強制執行 不動産・動産の引渡し・明渡しの実施手続

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強制執行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/02 23:17 UTC 版)

不動産・動産の引渡し・明渡しの実施手続

不動産引渡し・明け渡し強制執行

金銭以外の物(不動産動産)の引渡し・明渡しの強制執行については、不動産強制執行申立書の提出により直接強制(直接的な履行)の方法がとられる。この申立書には、引渡命令の裁判の確定裁判による執行文付債務名義の添付が必要である(民事訴訟法114・122条・民事執行法22-1・25・26・83-5条項)。執行官はこの添付文書を審査し誤りがなければ、以下の手続により強制執行を実施する。

  • 不動産の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の目的物に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行われる(法168条)。
  • 従来、第1回の執行実施は債務者への明渡し催告にとどめ、債務者の事情に配慮して明渡し等の断行日を定める運用がされてきた。そこで平成15年にこれを制度化し、明渡し催告の制度を創設した(法168条の2)。
  • 引渡しの期限は原則として催告の日から1か月以内である(同条2項)。

動産の引渡しの強制執行

有価証券を含む動産の引渡の強制執行は、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法による(169条1項)。

動産の引渡しの強制執行の場合、差押禁止動産も、引渡執行の対象となる。執行対象動産内に目的外動産があるときは、不動産の引渡し等の執行の場合に準じる(169条2項)。

不動産・動産を問わず、第三者が強制執行の目的物を占有している場合には、債務名義の名宛人ではない第三者に対して引渡しの強制執行は原則としてできない。ただ、その第三者が債務者に対してその物を引き渡す債務を負っている場合には、執行裁判所が引渡請求権を差し押さえ、その請求権の行使を債権者に許す旨の命令を発する方法で引渡執行をすることができる(170条1項)。

作為・不作為請求権の強制執行

給付義務以外の作為義務及び不作為義務の強制執行については、民法414条1項で、債務者が任意履行をしないときは、債務の性質がそれを許さない場合を除き、その強制履行を裁判所に請求できるものとしている。

従来は、代替的作為義務については代替執行による(民法414条2項)、非代替的作為義務については間接強制による(民法414条2項には適用されず、民事執行法の方法によるもの)、そのうち債務者の意思表示を求める義務については裁判による代替を認める(民法414条2項ただし書)、不作為義務については、違反した物の除去に関しては代替執行(民法414条3項)、将来の違反の禁止に関しては間接強制によるものとしていた。

経済活動の自由化・多様化を受けて契約内容も多様化し、その結果、債務者が給付義務以外の義務を負う場合が増加しており、そのような義務の強制執行の重要性も増している。義務履行の最後の手段の間接強制については、活用が議論され、補充性については批判もあった。

その結果、平成16年改正法では、その適用範囲が大幅に拡大され、多様化した債務内容に応じた執行方法の区分も大きく見直されている。




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