怪物王女 用語

怪物王女

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/30 18:57 UTC 版)

用語

怪物
作中に登場する異形の存在達の総称。姿や能力は共に多種多様で、「王国」と呼ばれる怪物の世界に暮らすものと、人間の世界で暮らすものとがいる。世界各地の神話・伝説や、近代のホラー映画・ホラー小説などに、その由来を見出せるものが多い。
王族
全ての怪物の頂点に君臨する種族。自らの血を死者に飲ませることで、自らを守る血の戦士(後述)を生み出す能力を持つ。成人前は外見も体力も人間とほとんど変わりなく、年齢に応じて成長・老化もする。身体能力も人間を大きく上回るものではない。成人後は光り輝く巨大な不死鳥となり、完全な不老不死の存在となるとされている。
成人になるにはすでに成人した王族の祝福を受ける必要があり、人間界のように一定の年齢に達することが成人の条件ではないとされている。その世代の王族が最後の一人になった時点で、その者が王位争いの勝者とみなされる。そのため、王族の掟に従い、ただ一つの王座を巡って兄弟姉妹間の殺し合いが行なわれている(物語開始時で既に死亡者も出ている)。しかしいつまでも決着がつかない場合は先祖である不死鳥の判断により、次世代の王族が生み出され、戦いは持ち越しとなるようである。
王族同士の戦いにおける掟も多数存在するようであり、軍隊を用いてはならない、自らが殺した者を自らの血の戦士にしてはならない(セブランはこの掟を破り、ミカサを殺害して彼女を血の戦士にしていた)、王者らしく戦うべきとの考えにより目立つ丘陵に居を構えるなどが作中で明かされているが、成人化に際しての条件は謎に包まれており、姫を含めた兄弟達さえも多くは知らない。
終盤、シルヴィアにより「不死鳥とは王族の統合体であり、存在するのは1体だけでそれが父母であり叔父であり先祖である」「王位争いを起こさせるのは、最も強い生き残りを生命エネルギーとして取り入れるため」「王位争いの勝者となった暁には、現在の王である不死鳥と存在をかけた戦いをしなければならない」などの見解が示されているが、作中でははっきりと明かされていない。
血の戦士
王族が死人に自らの血を飲ませる行為(契約)で生み出す、「半不死身」の生命体の総称。通常なら致命傷となるような外傷を受けても死ぬことがなく、多少の傷ならすぐに回復する。「破壊王女」においては、体の一部を切り落とされても繋げば元の戻る。更にキニスキーによると、首を落とされてもすぐ繋げば蘇生可能。また、契約した王族の危機に際しては無意識に身体能力が強化され、体が白色、瞳が金色(赤色となっている場面もある)に変化するのが特徴(アニメ版ではそう言った変化はなし)。ただし、原則では王族は自分で殺した者と契約を結んではならないという。
不死身である一方、数日に一度は王族の血を飲まないと効力が消えて死亡してしまうという弱点を持つ。また、一度血の効力が完全に切れてしまうと、蘇生は不可能。傷の大きさによって血の効力が切れるまでのタイムリミットが縮むらしい。また、王族の血は必ずしも最初の契約者のものである必要はなく、ヒロは姫の代わりにシャーウッドから血を与えられること、姫を襲った人狼の血の戦士は彼女の血を飲むことで補給を行っていた。存命している2人以上の王族の血を飲んだ場合、基本的に最初の契約者が優先されるが、「続・廃屋王女」などにおけるマドレーヌの描写より、最初の契約者が死亡した場合、次に血を飲ませた王族に血の戦士としての契約は移行する模様。
炎の戦士
何らかの理由で不死鳥の“浄火”の力を得た王族により、その炎の力を与えられた血の戦士が変化したもの(ギザイアは炎の戦士になる前に血の戦士にされていたかは不明)。血の戦士よりも屈強で回復力が非常に高く、胸に弾丸を二発受けても死なない。血の戦士は一度死んで蘇る際に一時的に行動不能に陥るが、炎の戦士にはその制約もない。炎を攻撃手段として発することも可能で、高温による攻撃にも耐性を持つ。傷の回復の際に高熱を発するため蒸気で視界が遮られるなど、戦いにおいては不利に働くこともある。また、生命維持に王族の血の補給も必要ないため、主たる王族のもとを離れても半永久的に生き続けることが出来る。「命の炎」として炎の力を他の血の戦士に引き渡すことも可能。
浄火
成人の王族である不死鳥が使用できる浄化の炎。人間界や王国の有事に王家が介入する際には、不死鳥によってこの力が行使されている。燃やすものの対象や範囲は問わず、特定の場所だけを一瞬にして痕跡一つ残さず消滅させることも可能。「体内から病原体のみを燃やす」「混成種に感染した人間を浄化する」など、対象を絞った使い方も出来る。エミール、姫、シルヴィアは魂だけの姿になることによりこの力が覚醒したほか、姫に教わった力としてフヒトも使用している場面もある。
血の騎士団
かつての姫の親衛隊。ヒロの先輩に当たる血の戦士達。姫の領土がセブランによって放たれた死霊によって侵され、姫の身に危険が迫った際、血の補給を絶たれる状態となることを承知で、姫をフランドルと共に逃がすために壁となり、最後まで忠義を尽くし守り抜きながら壊滅した。
王国
怪物の暮らす世界。具体的にどのような領域であるのかは明示されていないが、王国と人間界を隔てているのは「物理的な距離」ではないという(王国内を列車で移動するにもかかわらず笹鳴町を通過する必要があるなど、不可解な繋がり方をしている)。また、人間界と同じくが見えるらしい。
人狼
