NORMAL
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リリース、アートワーク
1980年3月21日にEPIC・ソニーレコードからLPとしてリリースされた。本作にはデビュー・シングルである「もっとリアルに」がB面曲も含めて未収録となっているが、それについて土屋はビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」(1967年)がシングルのみでのリリースであったことなどに影響された結果であり、レコード・メディアを使い分けるような発想を好んでいたためであると述べている[12]。本作のジャケットはリリース直前になって差し替えられており、元々は収録曲である「電気人形」のイメージでメンバーの体に電気コードが巻き付けられている写真が使用されていた[6]。
2006年12月20日にはボックス・セット『MAGIC VOX: IPPU‐DO ERA 1979–1984』においてデジタル・リマスタリング版として初CD化され、シングル曲やライブテイクなどのボーナストラック5曲が収録される形で再リリースされた。2013年10月30日には前述のボックス・セットから単体でリリースされる形で、ボーナストラックも含めた『NORMAL+5』として紙ジャケットおよびBlu-spec CD2仕様で再リリースされた[20]。
批評
本作に関して雑誌編集者である田中雄二は、P-MODELやLIZARDがスタジオにて試行錯誤の末にデビュー作を完成させたことに対して、一風堂メンバーはすでにスタジオ・ミュージシャンとしての経験があったことから、本作に関しては「いきなり総決算的な完成度で世に問うた」と述べている[21]。そのため、ロビン・スコットなどのイギリスのミュージシャンが早い段階から一風堂を高く評価していたのではないかと述べたほか、本作収録曲である「チャイニーズ・レゲエ」や3枚目のアルバム『RADIO FANTASY』(1981年)収録曲である「LISTEN TO ME」のそれぞれの英語歌詞バージョンは、メンバーからの発案ではなく外部からの要請によってイギリス向けに制作されたことを指摘している[21]。一方でアンダーグラウンドシーンを偏重する当時の日本における音楽関連のマスコミからは、ザ・プラネッツやピーター・ガブリエルなどから受けた影響がストレートに反映されている点に対してパクリであると非難されることもあったと田中は述べている[21]。これに対し田中は「レゲエ界では古典的なスタイルですよね。リスペクトとして過去の引用を取り入れるという手法は」と述べ、土屋はそれを肯定しジョージ・ハリスンの楽曲「マイ・スウィート・ロード」(1970年)が盗作であると非難された際に、ハリスンが「ポップスとはそういう音楽なんだよ」と発言したことに触れた上で土屋は音楽を「記憶の芸術」であると主張し、「リスナーの持っている記憶をどう利用しようかという考え方がある」と述べロックやポップスの楽曲を制作する際には重要なテーマであると述べている[22]。また、田中は収録曲である「ブレイクアウト・ジェネレーション」に対して、ディーヴォ風の変拍子を使用した楽曲でありながら演奏に余裕が感じられると述べたほか、本作がボブ・マーリーに影響を受けたジャマイカのリズムをベースとして全体が構成されている点に触れ、スコットが「日本にしかないレゲエ」であると絶賛したと述べている[10]。
収録曲
# | タイトル | 時間 |
---|---|---|
1. | 「ADVENTURE」 | |
2. | 「ブレイクアウト・ジェネレーション(狂育世代)」("BREAK-OUT" GENERATION) | |
3. | 「ブラウン管の告白」(MOONLIGHT LOVE CALL) | |
4. | 「TV SCENE」 | |
5. | 「電気人形」(ELECTRIC DOLL) | |
6. | 「PANIC IN THE CITY」 | |
合計時間: |
# | タイトル | 時間 |
---|---|---|
7. | 「I LOVE YOU」 | |
8. | 「思春期PART II」(DO YOU KNOW?) | |
9. | 「チャイニーズ・レゲエ」(CHINESE REGGAE) | |
10. | 「ESCAPE」 | |
11. | 「心配しないで」(DON'T WORRY BABY) | |
12. | 「MORNING FANTASY」 | |
合計時間: |
# | タイトル | 時間 |
---|---|---|
13. | 「もっとリアルに」 | |
14. | 「DIS-COMMUNICATION」 | |
15. | 「ADVENTURE」(新宿LOFT 1980年2月9日) | |
16. | 「ブレイクアウト・ジェネレーション(狂育世代)」(新宿LOFT 1980年2月9日) | |
17. | 「PANIC IN THE CITY」(新宿LOFT 1980年2月9日) | |
合計時間: |
注釈
- ^ 1, 10, 14曲目はインストゥルメンタルとなっている。
出典
- ^ a b c d e f g “一風堂縁起録” 2006, p. 40- 「土屋昌巳 インタビュー」より
- ^ a b c d e f g h ストレンジ・デイズ 2007, p. 119- 田中雄二「メンバーズ・インタヴュー」より
- ^ “一風堂縁起録” 2006, pp. 43–44- 「土屋昌巳 インタビュー」より
- ^ a b ESSENCE: THE BEST OF IPPU-DO 2010, p. 5- 「土屋昌巳ロング・インタビュー(前編)」より
- ^ a b c d e f g h i j “一風堂縁起録” 2006, p. 22- 「HISTORY」より
- ^ a b “一風堂縁起録” 2006, p. 83- 「財津尚弘 インタビュー」より
- ^ “一風堂縁起録” 2006, pp. 74–75- 「平田謙吾 インタビュー」より
- ^ “一風堂縁起録” 2006, p. 75- 「平田謙吾 インタビュー」より
- ^ a b ESSENCE: THE BEST OF IPPU-DO 2010, p. 6- 「土屋昌巳ロング・インタビュー(前編)」より
- ^ a b ストレンジ・デイズ 2007, p. 123- 田中雄二「ボックス・セット『MAGIC VOX』解説」より
- ^ ストレンジ・デイズ 2007, p. 121- 田中雄二「メンバーズ・インタヴュー」より
- ^ a b c d e “一風堂縁起録” 2006, p. 42- 「土屋昌巳 インタビュー」より
- ^ a b c d “一風堂縁起録” 2006, p. 60- 「見岳アキラ インタビュー」より
- ^ a b ストレンジ・デイズ 2007, p. 120- 田中雄二「メンバーズ・インタヴュー」より
- ^ “一風堂縁起録” 2006, p. 67- 「藤井章司 インタビュー」より
- ^ a b “一風堂縁起録” 2006, p. 41- 「土屋昌巳 インタビュー」より
- ^ “一風堂縁起録” 2006, pp. 42–43- 「土屋昌巳 インタビュー」より
- ^ a b “一風堂縁起録” 2006, p. 43- 「土屋昌巳 インタビュー」より
- ^ a b “一風堂縁起録” 2006, p. 44- 「土屋昌巳 インタビュー」より
- ^ “一風堂、オリジナルアルバム全4タイトルが初の単独CD化。高品質CD「Blu-spec CD2」で限定復刻!”. CDジャーナル. 音楽出版社 (2013年10月28日). 2022年10月15日閲覧。
- ^ a b c ストレンジ・デイズ 2007, p. 122- 田中雄二「一風堂の歩み~バンド形態の変化と成熟した柔軟な音楽性」より
- ^ ESSENCE: THE BEST OF IPPU-DO 2010, pp. 5–6- 「土屋昌巳ロング・インタビュー(前編)」より
ノルマル
(NORMAL から転送)
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ノルマル (normal) はラテン語やフランス語、スペイン語などで「普通の」の意味。ノーマルも参照。
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