カラーフィールドペインティングとは? わかりやすく解説

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カラーフィールド・ペインティング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/29 18:32 UTC 版)

カラーフィールド・ペインティング英語: Color field painting)は、1950年代末から1960年代にかけてのアメリカ合衆国を中心とした抽象絵画の一動向。絵の中に線・形・幾何学的な構成など、何が描かれているか分かるような絵柄を描いたりはせず、キャンバス全体を色数の少ない大きな色彩の面で塗りこめるという特徴があった。その作品の多くは巨大なキャンバスを使っており、キャンバスの前の観客は身体全体を一面の色彩に包み込まれることになる。




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カラーフィールド・ペインティング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/18 02:00 UTC 版)

抽象表現主義」の記事における「カラーフィールド・ペインティング」の解説

同じ抽象表現主義としてくくられながら、アクション・ペインティングより静かな印象与えるのが「カラーフィールド・ペインティング」であろう。こちらはその名のとおり、行為によってよりも「色彩」によって、観客を包む「場」を形成するような作品といえるキャンバス全体にあまり多くない数の色面大きくバランスよく配されている。またその色面には中心焦点がなく、「地」と「図」の区別もなく、厚みもなく平面的で、どこをとっても均質で、画面越えて色面どこまでも続いているように見える、「オールオーバーといわれる画面作りがされている。 彼らは、絵画のぞき窓ではなく絵の具乗せた単なる平面だと認識した。そのため、画面中に三次元の奥行き世界あるよう錯覚させる陰影透視法などヨーロッパ絵画伝統的なイリュージョン」は全面的に否定している。また花や人物といった主役となる中心ヒエラルキー)は「地」と「図」の区別つくってしまうためこれも完全否定され、平面自体主役となるように作品作っている。 たとえばバーネット・ニューマンの、人間以上に大きな画面一つ色彩覆いつくし、そのなかに人間の姿を象徴するような一本白く縦長細長い色面(「zip」)を置いて崇高さを醸し出す作品マーク・ロスコの、大画面巨大な色面を、何重に色彩塗り重ねて作り出した、色が画面からじわじわ放射されるような作品、アド・ラインハートの一色だけで塗られた大画面のように見えて、実は格子状ほんの少し違う色が描き分けられている作品モーリス・ルイス下塗りをしないキャンバス薄めた絵具たらして偶然性によりいろいろな色の染みやにじみを作り出した作品(まさに平面そのもの)など、多くは大画面奥行きのない一つの色で塗られ、それが絵画としての場を形成するようなものであるまた、カラーフィールド・ペインティングの特徴は、実は先述アクション・ペインティング美術家にも共通しており、ポロックなどのペンキドリップはまさにオールオーバーに大画面覆いつくして焦点始め終わりもないかのように見える。 これを1950年代から60年代にかけて理論的に主導したのが評論家クレメント・グリーンバーグである。彼はこれらの美術家1964年に自ら企画した展覧会名にちなみ「ポスト・ペインタリー・アブストラクション」(「絵画的抽象以降抽象」、「地」に何か「図」が描いてある絵画的な状態を克服して平面的一切イリュージョン廃した抽象画)と呼んだが、最初にニューマン評した際に使ったカラーフィールド・ペインティングが定着したグリーンバーグは、かつて1930年代に「アヴァンギャルドとキッチュ」という評論書き大衆向けの文化前衛反対にある俗悪なキッチュだと断じ明確な主題持たないがゆえに大衆寄せ付けない難解な美術称揚した戦後になって、さらに「フォーマリズム」の理論深化させて独自の理論打ちたてモダニズム擁護し抽象表現主義フォーマリズム即した美術として賞賛した。 フォーマリズムとは、描かれ内容より形式フォーム)を重視し内容からではなく形式から作品解釈する美学理論でありその歴史は古いが、グリーンバーグ内容より形式にこそ美術批判的に評価し前進させる力があると考えたアカデミックな写実反抗しキュビズムなどから始まったモダニズムは、それ自体の「内的論理」、つまり「自己批評」(美術についての美術であること)と「自己規定」によってある必然的な結論へと突進し、もっとも純粋な美術形態へと至ることになっている、と彼は言う。絵画三次元の再現ではなくただの平面だと気づいた初期抽象画家たちの段階から、いまだ絵具を昔同様に形態輪郭色彩分割されるように用いている幾何学的抽象などの段階経て最終的な結論である「形態的な純粋性」にいたり、形態輪郭色彩平面上ですべて一つになるスタイル完成する、というのが彼のであった余計な要素絵画からそぎ落とし必要で根本的な要素にまで還元することによりモダニズム最終的な美術形態になるという彼の議論美術界大きな影響与えたグリーンバーグフォーマリズム立場から批評加え美術家たちの制作にも介入し美術家の側もフォーマリズム理論沿うべく、イリュージョン廃し平面的色面以外の何を描かない抽象画作ることを心がけた。

※この「カラーフィールド・ペインティング」の解説は、「抽象表現主義」の解説の一部です。
「カラーフィールド・ペインティング」を含む「抽象表現主義」の記事については、「抽象表現主義」の概要を参照ください。

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