いわゆる狼人間。主にの上半身と特に肥大化した前腕を持つ姿で現われるが、完全な人間の姿への変身も可能。強靭で素手の戦いを得意とし、高い聴力(人間の姿の耳と別に、頭頂部に狼然とした耳が生える)と嗅覚を持ち、満月の夜には最大の力を発揮する。生命力もかなりのものであり、リザの例を見るにかなりの重傷でも大量に食料を食べることですぐに回復するようである。弱点は銀の銃弾。同胞意識が強く家名を重んじ、戦いに生きる誇り高い種族であり、戦いにおける名誉の死こそが誇りであり血の戦士となることは一族の誇りに反すると考えている。腕を胸の前で十字に組んで自分の名を名乗った後、「偉大なる戦士○○(自分の親の名)の娘(または息子)」と続けるのが同族間での礼儀である。
吸血鬼とは天敵同士で、過去には種族間での殺し合いの歴史がある。リザと令裡もその例に漏れず犬猿の仲である。
人間との混血で生まれた者はハーフブリードと呼ばれ、狼の腕と耳しか発現させることはできないが、本人の鍛え方次第で純血の人狼の戦闘力をも上回ることが可能である様子。
敵に対しては徹底的に正面からの攻撃を好み、さほど計画は立てないという性質がある様子。「力で押し通すのみという戦法は賢明ではないものの、数さえ揃えばその頑強さゆえに大変な脅威となる」と令裡にも評価されていた。
吸血鬼
人間と変わらぬ容姿を持ち、血液を能力の媒介とする点で王族とも類似性があるが、根本的には異種族に当たる。夜の支配者とも呼ばれ、夜に純血の吸血鬼を斃すことは出来ないとされる。体の一部が切り落とされても血の戦士と同じようにくっつければ元の戻る(追放王女)。飛行能力や催眠術、吸血による下僕化、コウモリへの分裂や使役など様々な能力を持つ。その一方で弱点も多く、日光の下では貧血に似た症状に陥って酷く動きが鈍るほか、水も苦手としている(風呂程度なら問題は無いが、雨天での行動は苦手で、さらには沼・川・海など自然に流れる水を恐れ、自力では渡ることが出来ない)。また、家人に招かれたことのない家には入れないという特殊な制限も持つ。ホワイト・アッシュの杭で心臓を貫かれると多くの場合は死に至る。十字架ニンニクは嫌うが、直接的な弱点ではない。
血を吸われて吸血鬼化した者は「下層吸血鬼」とされ、能力面で純血の吸血鬼より大きく劣る。純血の吸血鬼の多くは、高い知性と優雅な物腰が特徴である。生き血を好み、特に王族の血は最上のものとして狙う者も多い。
吸血鬼を血の戦士とすることは可能だが、血を力の拠り代とする種族であるせいか王族の血による支配は効かないため、家来にする王族はほとんど存在しないとされている。ただし定期的に王族の血の補給を受けなければ死に至るという制約だけは同じである。
人造人間
人を模した姿の自律機械。作中での定義は明確ではないが、王国の高度なテクノロジーによって造られたアンドロイドと考えられる。基本的に自由というものは存在しないらしく、王族付きの個体以外は王国での労働に従事しているらしい。多くは外見的に人間と変わりない(ただし王室の男子に仕える者は怪物的風貌の持ち主が多い)が、皮膚の下は機械で構成されており、非常に頑丈かつ重い。強靱な膂力と己の主に忠実な思考を持つ。戦闘用で無くともサーチ能力等を備えている。王室付き仕様の個体は王族に危害を加えることができないよう作られており、自らの主が死ねば、運命を共にし自爆する。自爆は主の死で自動的に行われるのかどうかは不明だが、「姫は死んだ」と聞かされたフランドルが先走って自爆しようとしたりしたこともある。
フランドルをはじめとした王室付きの者達は「ふが」もしくは「フガ」としか喋らないが、全ての人造人間がそうであるわけではなく、シエルや博士の元にいた人造人間は普通に会話が可能。この「ふが語」を理解できるのはシュタイン博士と王室付きの人造人間、王族達に限られるようである。また、王室付きの人造人間は名前が「フラ - 」となっている。
テレビアニメ版では人造人間の頭に付いているネジが緩むと制御がきかなくなり、暴走するという設定がある。
半魚人
主に湖沼地帯に生息する一族で、人間世界に住み、王国から見放されし忘却の一族と姫の前で大見得を切るが、実は穏やかで人の良い、田舎語を話す種族。「交渉王女」で初登場し、一度は姫を拉致するが、堂々としたその態度に圧倒されて負けを認める。以来、「連結王女」でキニスキー公と対決するにあたって姫の軍隊として出動したりと、姫の協力者となる。
日本の主な湖沼地帯に万遍なくテリトリーを持つらしく、「秘境王女」においてシャーウッドが王家伝統のフィールドワークとして絶滅危惧怪物の調査に赴いた際に、屈斜路湖の現地の半魚人が登場し、怪物にしては世間ズレした対応をしつつ、協力をしたりもしている。屈斜路湖の怪獣「クッシー」を飼い慣らしている描写も見られた。バレバレであるが正体を隠し砂漠で生活するグループや、海底神殿の罠に囚われたまま世代を重ねているグループも登場している。
死霊
1体でも人里に放り込むと血液を媒介に無限連鎖で感染・増殖する。知性はない。王国では例え王であっても取り扱いは例外なく禁じられている。
神族
王国に帰依せぬ者達であり、王国とは互いに相互不干渉の立場を取っている一族。「学怪王女」「千年王女」で南久阿が登場した。
南久阿の弁によると、人間界に住み、かつては山野に在って祟り神のように人々に畏怖され祀られることで生贄を得て、その代償に人間を庇護していたそうだが、現在ではそのような慣習が失われてしまったため、闇に潜み、僅かな人を捕らえ捕食することで生命維持を行っているという。
数多くの特殊能力を持っている。南久阿は成人した王族同様、時間や空間を自在に扱える力を持つようであり、かつ人狼であるリザの超感覚・嗅覚でも気配や匂いを感知できないなど、一切の気配を消して潜伏することが可能なようである。しかし他の神族と呼ばれる者達も同様であるかどうかは定かではない。
人の魂を手段を選ばず食らって人間界に災いをもたらす存在は特に邪神族と呼ばれており、「湯煙王女」「夜桜王女」で狐の邪神、「続・学怪王女」で蛇の邪神が登場している。実力派の吸血鬼である令裡であっても、かなり危険な存在と言わしめるほどの脅威である。

