「ベジャールさん有難う」。 — 村上元三(「読売新聞4月19日夕刊)、『読売新聞縮刷版1986年4月号』、783頁より引用 1980年代半ばの「忠臣蔵ブーム」の火付け役となった丸谷才一も『ザ・カブキ』の初演会場前列鑑賞しその後フランス文学者諏訪正との対談の中で同作品について語っている。丸谷と諏訪は、プロローグにおける「日の丸」の演出対す違和感示しつつも、ベジャールが直感的につかんだ忠臣蔵」の本質が、偶然にも丸谷が提唱する考え方とほぼ一致していると結論づけている。

※この「初演に対する評価」の解説は、「ザ・カブキ」の解説の一部です。
「初演に対する評価」を含む「ザ・カブキ」の記事については、「ザ・カブキ」の概要を参照ください。

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