群れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/26 02:15 UTC 版)
概要
群れは、特定の生物が同一種で集まっている状態で、動物に限らず植物でも所定地域に密集して生息している場合は、群生と呼ぶが、本項では主に動物のケースに関して述べる。特に動物はしばしば群れで行動することがあり、こういった群れの存在は動物行動学の分野で、更に役割分担など社会性が見出せる場合には社会生物学の分野で研究されている。このことについては社会 (生物)を参照のこと。
こういった群れは集団と言う数で淘汰(自然選択)の圧力に対抗しようとした生存戦略の一つ(個体ではすぐに天敵に食べられてしまうが、集まることで天敵を寄せ付けないなど)であると考えられる一方、群れで行動することで、生殖の面でも有利に働くと考えられている。
生存戦略と群れ
生存戦略の上でこういった群れが必ずしも生存に有利な選択だとは限らない。例えば、食料の問題や伝染病の蔓延、あるいは、地域的な災害により群れ全体が危機的状況に陥る可能性があるためである。
しかし、草食動物やあまり高次消費者ではない動物などの比較的食料が得易い種類の動物は、移動(渡り)しながら食料を得ることで、群れ全体が飢餓に陥ることを回避しているし、また、集合離散を繰り返すことで遺伝的多様性を維持しながら伝染病による群れの全滅を回避しつつ、弱った個体を天敵が積極的に捕食することで、病気の蔓延が防がれている。
生殖面では、群れを成すことで個体レベルでの生殖のチャンスが増大する一方、固定化された群れの場合、遺伝的多様性(→多様性)が失われて、群れ全体が緩やかに弱体化するおそれを含んでいる。しかし、後で詳しく述べるが、生殖のシーズンのみに群れを形成する生物では、遥かに緩やかな群れの構造が多様性を維持していると考えられる。その他、群れそのものに社会構造が特に無い場合は、他の同一種の群れが集合離散する場合もあり、こういった「群れ同士の出会い」によっても多様性が維持されると考えられる。
社会構造のある群れでは、構造から外れたオスがいわゆる「はぐれ」の形で群れを形成せず移動するなどして、他の群れに合流したり一時的に他の群れのメスと交流するといった形で、「遺伝器質の運び屋」として機能する様子もサルの群れなどに見られるところである。ライオンの場合では、群れは主に少数のオスと複数のメスおよび養育の必要な子供によって形成され、それ以外のオスは基本的に繁殖シーズンのみメスの群れと合流しようとする。
なお、各々の生物種に関して、後述の群れの利益と不利益の節を参照のこと。
群れと同じ種類の言葉
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