くしゃがら
くしゃがら
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 06:53 UTC 版)
「岸辺露伴は叫ばない 短編小説集」の記事における「くしゃがら」の解説
『ウルトラジャンプ』2017年8月号に掲載された、北國ばらっどによる短編作品。 2020年12月には、高橋一生主演の『岸辺露伴は動かない』の一篇としてNHK総合テレビ・NHK BS4Kにて実写ドラマ化された。3日連続放送のうち、同年12月29日に放送された第2話の原作となっている。 あらすじ 「カフェ ドゥ・マゴ」で新作のネタの整理をしようとしていた露伴は、同じくネタ作りのために店を訪れた漫画家の志士十五に捕まってしまい、おしゃべりに付き合わされる。十五は世間話とともに自分の担当編集者が替わった話を始め、新しい担当から禁止用語のリストを渡されたが、その中に「くしゃがら」という聞きなれない言葉を見つけたと語る。その言葉の意味も禁止理由もわからなかった十五は「くしゃがら」について様々な手段で調べようとするがまったく分からず、露伴にも「くしゃがら」について尋ねたうえでもし手がかりが見つかればすぐ教えてもらえるように頼み、露伴もそれを了承した。約1か月後、露伴は古書店で偶然十五と再会するが、異常なほど「くしゃがら」に執着する十五に露伴はただ事ではないと感じ、彼に何が起こっているのかを調べようとする。 登場人物 岸辺 露伴(きしべ ろはん) 演 - 高橋一生 杜王町に住む人気漫画家。「カフェ ドゥ・マゴ」を訪れた際に偶然会った志士十五から「くしゃがら」という禁止用語についての話を聞く。 露伴も好奇心から仕事に差しさわりの無い範囲内で調べるも何もわからなかったが、約1か月ぶりに古本屋で志士十五と再会したことでその言葉の起こす怪現象に巻き込まれる。 志士十五(しし じゅうご) 演 - 森山未來 集英社で仕事をしている漫画家。志士十五はペンネームで本名は西桂太郎(にし けいたろう)。ペンネームの由来は答えを間違った九九の「四四十五」で、「人生は計画通りにいかない」という思いを込めて付けられたものである。 髪を赤く染めて剃り込みを入れており、瞼にもピアスを付けているなど、露伴はその外見を「チンピラのようだ」と評し、おしゃべりな性格やなれなれしい態度についても仗助や億泰に通ずるムカつき具合と酷評しているが、彼の漫画に対しては「架空の文明、架空の歴史を描いているにもかかわらず、そこには非常に綿密なリアリティが練り込まれている」「常に<理屈>が骨になって通っている印象を感じる」と高く評価している。 漫画に必要なリアリティを求めて「カフェ ドゥ・マゴ」を訪れた際に偶然露伴と出会い、新しい担当編集者から渡された禁止用語のリストにあった「くしゃがら」という単語、そしてそれについてどれだけ調べても情報を得られなかったことを露伴に語り、情報提供の協力を取り付ける。 その後も「くしゃがら」やその禁止理由について調べ続けるが何もわからず、知識欲が満たされないことによるストレスから露伴と再会した時には別人のように憔悴しきっており、それでも何かに取り憑かれたように「くしゃがら」について知ろうとし続け、最終的には喉の奥にいる何者かが「くしゃがら」という単語を会話に割り込ませるように発するようになるが、異変に気付いた露伴によって約1か月間の記憶を消されたことで正気を取り戻した。 事件後に露伴が編集部に問い合わせた結果、十五は新しい担当編集者とはまだ会っておらず、担当編集者が禁止用語のリストを漫画家に手渡すこともないということが判明したため、十五に禁止用語のリストを渡し、「くしゃがら」の存在を教えた人物が何者だったのかは不明である。 用語 くしゃがら 志士十五が新しい担当編集者から渡された禁止用語のリストにあった謎の単語。その意味や禁止理由については一切不明で、この単語に興味をもった人間はそれについて知ろうとするあまり次第に他のことが手につかなくなっていく。 単純に意味が不明なだけの単語というわけではないらしく、末期症状のような状態だった十五は喉の奥に現れた何かが会話に割り込むように「くしゃがら」という単語を発し、ヘブンズ・ドアーによって本にすると人生の体験の中に袋とじのようなものが生じており、その中にいる何かが封を破って外に出ようとしていた。また、禁止用語の「禁止されているから使えない」という単純だが強力な理屈により、ヘブンズ・ドアーで本に変わった人間に「くしゃがら」と書き込むこともできない。この単語についての情報がどこにも無いのもこれによるものだと、露伴は推測している。また、露伴はこの単語について、それ自体に意味はなく、人の好奇心を刺激することでそれについて調べる者の口から病原体や寄生虫のように伝播していくことを目的とした存在ではないかとの仮説を立てており、言霊だった存在が、時代と共に文字などの『情報』という形で変異したものだと推測している。 なお、物語で使われている「くしゃがら」という単語は書くことができない実際の禁止用語の代用語という設定となっている。
※この「くしゃがら」の解説は、「岸辺露伴は叫ばない 短編小説集」の解説の一部です。
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