不登校の問題化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 02:39 UTC 版)
「不登校 (理由別長期欠席者数)」も参照 日本では義務教育制度が発達しており、住民票がある学齢期の子女は、自動的に小中学校などの学籍を得られ、就学できる。しかし、その場合でも長期欠席が急増するなど「不登校問題」が拡大し、大きな課題となっている。 直接的な原因のない長期欠席について、文部科学省は狭義の「不登校」という用語を付与し、それ以外のものと区別している。これについては、「長期欠席」、「不登校 (理由別長期欠席者数)」で詳述している。 不登校は病気や精神的な問題だけでなく、「家庭の貧困」にも相関することが明らかになっている。東京都板橋区が2009年に公表した調査によると、区立中学校の2006年度の全生徒のうち、不登校の生徒は127人で、発生率は2.41%であった。しかし、生活保護を受ける中学生は、不登校の生徒が52人、発生率は11.58%であり、これは生活保護および就学援助を受けない子の4.8倍の発生率である。また、東京都杉並区が2008年に行った調査では、生活保護を受ける中学生70人を調査して、不登校の発生率は8.6%であり、前年同期の区全体の不登校発生率2.19%の約4倍だった。これらの結果は、「中流以上の豊かな家庭の子どもに起こる精神的な問題」という、不登校のステレオタイプに対して見直しを迫るものである。 一方、日本国籍を持たない子女の場合、自動的には学籍を得られないので、そのまま就学せず、学校に行かないケースが見られる。古くから定住している在日韓国・朝鮮人などの場合は、一条校や民族学校に通う場合も多いが、日本に出稼ぎに来る外国人の場合、子女を学校に入れようとしないケースも多く、また地方公共団体によっては就学に積極的でない場合もある。こちらは、学齢期の外国人の非就学問題といわれるが、あまりマスメディアで取り上げられることはない。 また、日本の初中等教育の課程では年齢主義の影響が強いため、学齢を超過すると小学校・中学校に通うことが難しくなり(特に小学校)、高等学校も「全日制の課程」の場合は、年齢によっては入学しにくくなる。 そのため、長期欠席をした人が学校を卒業してからは、復学サポートの対象にならない上、統計にも表れず(就学率は学齢期のみであり、それ以降は計算されない)、問題の把握がしにくくなっている。 これは学齢超過者の入学拒否問題といわれるが、学齢期の外国人の非就学問題と同様に、あまりマスメディアには注目されない。 不登校の子どもの受け入れ先として、教育委員会の運営する教育支援センター(適応指導教室)が知られている。その他には、一部地域にある夜間中学や、民間のフリースクールが、補助的な形で受け皿となっている。 また高等学校の場合、義務教育でないため不登校が問題にされにくい。たとえば、中途退学という形で、学校からドロップアウトする例があるが、その後の生活にプラスになっていない例もある[要出典]。 また、欠席が多くてもあまり復学支援はないし、小中学校ほどではないが同様に年齢が高くなると入学が難しくなる例もあり、そういった理由での不登校も問題にされにくい。 それらの理由もあって、休学・退学後に復学・再入学しない例が多い。これらの現象は、外国で「教育のウェステージ(損耗)」と呼ばれるものに当たる。 上記のように、就学者の不登校は大きな問題になっているのに対し、非就学者の不登校はほとんど問題視されない傾向がある。学籍がないと、学校側の目が届かないため、行政の対応が難しくなるのである。 派生的な意味であるが、「教師の不登校」も存在する。 文部科学省の調査では、2012年度において、日本国内における不登校の発生率は、中学校で2.56%、小学校で0.31%となっている。
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