アイピースの種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 06:05 UTC 版)
ここでの説明は一般的に光学書や望遠鏡の解説書に記載されていることを簡潔にまとめたもの、あるいは適宜変更を加えたものである。しかしそのような文献では古典的なアイピースに多く頁が割かれており、近時の設計されたものはほとんど触れられていない。したがって、ここに記載がない種類のアイピースも市場には数多く流通していることに注意すべきである。また、市販品はここで紹介されている発明者の設計通りに製造されているわけではない。略号はアイピースの筐体上にそのアイピースの種類を示すため、焦点距離とともに刻印される文字であり例えばHM-25mmとあれば焦点距離25mmのミッテンゼーハイゲンスを意味する。 ハイゲンスまたはホイヘンス(Huygens、略号H) 片面が凸、片面が平面のレンズの大小2枚のレンズを組み合わせて作った2群2枚の接眼レンズ。1703年にクリスティアーン・ホイヘンスが発表した形式。望遠鏡ではハイゲンスあるいはハイゲン、顕微鏡ではホイヘンスと呼ばれることが多い。1865年ごろにモリッツ・ミッテンゼーがハイゲンス式の対物レンズ側のレンズをメニスカスレンズに代えて収差を軽減しミッテンゼーハイゲンスまたはミッテンゼーホイヘンス(Huygens-Mittenzway またはModified Huygens、略号HMあるいはMH)とした。レンズの接着剤の耐熱性が悪かった時代には、太陽観測用接眼レンズとして推奨された。 詳細は「ハイゲンス式接眼鏡」を参照 ラムスデン(Ramsden、略号R) 片面が凸、片面が平面の同じ2枚のレンズを凸面が向かい合うように組み合わせて作った2群2枚の接眼レンズ。1783年にジェッセ・ラムスデンが発表した形式。色収差が大きいため望遠鏡には不向きである。歪曲が小さい接眼鏡であり、また焦点位置が2枚のレンズの外側にあるため十字線や目盛りを後付けすることができる。そのためファインダー、検査用拡大鏡、顕微鏡などに用いられる。単体の製品としてはほとんどみかけない。レンズの接着剤の耐熱性が悪かった時代には、太陽観測用接眼レンズとして推奨された。 詳細は「ラムスデン式接眼鏡」を参照 ケルナー(Kellner、略号K) カール・ケルナーが1849年に顕微鏡用として発表した2群3枚の形式。ラムスデン式の目側のレンズを色消しレンズとしたものである。色収差が比較的小さく、視野も比較的広い。望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡を問わず中倍率から低倍率で使われる。過去には多数流通していたが現在はほとんど見かけない。 詳細は「ケルナー式接眼鏡」を参照 オルソスコピック(Orthoscopic、略号Or、OR、O) オルソスコピックとは「整った像」という意味である。当初この言葉を使ったのはケルナー式接眼鏡であったが、これは誇大であったため定着しなかった。後述のアッベ式およびプレスル式は歪曲が小さいので、この呼称で販売されることが多い。アッベ(Abbe、略号A) 1880年にエルンスト・アッベが顕微鏡用として発表した。高い光学性能を有する。 詳細は「アッベ式接眼鏡」を参照 プレスル(Plössl、略号PL) 1860年にジーモン・プレスル(ドイツ語版)がケルナー式の改良としてルーペ用に発表した2群4枚の形式。アッベ式同様、光学性能が高い。古典的なアイピースとしては、現在最も目にする種類である。日本ではプローセル、プローゼルと呼ばれる事が多い詳細は「プレスル式接眼鏡」を参照 エルフレ(Erfle、略号EまたはEr) 1917年から1918年にかけてハインリッヒ・エルフレは軍用双眼鏡用にいくつかの形式の接眼レンズを開発している。通常エルフレ式といった場合その中でも広視界が得られる3群5枚の接眼レンズのことを指す。1群が単レンズで残り2群が2枚の貼り合わせレンズとなっている。低倍率用。知名度は高いが、実際にはそれほど作られていない。 詳細は「エルフレ式接眼鏡」を参照 ケーニヒ(König、略号Kö) アルベルト・ケーニヒはいくつかの形式の接眼レンズを開発している。単にケーニヒ式と言っただけでは特定の形式を指さないため注意が必要である。この中にはアッベ式を改良して量産型にしたもの、ケルナー式とは逆に対物側レンズを貼り合わせレンズとした2群3枚の接眼レンズ、エルフレ式と同様広視界用のものなどがある。 ナグラー(Nagler) テレビューのアル・ナグラーが開発し、1980年に発売した超広視界のアイピース。この成功は広視界のアイピースが各社から発売される契機となった。いくつかのバリエーションがあり、現在タイプVIまで発売されている。 詳細は「ナグラー式接眼鏡」を参照
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