オイルサンドとは? わかりやすく解説

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オイル‐サンド【oil sand】

読み方:おいるさんど

粘稠(ねんちゅう)な炭化水素を含む砂。合成石油を得ることができる。カナダアルバータ州ベネズエラオリノコ川北岸などに分布タールサンド油砂


オイルサンド

英語 oil sand

粘度油分を含む燃料資源であるが、石油のように流動性がないため、汲み上げによって採油することができないことから現在はあまり利用されていない水蒸気圧入するなどの方法によって油分回収できるが、当然、石油よりコストの高い燃料となる。しかし予想資源量は2兆8700億バーレルといわれ、これは現在の世界年間石油生産量の100倍以上に達している。

※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

オイルサンド

読み方おいるさんど
【英】: oil sand
同義語: ヘビー・オイル  

粘度原油を含む砂岩層。
坑井によって容易にくみ揚げることが可能で、油層内で流動性を持つ通常の原油異なり初期状態では流動性のない高粘度タール原油を含む砂岩層を、オイルサンドという。その油の性状からタールサンドと呼ぶこともあり、採取され原油は、粘性に応じてビチューメン、あるいは超重質油呼ばれる超重質油天然ビチューメンの定義は国や機関によって一律ではないが、世界石油会議 WPCWorld Petroleum Congress)の定義に従うと、API 比重10 度以下で、粘性10,000 センチポアズ(Cp)以下のものを超重質油10,000 Cp上のものを天然ビチューメン呼んでいる。成因は、地下深部生成した原油地表近く貯留層に移動し集積したあと、地下水との接触バクテリアによる生物分解により、軽質の炭化水素成分消失し、重質化および高粘度化したものと考えられている。
オイルサンド鉱床として有名なのは、カナダアルバータ州内で究極可採埋蔵量合計1,800バレルと言われるアサバスカ、コールドレイク、ピースリバーの 3 地域や、ベネズエラ究極可採埋蔵量が約 2,300バレルといわれるオリノコ地域(→オリノコタール)である。
オイルサンドからビチューメン回収する方法大別して(1) 露天掘り採掘mining)法と、(2) 地層回収in-situ)法の二つがある。前者は、砂ごと採取して熱湯注ぎ加温してビチューメン流動化させ、砂や重力分離する方法で、オイルサンドの存在深度が浅い(地表から 75m 以浅)場合にのみ経済性がある。カナダには露天掘り対象になる埋蔵量アルバータ州300バレル程度あり、現在、サンコールエナジー社(1967 年生産開始23 バレル/日)、わが国から新日本石油開発参加しているシンクルード社(1978 年生産開始24 バレル/日)、およびアルビアンサンドエナジー社(2002 年生産開始11 バレル/日)が商業生産行っている。
一方アルバータ州では、地下 75m から 300m 程度深度に 1,500バレルのオイルサンドが賦存すると言われており、露天掘りでなく in-situ 法によるオイルサンド開発対象となるため、同法対し積極的な技術開発進められている。in-situ 法の基本原理は、地下ビチューメン粘性下げ流動化させて坑井にて回収することであり、水蒸気圧入法、水蒸気代わりに有機溶剤圧入する方法VAPEX法)、あるいは火攻法などがある。このうち現時点商業生産を可能としている水蒸気圧入法には CSSCycle Steam Stimulation)法と SAGDSteam Associated Gravity Drainage)法の二つがある。CSS 法とは、同一坑井にて水蒸気圧入、密閉ビチューメン回収を 1 サイクルとして、数カ月単位でこのサイクル繰り返しビチューメン生産する方法である。現在インペリアルオイル社(1985 年生産開始14 バレル/日)およびカナディアンナチュラルリソーシズ社(1980 年代生産開始、4 バレル/日)がこの手法にて商業生産行っている。わが国からは、石油資源開発中心のカナダオイルサンド社が、SAGDプロジェクト生産能力 1 万バレル/日)を推進している。
なお、回収されビチューメン流動性がないため、そのままではパイプラインにて輸送できない。よって、生産現場隣接する改質プラント(アップグレーダー)にて通常原油同程度品質合成油精製するか、ビチューメン希釈剤コンデンセート合成油)を 30程度混ぜた後にパイプライン輸送することになる。
カナダオイルサンドについては、技術革新による開発操業費低減や、油価高騰による経済性好転などにより、今後ビチューメン生産急増し2004 年末で 90 バレル/日のオイルサンド生産2010 年には 180 バレル/日にも至ると予測されている。この生産量増大備え従来の主要輸出先であった米国中西部のみならず新規出荷市場として米国西海岸および東アジア販路拡大したい意向がオイルサンド生産者およびカナダ政府にあり、そのための新規出荷パイプライン候補としてゲートウェイパイプラインGateway Pipeline計画などが提案されている。

(磯江 芳朗、2006 年 3 月

ヘビー・オイル

読み方へびー おいる
【英】: heavy oil
同義語: オイルサンド  

»オイルサンド

オイルサンド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/31 06:55 UTC 版)

オイルサンド[1] (Oil sand、油砂(ゆさ)[2])あるいはタールサンド(Tar sands)とは、極めて粘性の高い鉱物油分を含む砂岩のこと。原油を含んだ砂岩が地表に露出、もしくは地表付近で地下水などと反応し、揮発成分を失ったものと考えられている。色は黒ずみ、石油臭を放つことが特徴。油分が石炭を乾留した時に出るコールタールに似ていることから、初めタールサンドと呼ばれたが、実際の成分は石油精製から得られるアスファルトに近い。


  1. ^ 文部省土木学会編 『学術用語集 土木工学編 増訂版』 土木学会、1991年、ISBN 4-8106-0073-4。(J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター
  2. ^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、ISBN 4-8181-8401-2。(J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター))
  3. ^ 週刊ダイヤモンド 2008年6月28日号
  4. ^ カナダ、京都議定書を「障害」と批判。正式に脱退表明、締約国で初(Sankei Biz 2011年12月14日)2012年1月7日
  5. ^ トルドー加首相、オイルサンド事業 段階的廃止の意向 AFP(2017年01月14日)2017年01月14日閲覧


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「オイルサンド」の例文・使い方・用例・文例

  • オイルサンドという岩石
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