阿豆佐味天神社 (立川市砂川町)とは? わかりやすく解説

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阿豆佐味天神社 (立川市砂川町)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/10 05:49 UTC 版)

阿豆佐味天神社

拝殿
所在地 東京都立川市砂川町4-1-1[1]
位置 北緯35度43分26.9秒 東経139度24分10.9秒 / 北緯35.724139度 東経139.403028度 / 35.724139; 139.403028座標: 北緯35度43分26.9秒 東経139度24分10.9秒 / 北緯35.724139度 東経139.403028度 / 35.724139; 139.403028
主祭神 少彦名命天児屋根命[2]
社格 村社[3]
創建 1738年元文3年)[2]
本殿の様式 木造流造
地図
阿豆佐味天神社
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2019年(令和元年)12月1日撮影

阿豆佐味天神社(あずさみてんじんしゃ[4])は、東京都立川市砂川町にある神社

祭神

本殿には、少彦名命[2][5](すくなひこなのみこと)、天児屋根命[2][5](あめのこやねのみこと)が祀られている。

また、境内神社には以下の祭神が祀られている[2]

歴史

1629年寛永6年)、のちに砂川村となる地域の開拓に伴い、その鎮守として瑞穂町阿豆佐味天神社を勧請して建立され、1738年元文3年)に本殿が造営された[2][6]。これは2019年現在、市内最古の木造建築物とされている。1862年文久2年)に拝殿が建設された[2][† 1]

1959年昭和34年)に殉国慰霊碑が建設された[2]。その後、1961年昭和36年)水天宮社を吸収合併し、境内社とした[2]1970年(昭和45年)には本殿が立川市有形文化財に指定されている[8][1]

1950年代の砂川闘争では、住民や学生らの米軍基地拡張反対運動の拠点として使用された[9][10][11]

境内

本殿

一間社流造(いっけんしゃながれづくり)、千鳥破風及軒唐破風付(ちどりはふ および のきからはふづき)、柿葺(こけらぶき)で、総高約6メートル、桁行約1.8メートル、梁行約2.8メートルある。通常は、覆殿によって覆われ、目にすることができない。 正確な建築年代は、明らかではないが、棟札や絵や構造の特徴から、1708年(宝永5年)建立、1741年(寛保元年)破損、江戸時代中期に修復されたものと考えられている。 2019年(令和元年)7月に、2年間をかけた大規模修復が、終了した。 2019年(令和元年)10月の、東京文化財ウィーク事業で、一般公開された[12]

境内社

本殿・覆殿・幣殿・拝殿のほかに以下の末社がある[2][13]

  • 水天宮社(砂川五番にあったが、1961年(昭和36年)、米軍立川基地の拡張に伴い合祀)
  • 天神社
  • 八雲神社(砂川一番にあった)
  • 稲荷社[14]
  • 疱瘡社[14]
  • 御嶽神社
  • 浅間神社(砂川三番にあった)
  • 金刀比羅社(砂川三番にあった)
  • 八坂神社(元々水天宮の末社だった)

蚕影神社

阿豆佐味天神社には、境内に蚕影神社の社がある。

養蚕が盛んだった時代に、蚕の天敵であるネズミを捕まえる猫を祀るために建立された神社で、狛犬の代わりに猫の石像が設置され、絵馬の絵も猫である[15]

この神社が広く知られるようになったのは、ジャズピアニストの山下洋輔が、飼い猫が行方不明になった時にこの神社に参拝したところ、翌日に帰ってきたという話を1987年(昭和62年)に雑誌『芸術新潮』で紹介したことによる。それ以来飼い猫の無事や健康を祈る参拝客が多く訪れ、「猫返し神社」と呼ばれるようになった。

山下は、2013年(平成25年)飛鳥新社より『猫返し神社』を出版している[16]。 また、猫返し神社の境内には、山下が奉納したピアノ曲「越天楽」が流れている[17]

年中行事

除夜の鐘と同時に火を焚き、境内にはダルマ市が出る[18]

  • 節分祭(2月)
  • 春祭り(4月15日

現在は山車の運行は行われていない[19]

  • 夏祭り(8月)
  • 例大祭・秋祭り(9月15日

阿豆佐味天神社に向かい、五日市街道の東西から毎年交互に山車や神輿が巡行する[20]

また、境内では神楽や舞踊といった奉納演芸が行われる[21]

  • 七五三(11月15日
  • カマジメ切り(12月)

