クモハ113・112形3800番台
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「国鉄113系電車」の記事における「クモハ113・112形3800番台」の解説
福知山線篠山口 - 福知山間および山陰本線福知山 - 城崎(現在の城崎温泉)間の輸送力適正化と2001年3月からの一部列車のワンマン運転化のため、800番台のうちモハ113形+クモハ112形のユニットから再改造されたグループである。2000年度に2両編成9本が改造され、福知山電車区にN編成として配置された。 改造前の800番台ではクモハ112形を含む3両編成にクハ111形を1両増結した4両編成で運用されていたが、モハ113形とクモハ112形の電動車ユニットを抜き出してモハ113形の先頭車化改造を行い、2両編成化とワンマン運転への対応が行われた。新番号は800番台番号+3000とされた ため、800番台時代の七尾線転用に伴う編成組み換えによる不揃いの番号が引き継がれている。 クモハ113形への先頭車化改造では、コスト削減のため工法の簡易化や廃車発生品からの運転機器流用が行われた。従来のように運転台の構体を接合する方法ではなく、中間車の構体を生かした切妻構造となり、旧型国電を連想させるスタイルとして話題を呼んだ。先頭車化改造車の特異な外観から、ファンの間では3800番台の番号から「サンパチ」と呼び親しまれた。 クモハ113形の前面は非貫通の切妻3枚窓で、事故に備えて補強板が取付けられている。前面の行先表示は、助士席側窓の下部分に差込式のものが設置された。前照灯は、車体内側に埋め込まれたタイプと車体外側に外付けされたタイプの2種類が存在したが、後に車体外側に外付けする方式に統一された。車内の運転台仕切りも完全な壁ではなく、上部と側面に隙間のある簡素な構造となっている。 当初は500万円という格安の改造費を目標としており、改造工程と経費を節約するため、バリューエンジニアリングを活用した手法が採られた。当初は乗務員室扉の省略まで検討されていたが、最終的には扉が設置されてコストはやや上がったものの、それでも従来の正規運転台接合に比して半額程度の費用で工事できたという。 既存の先頭車であったクモハ112形は、前面の大規模な改造は行われていない。両先頭車とも運賃箱などワンマン運転対応の機器類が設置された が、走行区間の大半の駅に自動券売機が設置されているため、整理券発行機は設置されていない。 塗装はクリーム色をベースに窓周りを茶色とし、窓下部に黄色と青の帯を配したもので、福知山ワンマン色と呼ばれる。車内はリニューアル工事も行われず、半自動扉も取っ手付きの手動式であり、ドアボタンも設置されていない。 冷房装置はクモハ113-3801・クモハ112-3804の2両編成(N2編成)のみがWAU102形を搭載し、その他の8編成にはAU75が搭載されている。AU75形搭載車の一部は試作冷房改造車が含まれる。クモハ112形の3802・3805・3811・3814には霜取り用のパンタグラフが設置され、パンタグラフ2基搭載となっている。3802・3805・3811は種車時代に、3814は3800番台への改造と同時に増設された。 クモハ112形に搭載される補助電源装置は、種車の冷房化改造時期により異なっている。800番台化改造時に冷房化された車両は容量70 kVAのMGであるMH94-DM58が、0番台時代に冷房化改造済みの3802・3811には160 kVAのMGであるMH135-DM92が搭載されている。JR化後の800番台時代にWAU102形で冷房化された3804では、3800番台への改造時にSIVが設置された。 番号の対照は以下のとおり モハ113/クモハ112-819+802・801+804・815+805・816+806・810+810・811+811・812+812・813+813・814+814→クモハ113/112-3819+3802・・・3814+3814 なお、クモハ112-808+モハ113-817については、クモハがWAU102型、モハがAU75型を装備しており、クハを外すことで冷房電源が使用できなくなることから3800番台に転用されることなく廃車になった。 2008年8月より223系5500番台の増備による置き換えが行われ、113系3800番台は2008年8月11日をもって運用を終了した。最終運用は城崎温泉14時43分発各駅停車福知山行きであった。8月から9月にかけて、福知山線経由で吹田工場に廃車回送されている。2008年10月までに全車が除籍されている。
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