御柱祭 担当地区

御柱祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/28 04:40 UTC 版)

担当地区

御柱の担当地区に関しては古来の記録によると鎌倉時代などでは信濃国全体からの奉仕があったようであるが江戸時代には諏訪藩の支配のもとに領民だけで曳行が行われる現在に近い形が出来上がっていたと推定されている。1879年明治12年)に諏訪郡が発足すると当時の村別に上社、下社の担当地区割の枠組みが定められた。その後御柱担当の抽籤制度の導入を経て、1902年(明治35年)の御柱祭協議に於いて下社担当地域の氏子数の増加により、4村(中洲・湖南・四賀・豊田)を下社から上社へ変更した上で枠組みが再編された。この協議の際に下社の御柱抽籤は廃止されている。現在では上社側が約11万人、下社側が約8万6000人と逆転しているが、再編の話はない。第二次世界大戦後の昭和の大合併により同じ枠組み内でも市町村が異なる地区があるが、御柱担当の地区割はそのまま維持されている。

諏訪大社上社
上社の担当地区は当年の2月15日に上社本宮での抽籤式に於いてくじ引きを行い担当の御柱を決定する。伐採は茅野市玉川の諏訪大社境内地で社有の御小屋山より、当年に茅野市玉川神之原区の伐採奉仕会(通称:山造(やまづくり)衆)が行う。御小屋山での御柱用材調達は伊勢湾台風による倒木等の影響で用材が枯渇したため1992年(平成4年)以降は近隣の別の山より伐採してきたが、2022年(令和4年)の御柱祭では30年ぶりに御小屋山から8本の御用材を調達し、2021年10月に伐採が行われた。担当地区は山出し、里曳きともに担当の御柱のみに携わる[注 1]
  • 2022年の担当地区(抽籤結果)
    • 本宮一之御柱 玉川・豊平(茅野市)
    • 本宮二之御柱 原(原村)・泉野(茅野市)
    • 本宮三之御柱 宮川・ちの(茅野市)
    • 本宮四之御柱 富士見(富士見町)・金澤(茅野市)
    • 前宮一之御柱 四賀・豊田(諏訪市)
    • 前宮二之御柱 湖南・中洲(諏訪市)
    • 前宮三之御柱 湖東・北山・米沢(茅野市)
    • 前宮四之御柱 本郷・落合・境(富士見町)
諏訪大社下社
下社の担当地区は取り決めにより固定されており、担当する柱は毎回同じである。また、山出し、里曳きで担当する柱や地区割が変わるという上社とは違う慣習がある。岡谷市川岸を例に挙げると山出しの曳行が春宮三、里曳きは初日が秋宮一の曳行、2日目は岡谷市湊・長地との交替で秋宮二の曳行、最終日は湊・長地と合同で秋宮二の建御柱と決まっている。岡谷市長地は春宮二を、岡谷市湊は春宮四を山出し、里曳き、建御柱まで一つの地区だけで担当する。
  • 山出しの担当地区
    • 秋宮一之御柱 下諏訪町(1・2・3・7・9区)
    • 秋宮二之御柱 諏訪市上諏訪
    • 秋宮三之御柱 下諏訪町(4・5・6・8・10区)
    • 秋宮四之御柱 岡谷市旧市内(岡谷・新屋敷・小尾口)
    • 春宮一之御柱 岡谷市旧市内(小井川・小口・今井・西堀・間下・上浜・下浜)
    • 春宮二之御柱 岡谷市長地
    • 春宮三之御柱 岡谷市川岸
    • 春宮四之御柱 岡谷市湊
  • 里曳きの担当地区(初日)
    • 秋宮一之御柱 岡谷市川岸
    • 秋宮二之御柱 諏訪市上諏訪
    • 秋宮三之御柱 下諏訪町(2・3区)
    • 秋宮四之御柱 下諏訪町(4・5・8・10区)
    • 春宮一之御柱 岡谷市旧市内全地区
    • 春宮二之御柱 岡谷市長地
    • 春宮三之御柱 下諏訪町(1・6・7・9区)
    • 春宮四之御柱 岡谷市湊
  • 里曳きの担当地区(2、3日目)
    • 秋宮一之御柱 諏訪市上諏訪
    • 秋宮二之御柱 岡谷市湊・川岸・長地
    • 秋宮三之御柱 岡谷市旧市内全地区
    • 秋宮四之御柱 下諏訪町全町
    • 春宮一之御柱 岡谷市旧市内全地区
    • 春宮二之御柱 岡谷市長地
    • 春宮三之御柱 下諏訪町(1・6・7・9区)
    • 春宮四之御柱 岡谷市湊

注釈

  1. ^ 2016年平成28年)の御柱は抽籤式よりも先の前年に伐採されたので伐採時だけの担当地区を決めて作業に携わり、曳行担当の抽籤は例年通り2月に行なわれた。
  2. ^ 旧来は樹皮を剥がす行為は各地区の裁量だったが、モミは腐りやすく建御柱後に樹皮が落下するなどの危険防止のため現在は諏訪大社側の要請により全て剥がしている。

出典

  1. ^ a b c d e 御柱祭公式ホームページ 御柱について
  2. ^ 茅野市公式ホームページ
  3. ^ 関東の旅 関東観光情報ポータルサイト
  4. ^ a b 小宮の御柱
  5. ^ 『新編日本古典文学全集 1 古事記』小学館、2004年(ジャパンナレッジ版)、p. 107-111。
  6. ^ a b 『古事記の本』 学研
  7. ^ 宮坂光昭『諏訪大社の御柱と年中行事』郷土出版社、1992年、91-93頁。
  8. ^ 宮坂光昭「古墳の変遷から見た古氏族の動向」『古諏訪の祭祀と氏族』 古部族研究会 編、人間社、2017年、79頁。
  9. ^ 宮坂光昭 『諏訪大社の御柱と年中行事』 郷土出版社、1992年、154-156頁。
  10. ^ 御柱の歴史〜諏訪市博物館「御柱とともに」より〜”. 御柱祭いくぞやい. 2019年3月31日閲覧。
  11. ^ 寺田鎮子、鷲尾徹太 『諏訪明神―カミ信仰の原像』 岩田書店、2010年、53頁。
  12. ^ 寺田鎮子、鷲尾徹太 『諏訪明神―カミ信仰の原像』 岩田書店、2010年、50-52頁。
  13. ^ a b c d 「春宮一」建て御柱で転落事故 2人死亡2人けが 信濃毎日新聞 2010年5月9日
  14. ^ 最終章の御柱祭 建て御柱で転落事故 2人死亡2人けが[リンク切れ] 信濃毎日新聞 2010年5月9日
  15. ^ 御柱祭で転落、男性死亡 垂直に立てた柱から 産経新聞 2016年5月5日
  16. ^ 諏訪大社「御柱祭」で転落死は「宮司の犯罪」? 弁護士「告発」に賛否 J-CASTニュース(2016年5月27日)
  17. ^ “御柱祭転落死:宮司を不起訴 /長野 - 毎日新聞” (日本語). 毎日新聞. https://mainichi.jp/articles/20170701/ddl/k20/040/313000c 2018年5月6日閲覧。 
  18. ^ 諏訪・御柱祭(1998年)”. NHK. 2021年6月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月11日閲覧。
  19. ^ オペラ「御柱」 (operaonbashira) - Facebook






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