東京創元社 概要

東京創元社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/03 00:38 UTC 版)

概要

1925年に矢部良策が大阪に創元社を設立し、東京支社も併設した[4][5]1948年に創元社(同名別会社)として独立[4]1954年に改組し、東京創元社を創立[5]。現在の社名は、当時の屋号、創元社東京支社にちなむ。

吉田満戦艦大和ノ最期』(1952年)、谷川俊太郎『二十億光年の孤独』(1952年)、田村隆一『四千の日と夜』(1956年)などを刊行したことでも知られる[6]

現在では翻訳推理小説、翻訳SFの老舗出版社として知られ[7]、多くの叢書を送り出している。特に創元推理文庫はミステリ専門の文庫としては日本の草分け的存在であり(1980年代までは海外作品専門)、古典的名作から最新話題作まで多数の作品を紹介しつづけている。当初は背にマークが付けられてジャンルを示しており、この文庫の特徴とされていたが1991年になくなり、同時に、ジャンルのひとつであったSF部門は創元SF文庫と改称された[8]

1984年10月には文庫では初めての国内ミステリとして「日本探偵小説全集」第1回配本『江戸川乱歩集』を刊行[8]。単行本では1988年5月に初の書き下ろしミステリ『五つの棺』(折原一)を刊行した[8]。以降、国内推理小説の新人作家・旧作の発掘ともに力を入れている。1990年から鮎川哲也賞1994年から創元推理短編賞(現在のミステリーズ!新人賞)を主催し[8][9]芦辺拓加納朋子近藤史恵愛川晶北森鴻大倉崇裕加藤実秋梓崎優美輪和音らを輩出。

また2007年より国内SFの旧作の刊行を始め、2009年からは新たな日本SFの書き手を発掘する創元SF短編賞を主催し[8]松崎有理高山羽根子宮内悠介酉島伝法らを輩出している。

創立当初カラーテーマミステリ、SF、ファンタジー、ホラーを主力としていたが、2022年から一般文芸の取り扱いも開始した[10]

小説以外には漫画や画集を出版している。

ノンフィクションも取り扱っており、ミステリやSFのガイドブック、囲碁のレーベル「碁楽選書」がある。

文庫本は、天(本の上部)のみ化粧裁ちせずに残す天アンカット方式を採用している。

創立60周年

1954年に東京創元社が創立してから2014年で60周年を迎えた[11]。それに先がけて、60周年記念キャラクターが2013年10月に誕生した。キャラクターデザインイラストレーターの加藤木麻莉。キャラクター設定は、黒毛に青い目のの子猫で、であるがウサギのふりをしている。2013年10月4日から11月4日を募集期間としてキャラクター名が公募され、11月15日に「くらり」に決まった。これは東京創元社の「創」の字を「倉+刂」と分解して読んだもの[12][13]。当初60周年記念のみのキャラクターの予定だったが、好評を得て翌2015年、東京創元社公式キャラクターとなった[14]

4月、創立60周年記念として、創元ファンタジイ新人賞の募集を開始[15]


  1. ^ 株式会社東京創元社 第65期決算公告
  2. ^ a b 株式会社東京創元社 第69期決算公告
  3. ^ 厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システムより
  4. ^ a b 会社案内|東京創元社
  5. ^ a b 矢部良策(やべ りょうさく)とは - コトバンク
  6. ^ 四千の日と夜 : 1945-1955 詩集 (東京創元社): 1956|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
  7. ^ WEBマガジン出版翻訳 原田勝の部屋-翻訳ミステリの老舗に聞く、編集者はここを見ている
  8. ^ a b c d e 年譜|東京創元社
  9. ^ 鮎川哲也(あゆかわてつや)とは - コトバンク
  10. ^ a b 創元文芸文庫”. 東京創元社 特設サイト. 2024年4月18日閲覧。
  11. ^ 2014年もよろしくお願いいたします | 東京創元社60周年
  12. ^ キャラクター名募集中です | 東京創元社60周年
  13. ^ 60周年 - 東京創元社
  14. ^ 「くらり」が東京創元社公式キャラクターになりました!”. お知らせ|東京創元社. 2021年8月26日閲覧。
  15. ^ 賞金は印税全額:東京創元社が創立60周年を記念した「創元ファンタジイ新人賞」を開催 - ITmedia eBook USER
  16. ^ 鮎川哲也賞 歴代受賞作”. 東京創元社. 2022年2月28日閲覧。
  17. ^ 創元推理短編賞 歴代受賞作”. 東京創元社. 2022年2月28日閲覧。
  18. ^ 創元推理評論賞 歴代受賞作”. 東京創元社. 2022年2月28日閲覧。
  19. ^ ミステリーズ!新人賞 歴代受賞作”. 東京創元社. 2022年2月28日閲覧。
  20. ^ 創元ファンタジイ新人賞”. 東京創元社. 2022年2月28日閲覧。
  21. ^ a b 紙魚の手帖Vol.01 加納 朋子(著/文) - 東京創元社”. 版元ドットコム. 2021年8月26日閲覧。
  22. ^ 島村浩子>「趣味は読書?」>「無料電子ブックにわたしの訳文が無断で大量に使用されてしまいました」
  23. ^ 「弊社刊行物に関するお詫び」【東京創元社】2024年3月18日付
  24. ^ 「東京創元社が翻訳者に謝罪 無料電子ブックで訳文を無断使用 原因はモラハラか」【ITmedia】2024年3月19日付
  25. ^ 東京創元社が満を持して贈る総合文芸誌『紙魚(しみ)の手帖』を創刊!”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2022年12月2日閲覧。





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