光化学系
光化学反応
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光化学反応(こうかがくはんのう、英語: photochemical reaction, light‐dependent reaction)は、物質が光を吸収して化学反応を起こす現象であり、一般には、色素分子が光エネルギーを吸収し、励起された電子が飛び出し、物質の酸化還元を引き起こすものであるが、特に生物学で光合成の過程に含まれるこのような化学反応を指す。光合成における光化学反応では、特定のクロロフィル分子がこの反応を起こし、還元物質NADPHやATPの合成の源となる。酸素発生型光合成では光化学反応により水を電子供与体として用い、酸素を発生し(=水の光分解)、炭酸ガスを還元する。光合成系に含まれる多数のクロロフィル分子のうち光化学反応を起こすのは特定の分子(二量体)だけなので、クロロフィルの特別ペア (special pair) という。これ以外のクロロフィルは、集光色素または電子受容体などとしてはたらく。
- ^ Béjà, Oded; Aravind, L.; Koonin, Eugene V.; Suzuki, Marcelino T.; Hadd, Andrew; Nguyen, Linh P.; Jovanovich, Stevan B.; Gates, Christian M. et al. (2000-09-15). “Bacterial Rhodopsin: Evidence for a New Type of Phototrophy in the Sea”. Science 289 (5486): 1902–1906. doi:10.1126/science.289.5486.1902 .
- ^ Giovannoni, Stephen J.; Bibbs, Lisa; Cho, Jang-Cheon; Stapels, Martha D.; Desiderio, Russell; Vergin, Kevin L.; Rappé, Michael S.; Laney, Samuel et al. (2005-11). “Proteorhodopsin in the ubiquitous marine bacterium SAR11” (英語). Nature 438 (7064): 82–85. doi:10.1038/nature04032. ISSN 1476-4687 .
光化学系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/08/14 13:40 UTC 版)
光化学反応中心コアは Psc A のホモダイマーで P840 を初発電子供与体として持ち、サブユニットあたり約40分子のバクテリオクロロフィル a を光捕集系として持つ。その他の光化学反応中心を構成するサブユニットとしては Psc B(FAFB)、Psc C(ヘム結合タンパク)、Psc D(機能不明)が有る。
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光化学系
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光化学反応中心コアはLおよびMサブユニットによるヘテロダイマーであり、ほとんどの種において反応中心色素(スペシャルペアー)はバクテリオクロロフィル a であるが、B. viridis ではバクテリオクロロフィル bである。反応中心蛋白質には、酸化還元活性を持つ分子(バクテリオクロロフィル、バクテリオフェオフィチン、ユビキノン)が擬似C2対称軸に沿って並び、電子移動経路を形成している。非ヘム鉄が1個存在し、擬似C2対称軸上に存在する。 擬似C2対称軸をもつにもかかわらず、実際電子移動に携わるのは、一方の電子移動経路(A-branchあるいはL-branch)のみである。そこでは、クロロフィル2量体P870、アクセサリークロロフィルBA、フェオフィチンHA、ユビキノンQA、ユビキノンQBの順に酸化還元活性分子が並び、電子移動経路を形成している。他方の経路(B-branchあるいはM-branch)では電子移動は起こらない。 キノン間の電子移動反応QA→QBには、プロトン移動反応がカップリングしており、プロトンが溶液から蛋白質中の複数のアミノ酸残基を経てQBのカルボニル基へ移動する。キノン1分子にはカルボニル基が2対存在するため、キノン分子は2回プロトンを蓄えることができる。すなわち、2回の電子移動反応に関わり、最終的にジヒドロキノンQBH2となる。 非ヘム鉄は2つのキノンQA、QB間に両者から等距離に存在するが、以下の理由により、電子移動には関与しないと長年考えられてきた。 鉄を蛋白質の結合サイトから除去してもキノンQAからQB間の電子移動速度は大きく変化しなかった。 亜鉛をはじめとする他の金属に置換しても、キノンQAからQB間の電子移動速度は大きく変化しなかった。 一方、紅色光合成細菌の光合成反応中心蛋白質と構造の配列類似性が高いといわれている光化学系II の非ヘム鉄は酸化還元活性があることは、以前より知られていた。一例として、光化学系II の非ヘム鉄の酸化還元電位は+400 mVと測定されている。 近年、FTIR法に基づく測定により、紅色光合成細菌の非ヘム鉄もキノン間QA→QBの電子移動に関わっている可能性がドイツのグループによって示唆され、現在議論されている。
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光化学系
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「ヘリオバクテリウム科」の記事における「光化学系」の解説
光化学反応中心は光化学系Iと類似している(鉄硫黄型反応中心である)が、コアタンパク質(PshA)はホモダイマーであり、初発電子供与体は P798 である。 一般的に鉄硫黄型反応中心はそのコアタンパク質に鉄硫黄クラスターを二個結合したサブユニット(FA/FBサブユニット)を持つが、ヘリオバクテリウム科においては強固に結合したFA/FBサブユニット(PshB)の存在に関して確たる証拠が得られていない。最近、PshBに関して新たな論文が発表され、PshBは存在するが他の光合成生物のFA/FBサブユニットに比べて非常に弱い結合力でコアタンパク質に結合していることが示唆された。 また鉄硫黄型反応中心にはコアサブユニットあたり約40分子程度のアンテナとして機能するクロロフィルが結合しているがヘリオバクテリウム科の反応中心も例外ではない。 光合成を行う生物は光量子を効率よく捕獲するためのアンテナ色素たんぱく複合体(光捕集系)を持つのが一般的であるが、この科からはアンテナ色素たんぱく複合体は見つかっていない。
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