英連邦王国 概要

英連邦王国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 05:08 UTC 版)

概要

各国の地位・関係

英連邦王国を構成する国家は、コモンウェルスの加盟国でもある。そのうちイギリス以外は、かつてイギリスの植民地だったが、現在では、イギリスと対等な独立・主権国家であり、イギリスを含む各国は、人的同君連合(同一人が複数の国の君主を兼ねている・共通の中央政府を有さない・法人としての国家も別々)の関係にあたり、君主の地位(王位)も各々が独立している。

例えばチャールズ3世は、バハマで「バハマ国王」として、カナダで「カナダ国王」として、ツバルで「ツバル国王」として、それぞれ君臨する(君臨すれども統治せず)のであり、いずれも決して「イギリス国王」としてではなく、それぞれの独立国家の君主として君臨する。

20世紀の半ば(第二次世界大戦終結)までは「自治領(ドミニオン、: dominion)」と呼ばれていたものの、1926年の帝国会議で主権的地位がイギリスから承認され、1931年のウェストミンスター憲章の採択によって実質的に独立国となった。

このウェストミンスター憲章の時点では、まだ法人としてのイギリス国王への忠誠が自治領の条件として残っていたが、それも1949年のロンドン宣言によって不要となり、この頃から「自治領」の呼称も使用されなくなったことで、新たに「Commonwealth realm(コモンウェルス・レルム)」と呼ばれるようになった。

王位の関係・継承

現在の君主チャールズ3世であり、その王位の法定推定相続人ウィリアム皇太子である。

前述の通り、あくまでも同一人物を共通の君主として戴く独立国家どうしの関係のため、各々の王位は相互に独立している関係にある。それゆえ、王位継承の資格や順序を改める際には、各国で足並みを揃えて国内法を改正する必要があり、その実例として、2011年に王位継承順位などを改めるパース協定が各国間で締結され、全ての国において法的手続きが完了した2015年に新たな王位継承ルールが発効している。

現在のチャールズ3世のように君主が男性の場合、いずれの王位も名称が「King(キング)」となり、それが女性であれば「Queen(クイーン)」となる、という点も同様・共通である。

総督

君主は基本的にイギリスに在住しているため、イギリス以外ではその任命する総督が代理を務める(各国内の序列の上で国王に次ぐ次席にあたる)。

いずれの国も、政体の基礎としてイギリス式のウェストミンスター・システムを採用し、形式上の君主主権の下、「議会における国王」の概念に則り、法人としての国王に帰属する国王大権議会を通じて行使され、首相が実質的な政治リーダーを務める議院内閣制によって統治されており、君主や総督は、首相・内閣枢密院からの助言(輔弼)の通りに名目上の大権を行使するものとされ、その職務の多くが儀礼的・形式的な行為であり、「君臨すれども統治せず」の原則が貫かれている。

総督の人選も各国内で行われ、各国の政府(首相や内閣)から推薦された人物が君主によって総督に任命される。

英連邦王国市民

英連邦王国市民英語版は、かつてはイギリスに在留するための幅広い権利を持っていたが、1962年の移民法から次第に権利が制限されていった。1971年には祖先がイギリスで生まれた者に対する移民制限がいったん緩和されたものの、イギリスへの入国や在留には許可が必要となった[1]。1980年代にほとんどの植民地が独立国家となったため、英連邦市民のイギリス国内での特権は、国籍法改正によってほぼ抹消された[2]

ただし、市民には英国軍入隊資格があり、イギリス居住時には警察への外国人登録を免除される資格があり、イギリスの公務員職に就職できる場合もある。


注釈

  1. ^ 数値はイギリス連邦事務局における加盟国のデータから合計され、100,000未満を四捨五入している。
  2. ^ クック諸島ニウエは、ニュージーランドと自由連合を有する自治州として、ニュージーランド国王の主権下にある。ニュージーランドとその関連州は、トケラウおよびロス海属領とともにニュージーランド王国を構成する。
  3. ^ ガーンジーマン島ジャージー王室属領であり、英国国王の主権の下にある英国王室の自治領である。英国と合わせてブリテン諸島(British Islands)を構成する。

出典






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