エアリストリクター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 15:51 UTC 版)
「リストリクター」の記事における「エアリストリクター」の解説
エンジンは燃焼のために吸気口から空気を燃焼室に取り入れる必要があるが、エンジンが一定時間内に取り入れられる空気の総量は、通常は吸気口の大きさによってその上限が定まる。エアリストリクターはこの性質を利用し、エンジン吸気口に本来のエンジン性能上求められる大きさよりも小さい口径の管や板を設置することで空気の流量を制限するものである。 出力はエンジン回転数に比例するため、出力を向上させるためにはより多くの空気を取り入れる必要が生じるが、口径が小さいリストリクターが設けられた状態では、回転数が一定の値を超えるとエンジンの燃焼に空気の供給が追い付かず、エンジン回転数が上昇しても摩擦等のロスが大きくなり出力は低下する。口径が同じ場合は一定時間ごとの吸気量の上限が定まり、一定の空気と燃料を混合して爆発させることにより得られるエネルギーも理論的に上限が定まるため、エンジン形式を問わず出力の上限がほぼ一定となる。「エンジンの過度な高回転化の防止」「出力の均衡化」は、エンジン開発費の高騰を防ぎ、レースにおける戦力が拮抗するといったメリットがあるため、多くのカテゴリーにおいて装着が義務化されている。 トルクなどについてはエンジン排気量が多い方が有利となることから、実際のレースにおいては「排気量が多くなると口径が小さくなる」といったように、戦力差を小さくするかたちでレギュレーション(規定)が定められる場合が多い。なお、チーム側で勝手に取り外したり、外部から吸気が可能になっていたのでは意味がないため、装着に際してはレース主催者側で封印が施されるほか、それ以外の部分からの吸気出来ない構造になっているかどうかが車検でチェックされるが、論争やトラブルも発生している。 意図的な違反の例1995年のWRC 第7戦 ラリー・カタルーニャでは、TTEが使用していたST205型トヨタ・セリカGT-FOURのエンジンがリストリクター外からの吸気が可能な構造になっていたとして、1995年の全獲得ポイントを剥奪された上、1996年いっぱいまでのWRC出場停止処分が下される事態となった。 トラブルにより違反となった例2013年のSUPER GT 第5戦 鈴鹿1000kmでは、GT300で2位となったGSR 初音ミク BMWが、レース後の車検でリストリクター周辺部品の破損が見付かり失格となった。
※この「エアリストリクター」の解説は、「リストリクター」の解説の一部です。
「エアリストリクター」を含む「リストリクター」の記事については、「リストリクター」の概要を参照ください。
- エアリストリクターのページへのリンク