葛西橋 葛西橋の概要

葛西橋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/29 03:47 UTC 版)

葛西橋(2008年10月)

概要

荒川の河口から約1.2 km[2][3]の地点に架かる橋で、右岸は江東区東砂六丁目、左岸は江戸川区西葛西二丁目である。橋は1963年(昭和38年)完成で、全長727.4メートル、幅員15.0メートル、最大支間長142.0[4]の鋼カンチレバー吊補剛桁橋の一等橋である。歩道は2メートルで橋の両側に設置されている。吊材を有するので一見吊橋に見えるが、吊材は補剛材にあたる部分であり桁橋の一種に分類される。首都高速中央環状線をアンダークロスする箇所には、荒川・中川間の中堤(背割堤)へ降りられるスロープが設置されている[5]。その中堤の長さは10.9メートル、幅員15.0メートル(車道11メートル、歩道2メートル × 2)で[6]、渡河区間の長さはさらに長い。河川区域外にある橋の前後の取付道路は高架橋を含み、長さは右岸側は242.5メートル、左岸側は181.9メートルで幅員は11.5メートルで歩道は設置されていない[6]

葛西橋(2019年1月)

橋の管理者は東京都建設局である[2]。また、災害時に防災拠点等に緊急輸送を行なうための、東京都の特定緊急輸送道路に指定されている[7]

本橋梁は特定非営利活動法人シビルまちづくりステーション(旧称ITステーション市民と建設)による「関東地域の橋百選」に選出されている[8]

橋の概要

  • 形式
    • 上部工 : 鋼カンチレバー突桁式吊補剛桁、活荷重合成格子桁
    • 下部工 : 井筒基礎、斜鋼杭基礎
  • 橋長 : 727.4 m[9][4](荒川渡河部565.2 m、中川渡河部162.2 m)
  • 幅員 : 15 m(車道11 m、歩道2 m × 2)
  • 支間割
    • 主径間 : (69 m + 142 m + 69 m)
    • 側径間 : 39.8 m × 11
  • 完成 : 1963年昭和38年)

橋の建設

橋は1959年(昭和34年)12月工事に着手され[9]1960年(昭和35年)3月1日その起工式が挙行された[10]。 橋種の選定は美観への配慮がされ、上部工に世界初の形式である突桁吊補剛桁式が採用された[11]。 橋の施工は主径間の製作および現地においての架設を横河橋梁(現、横河ブリッジ)が担当した。また、側径間の製作を宮地鉄工所(現、宮地エンジニアリング)、松尾橋梁(現、IHIインフラシステム)、桜田機械工業(サクラダ)が担当し、取り付け道路の高架橋の製作を東京鐵骨橋梁、東都鉄構が担当した[9]。また、下部工は井筒基礎および斜鋼杭基礎で鹿島建設が担当し、ニューマチックケーソン工法により行なった[9][4]。取り付け道路は鹿島建設が担当した。 橋は1963年(昭和38年)9月竣工され、同年10月7日開通式が挙行された[9][12]。事業区間は1162.7メートルにも及び、総事業費は19億3200万円であった[9]。 架設当初は都内で最長の橋で、橋の基礎としては深さ47メートルは日本で最深であった[10]

開通後

葛西橋の両詰の交差点で合わせて3.45 kmもの渋滞が発生していたが、下流に荒川河口橋が1996年(平成8年)7月4日開通したことにより渋滞が1.09 kmに緩和された[13]。また、同年7月16日の調査では葛西橋の交通量は53500台と開通前と比較すると16.5パーセント減少した[13]


  1. ^ 荒川河口橋 整備効果 - 国土交通省 関東地方整備局 首都国道事務所、2015年8月7日閲覧。
  2. ^ a b 企画展「荒川の橋」荒川・隅田川の橋(amoaノート第8号)” (PDF). 荒川下流河川事務所(荒川知水資料館) (2004年3月27日). 2005年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月8日閲覧。
  3. ^ 荒川下流河川維持管理計画【国土交通大臣管理区間編】 (PDF) p.73(巻末-7) - 国土交通省関東地方整備局 荒川下流河川事務所、平成24年3月、2017年3月8日閲覧。
  4. ^ a b c d 葛西橋1963-10-7 - 土木学会附属土木図書館、2017年2月19日閲覧。
  5. ^ ストリートビュー - google、2017年3月8日閲覧。
  6. ^ a b (三上澄 1964, pp. 51–52)
  7. ^ 特定緊急輸送道路図”. 東京都耐震ポータルサイト (2013年). 2017年3月8日閲覧。
  8. ^ 関東地域の橋百選”. 特定非営利活動法人 シビルまちづくりステーション (2012年). 2018年7月18日閲覧。
  9. ^ a b c d e f 土木学会誌 第四十八巻 第十一号” (PDF). 土木学会付属土木図書館. p. 100 (1963年11月). 2017年3月8日閲覧。
  10. ^ a b 土木学会誌 第四十五巻 第三号” (PDF). 土木学会付属土木図書館. p. 56 (1960年3月). 2017年3月8日閲覧。
  11. ^ 荒川下流域にかかる橋梁群の歴史的変遷” (PDF). 土木学会. p. 1. 2017年2月19日閲覧。
  12. ^ 土木学会誌 第四十八巻 第十一号” (PDF). 土木学会付属土木図書館. p. 口絵写真 (1963年11月). 2017年3月8日閲覧。
  13. ^ a b “荒川河口橋の完成で葛西橋の渋滞3分の1に”. 日本経済新聞 地方経済面 東京 (日本経済新聞社): p. 15. (1996年7月31日) 
  14. ^ 荒川 ・中川 ・旧中川 の橋” (PDF). 江戸川区 (2014年10月21日). 2017年2月19日閲覧。
  15. ^ 江戸川区の橋(2)荒川・中川・旧中川の橋 (PDF) p. 2 - 江戸川区郷土資料室、2014年10月21日、2015年8月7日閲覧。
  16. ^ B4-C2-22(1936/06/11) 1936年6月11日撮影の葛西橋周辺 - 国土地理院(地図・空中写真閲覧サービス)、2017年2月19日閲覧。
  17. ^ a b c 葛西橋1928-2 - 土木学会附属土木図書館、2011年6月17日閲覧。
  18. ^ 葛西小橋1928 - 土木学会附属土木図書館、2017年2月19日閲覧。
  19. ^ 奥戸橋1949-8-8 - 土木学会附属土木図書館橋梁史年表。2018年7月15日閲覧。
  20. ^ 旧葛西橋跡 - 江東区ホームページ、2014年11月1日閲覧。
  21. ^ 平成25年度 公共用水域水質測定結果”. 東京都環境局 (2018年2月9日). 2020年2月1日閲覧。


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