葡萄 (アルバム)
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リリース
2015年3月11日には、iTunesで「アロエ」と「イヤな事だらけの世の中で」が先行配信がされた[38]。
CDの発売は同年3月31日に発売が開始された。発売日は現在の邦楽CDで一般的となっている水曜日でなく火曜日の発売だが、「31日の全国一斉発売」の徹底を呼び掛けており、前日の早売りについてはほとんど行われていない[39]。リリース形態は、特製BOXに通常盤CDをはじめ、桑田による全曲解説と2014年の年越しライブを収録したDVDと2013年の復活以降の貴重な写真などで構成された「葡萄白書」と特製Tシャツが入った完全生産限定盤A、BOXからTシャツを除いた完全生産限定盤B、通常盤、アナログ盤の全4形態で発売された[40][41]。
自身のデビュー37周年となる2015年6月25日に、自身のツイッターにて同年7月上旬よりCDショップなどで本作を買うと先着でうちわが貰えることを発表した[42]。また、同年12月29日にツイッターで第57回日本レコード大賞最優秀アルバム賞を受賞したキャンペーンとして、うちわと同様に本作を買うと先着でクリアファイルがもらえる事を発表した[43]。
完全生産限定盤AとBがCDショップなどで入手困難状態が続いた(完全生産限定盤Aは予約だけで完売した)[44][45]。過去には、シングルで「TSUNAMI」も同様に初回盤が発売日前に店頭から消える現象が起きている[46]。
プロモーション
発売関連企画
アルバムの発売に先立ち、全国47都道府県の映画館(各県1館ずつであり、合計全47館)で『サザンオールスターズ ニューアルバム『葡萄』プレミア試聴会』が2015年3月15日に行われた[47]。
アルバムの発売に合わせ、週刊文春(文芸春秋)、週刊現代(講談社)、週刊ポスト(小学館)、週刊プレイボーイ(集英社)、週刊SPA!(扶桑社)の5誌との協力により「スペシャルマガジン 総力特集 サザンオールスターズ『葡萄』」が制作され、4月24日から15万部限定で全国1万1000店以上のローソンで無料配布された[48]。また、冒頭にはスピードスターレコーズ・タイシタレーベルのレーベル長の小野朗による「スペシャルマガジン創刊のごあいさつ」と[49]:1、渋谷陽一による特別寄稿が掲載された[49]:3。このパンフレットはそれぞれの編集部が、曲を基に自由な発想で記事を制作しており、そのため小野は「記事とアーティストの本来の意図とが必ずしも一致しているわけではない」とした上で、「その「解釈のズレ」が生じてしまう事こそが”大衆音楽”の持つ可能性であり、楽しみ方の一つである」という見解を述べている[49] :1。桑田はかねてから週刊誌によく目を通しており[50]、このパンフレットが刷り上がった際も「これは面白いね」と述べていたという[48]。
テレビ放送
2015年3月29日にWOWOWでこのアルバムにスポットを当てたスペシャル番組『サザンオールスターズ「葡萄」スペシャル』が放送された[51][52]。また、この番組に向け3月1日には『サザンオールスターズ「葡萄」スペシャル ~プロローグ~』として「アロエ」のミュージック・ビデオにスポットを当てた番組を無料放送している[53]。
テレビ披露
放送日 | 番組名 | 放送局 | 披露曲 | 出典 |
---|---|---|---|---|
2015年3月13日 | ミュージックステーション | テレビ朝日 | 「アロエ」 「イヤな事だらけの世の中で」 |
[54] |
2015年4月3日 | 「アロエ」 「東京VICTORY」 「はっぴいえんど」 |
[55] |
ツアー
2015年4月から5大ドームを含む、11箇所全23公演のライブツアー「おいしい葡萄の旅」が始まった[56]。同ツアーは「愛媛県武道館」から始まり、発売日に発表された追加公演では、サザンとしては22年ぶりとなる「日本武道館」での公演も組まれた。
ライブを行った会場の中には、原子爆弾が投下された広島県や、横田めぐみが拉致された新潟県など、歌のテーマとリンクする地方の会場もあり、そこで「平和の鐘が鳴る」「蛍」「Missing Persons」を歌ったことを桑田は、「意図はしてないけど、ビリビリ感じるようなものがあった」「泣きそうになっちゃった」(「平和の鐘が鳴る」「蛍」に対して)、「平和の祈りとかそういうのとはまた違うものがあった」(「Missing Persons」に対して)という感想を述べている[57]。
注釈
- ^ 一部のメディアでは10年ぶりのアルバムとして表記されている[4][15]。
- ^ 桑田佳祐#思想・哲学、桑田佳祐#日本文化への造詣も参照のこと。
- ^ 桑田は自身が生粋の純日本人であることを公言しており、日本の文化や日の丸・国歌「君が代」を肯定する考えがあることも明かしている[28][29][30][31]。また、東日本大震災発生から一週間後に放送された自身のラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』では「日本の国民のみなさんは素敵で優しい人たちだと思う。この国に生まれて良かったなと思います」と発言している[32]。
- ^ 桑田は1984年に自身の著書で「平和」という言葉を「近ごろではあまりグローバルな意味で使わない、何だか身内で使う慣用句のようになっちゃった。“平和な人だね”とか“世の中平和”とか、皮肉で使われる言葉だね」[36]と述べていた。また、過去の楽曲では平和ボケをしている自分たちへの自戒を込めた旨を述べた事もある[37]。
- ^ 公式サイト、シングル「ピースとハイライト」及びベスト・アルバム『海のOh, Yeah!!』の歌詞カードには編曲:桑田佳祐 & 片山敦夫とクレジットされている[66][67][68]。
- ^ 佐村河内守#ゴーストライター問題を参照[22]:22。
- ^ 新疆とは新しい土地を意味する言葉である[74]。
- ^ かねてから桑田は風刺をテーマとした楽曲にシリアスな内容を取り入れることも多く、例として拉致問題や新疆ウイグル自治区騒乱などの重大な人権問題の被害者の心情に寄り添った内容も存在し、特に拉致問題に触れた「漫画ドリーム07」では「国交正常化などという美談で事実を風化させるなよ」[73]、ウイグルでの事件に触れた「漫画ドリーム09」では「かの国の統制と弾圧の下 涙溢る民族(たみ)」「『新疆』という意味[注釈 7]…これすら、妙だろ!?」などと歌っている[75]。
出典
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