文化財

阿豆佐味天神社本殿附棟札
市指定有形文化財、昭和45年11月26日指定[1]
蚕影神社
市指定史跡、昭和39年8月25日指定[1]

交通アクセス

  • JR中央線立川駅から立川バスにて、「三ツ藤」行、または「箱根ヶ崎」行きに乗り、「砂川四番」下車徒歩1分[2][22]
  • 西武拝島線武蔵砂川駅下車15分[2]

脚注

注釈

  1. ^ ただし、拝殿の建築に関しては1829年文政12年)石垣寄進帳に本殿と同じ年に造営を行ったとの記載もある[7]

出典

  1. ^ a b c d 立川市教育委員会 指定文化財等一覧”. 立川市教育委員会. 2019年12月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 『東京都神社名鑑 下巻』東京都神社庁、1986年3月、324-325頁。 
  3. ^ 榎本直樹『砂川の神社と寺院』立川市教育委員会、1993年、14頁。 
  4. ^ 『立川の歴史散歩 改訂版』立川市教育委員会、1990年、69頁。 
  5. ^ a b 阿豆佐味天神社・立川水天宮”. 阿豆佐味天神社 立川水天宮. 2019年12月1日閲覧。
  6. ^ 阿豆佐味天神社・立川水天宮 歴史・由緒”. 阿豆佐味天神社. 2019年12月1日閲覧。
  7. ^ 『武蔵野第41巻3・4号』武蔵野文化協会、1959年6月10日、5-6頁。 
  8. ^ 『えくてびあん5/6月号第20巻』えくてびあん編集工房、2002年6月1日、1-2頁。 
  9. ^ “四千人が抗議大会”. 読売新聞: p. 夕刊3. (1956年10月14日) 
  10. ^ “砂川・焦点は公判闘争に”. 読売新聞: p. 7. (1956年10月15日) 
  11. ^ 『えくてびあん8月号第21巻』えくてびあん編集工房、1-2頁。 
  12. ^ 『立川市教育だよりたっち第40号』立川市教育委員会、2019年11月10日、4頁。 
  13. ^ 榎本直樹『砂川の神社と寺院』立川市教育委員会、1993年、23頁。 
  14. ^ a b 新編武蔵風土記稿 砂川村.
  15. ^ 『きらりたちかわ第44号』たちかわ市民交流大学市民推進委員会情報広報部 立川市教育委員会生涯学習推進センター、2018年6月20日、12頁。 
  16. ^ 山下洋輔『猫返し神社』飛鳥新社、2013年、61頁。ISBN 9784864103008 
  17. ^ “(各駅停話:873)多摩都市モノレール4砂川七番「猫よ戻って」神頼み”. 朝日新聞夕刊: p. 11. (2017年3月8日) 
  18. ^ 立川市史編纂委員会『立川市史 下巻』立川市、1969年、1264頁。 
  19. ^ 立川市史編纂委員会『立川市史 下巻』立川市、1969年、1278頁。 
  20. ^ 立川の祭り観光委員会『写真集 立川の祭り』国書刊行会、2007年、61頁。 
  21. ^ 立川の祭り観光委員会『写真集 立川の祭り』国書刊行会、2007年、59頁。 
  22. ^ アクセスTEL”. 阿豆佐味天神社. 2019年12月1日閲覧。

参考文献

  • 榎本直樹『砂川の神社と寺院』立川市教育委員会、1993年。 
  • 『東京都神社名鑑 下巻』東京都神社庁、1986年3月。 
  • 『武蔵野第41巻3・4号』武蔵野文化協会、1959年6月10日。 
  • 『えくてびあん5/6月号第20巻』えくてびあん編集工房、2002年6月1日。 
  • 『きらりたちかわ第44号』たちかわ市民交流大学市民推進委員会情報広報部 立川市教育委員会生涯学習推進センター、2018年6月20日。 
  • 山下洋輔『猫返し神社』飛鳥新社、2013年。 ISBN 9784864103008 
  • “(各駅停話:873)多摩都市モノレール4砂川七番「猫よ戻って」神頼み”. 朝日新聞夕刊. (2017年3月8日) 
  • 立川市史編纂委員会『立川市史 下巻』立川市、1969年。 
  • 立川の祭り観光委員会『写真集 立川の祭り』国書刊行会、2007年。 
  • 「砂川村 阿津佐美天神社」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ120多磨郡ノ32、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:763994/78 
  • 指定文化財等一覧”. 立川市教育委員会 (2017年8月25日). 2020年6月2日閲覧。

関連項目

外部リンク




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