キンギョヘルペスウイルス病、ヘルペスウイルス性造血器壊死症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/15 08:40 UTC 版)
「キンギョヘルペスウイルス」の記事における「キンギョヘルペスウイルス病、ヘルペスウイルス性造血器壊死症」の解説
キンギョヘルペスウイルスが原因となる。発症すると斃死率が高く、非耐性キンギョは発症率自体が高い。発症したキンギョは 鰓が貧血によりピンクまたは白色になる 正常な姿勢のまま衰弱して、造血器(腎臓)の腐敗により横転転覆し斃死する(転覆横転しないこともある) 一般的な名称では「転覆病」と呼ばれ腹を膨らませて背腹反転して水面に浮かんで斃死に至る などの外的特徴が見られる。感染力は強く100匹以上飼育している水槽に1匹の感染魚を入れただけで全個体感染し1匹の感染魚(キャリア)以外全滅したケースがあるほか、感染魚の飼育水の移入、飼育水の飛沫での感染も見られ、魚病を研究している大学施設のビニルカーテン隔離水槽を隔てて隣の水槽に(専門的な技術を持って感染を防除しようとしていたにも関わらず、個体や飼育水の流入、ネットの使いまわし等も一切無しに)感染が広がった例がある。 なおキンギョヘルペスウイルスは塩素に対する耐性が弱く(70%エタノールに対する耐性はある程度ある)、さらし粉と次亜塩素酸ナトリウムを混合し(塩素玉と呼ばれる)水に投入し器具等を1分間消毒する殺菌方法でほぼ死滅するため、訓練を経たものが非常に慎重に取り扱えば防疫も可能であるが、上記の隔離カーテンを超えた感染等、訓練を経た者でもほんのわずかのミスが原因で感染が広がることもあるため、厳格な隔離と消毒を行っても必ず防疫が可能というわけではない。 キンギョヘルペスウイルスは35℃、4日間の昇温処理により病状の進行が止まることが知られており、早期に前述の治療方法で治療すれば発症を抑えることが出来るが、そのような抑止治療を行った個体はウイルスを体内に保持するキャリアになることが知られている。(専門家はわざとキンギョヘルペスウイルスに感染した個体や死体を水槽に入れて昇温処理を行うことを「強毒生ワクチン」と呼んでいるが、わざとウイルスに感染させてキャリアにして造血器壊死症の発症を間逃れるだけの行為である。) 2006年に簡便なDNA鑑定(PCR-電気泳動法)によりキンギョヘルペスウイルスの感染の判定ができるようになり、2017年現在、同法を用いたウイルス感染判定を行う民間サービスがあるほか、キンギョ生産者については最寄の各県の水産試験場/水産研究所/水産総合センターで検査してくれる場合もある。
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