  1. ^ ユニバーサル・ピクチャーズ講談社、マッドハウス、ムービックランティス
  2. ^ “「怪物王女」新シリーズ、「A.I.C.O. 」コミカライズなどシリウスで新連載3本”. コミックナタリー (ナターシャ). (2017年11月25日). https://natalie.mu/comic/news/258070 2021年5月14日閲覧。 
  3. ^ TBSアニメーション 「怪物王女」公式ホームページ Character 姫 (CV:川澄綾子)
  4. ^ 光永康則「回帰王女」『怪物王女』9巻、講談社2009年5月22日、179頁。
  5. ^ 当初は「ISUZU」と実名のメーカーロゴのエンブレムが描かれていたが、途中から「NISUZU」という架空のメーカーロゴになっている。
  6. ^ 原作の救急車の車体に「静岡県」との表記が見える。
  7. ^ 光永康則原作、月刊少年シリウス編集部監修『怪物王女 OFFICIAL FANBOOK』講談社2007年8月23日、64頁。
  8. ^ 光永康則原作、月刊少年シリウス編集部監修『怪物王女 OFFICIAL FANBOOK』講談社2007年8月23日、44頁。
  9. ^ a b 順位が確定している王子はフヒト(第1王子・厳密に言えば先代の王族に当たるが作中では長子として数えられている)、サリエリ(第3王子)とセブラン(第5王子)であるが、ギリアムがエミールの兄であり、「会談王女」にてシュタイン博士により未出演の生き残りの王族がいないことが示唆されたので、ギリアムの順位は第2王子、エミールの順位は第4王子の可能性が高いと考えられる。
  10. ^ 王族は希少怪物の調査と保護を伝統的なフィールドワークとしており、エミールが人魚を保護したのもその一環。
  11. ^ 光永康則「熱砂王女」『怪物王女』8巻、講談社2008年11月21日、200頁。
  12. ^ 月刊少年シリウス』2013年1月号カラーページより。
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 少年シリウス オフィシャルサイト|怪物王女|既刊コミック|講談社コミックプラス”. 講談社. 2013年8月10日閲覧。
  14. ^ a b c d e 少年シリウス オフィシャルサイト|怪物王女|既刊コミック|講談社コミックプラス”. 講談社. 2013年8月10日閲覧。
  15. ^ 在京キー局ではテレビ東京に並ぶとされ、流血絡みに至ってはテレビ東京よりも厳しい傾向が強い。対照的に系列局の毎日放送 (MBS) や中部日本放送 (CBC) は緩い方である(特にMBS)
  16. ^ 怪物王女DVD Vol.6及びVol.7収録「怪物王女」迫井監督とふでやすかずゆきインタビュー参照
  17. ^ 「『怪物王女』インタビュー――シリーズ構成&脚本:ふでやすかずゆき」『TBSアニメーション 「怪物王女」公式ホームページTBS
  18. ^ DVD9巻収録。2008年4月10日BS-iで放送。
  19. ^ 月刊少年シリウス』2011年5月号。
  20. ^ 月刊少年シリウス』2011年8月号。






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