燃油サーチャージ 陸運

燃油サーチャージ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/03 14:02 UTC 版)

陸運

湾岸戦争以降の原油価格高騰に伴う措置として貨物運送分野で導入が始まった。設定の有無や金額については基本的に各運送会社の判断による。

カナダのカナダポストでは2003年平成15年)からfuel surchargeとしてレギュラー無鉛ガソリンの価格を指標とした割増料金を設定した。

米国ユナイテッド・パーセル・サービスフェデックスでは、2008年平成20年)からGround fuel surchargeとして高速道路スタンドでのディーゼル燃料を指標とした割増料金を設定。

日本では2008年平成20年)3月14日国土交通省中小運送業者向けに「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」を策定。以後、軽油価格を指標とした燃料サーチャージの運賃届出が行われているが、小口貨物輸送(宅配便)には適用されていない。

燃油サーチャージの問題

燃油サーチャージ表示

国土交通省は旅行業界に対し、燃油サーチャージを含んだ総額の表示を指示する通達を2008年6月30日に出した。[7]

航空会社の苦境

日本においては、2001年平成13年)に航空貨物で導入し、2005年平成17年)から航空旅客でも導入しているが、原油価格高騰に伴い値上げが続き、その金額は2008年には世界最高レベルに達したため、日系航空会社の乗客数の低迷を招いている[8]。原油価格は2008年末には30~40ドルとサーチャージ導入以前の価格になっているが、サーチャージは撤廃ではなく、ようやく最高額の半額程度と下落幅はかなり小さくとどまる見通しである。なお、同一路線でも航空会社によってサーチャージの額は異なるほか、コードシェア便の場合は、同一フライトでも購入する便名によって異なることがある[8]

燃油サーチャージ導入の背景にある燃油価格の高騰は、航空会社や海運会社の収益を相当悪化させており、例えば、2005年平成17年)9月にはデルタ航空ノースウエスト航空連邦倒産法第11章の適用を受けている。

トラック業界の苦境

原油価格の高騰により日本国内のトラック運送でも燃料コスト上昇を生じたが、十分な価格転嫁が行われず、陸運業者に深刻な負担増を強いている。全日本トラック協会の調査によれば一部でも価格転嫁できたのは4割ほどであった[9]

2008年平成20年)3月14日国土交通省は軽油価格上昇分の運賃への転嫁を進める為に、「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」を発表した[10]

同年5月には、日本での陸運最大手の日本通運が燃料サーチャージ導入を決め、ヤマト運輸佐川急便も導入に前向きである。しかし、トラック運送の9割以上を占める中小・零細企業では交渉力が弱いため、ガイドライン通りに実施できていない。

関連項目




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