岩木山 概要

岩木山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/20 22:55 UTC 版)

概要

岩木山は円錐形の成層火山[7]、山頂は三つの峰にわかれており、弘前側からみた右が巌鬼山(岩鬼山)、左が鳥海山とされるが、これらは火山活動により生じた外輪山の一部である[8]。三峰の中心にある岩木山は、鐘状型の中央火口丘であり[8]、山頂に一等三角点が設置されている[1]。もともと山頂にあった直径800mの破壊された火口に溶岩ドームが生じて、現在の三峰のもとになり[7]、それらの溶岩ドームは1万年より新しい[7]。岩木山の西麓や南麓にも3個の側火山があり、他にも山腹に多数の爆裂火口がみられる[7]。また、 山頂から北東にある赤倉沢の馬蹄形火口は大規模な山体崩壊を示しており、北東山麓の岩屑なだれ堆積物には、かつての崩壊の影響による、多数の流れ山地形がみられる[7]。なお、岩木山の地質は安山岩SiO2 56 - 64%)からなる[7]

比較的新しい火山のため、高山帯と広葉樹林帯の間に針葉樹林帯が見られず、ダケカンバがそのまま矮小化していく特異な光景が見られる。特産種であるミチノクコザクラ(ハクサンコザクラに近縁種で花がより大型である)と、本州では数少ないエゾノツガザクラなどの高山植物が自生している[8]

津軽富士とも呼ばれている郷土富士で、太宰治はその山容を「十二単を拡げたようで、透き通るくらいに嬋娟たる美女」と喩えている[9]。富士山と同様に、古くから山岳信仰の対象とされ、山頂には岩木山神社の奥宮が置かれた。江戸時代には弘前藩の鎮守の山とされ、歴代の藩主が岩木山神社に寄進を行ったため、その社殿は荘厳なものとなり、「奥の日光」とも呼ばれた[8]

山域は1975年(昭和50年3月31日)に、津軽国定公園に指定され[10]、南麓に広がる2,587 haの高原は青森県の岩木高原県立自然公園に指定されている[11]


注釈

  1. ^ 岳登山道には、「弘前市道常盤野4号線」という路線名が付されている。弘前地図情報サイト ひろさき便利マップ(弘前市ホームページ内) - 市道認定路線を選択した上で、表示される地図を拡大し、岩木山頂へ延びる黒ラインをクリックすると、路線名などが表示される。

出典

  1. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2014年7月12日閲覧。 “基準点コード TR16040728401”
  2. ^ 日本の主な山岳標高(青森県の山)”. 国土地理院. 2011年6月23日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 日本活火山総覧:岩木山 - 気象庁
  4. ^ 深田久弥『日本百名山』朝日新聞社、1982年7月、47-50頁。ISBN 4-02-260871-4 
  5. ^ 岩崎元郎『決定版 岩崎元郎の新日本百名山登山ガイド〈上〉―礼文岳、秋田駒、天上山など東日本エリア50山』山と溪谷社、2006年3月、38-40頁。ISBN 4635530469 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 「お山参詣について」岩木山観光協会
  7. ^ a b c d e f 気象庁:岩木山
  8. ^ a b c d e f g h i 「弘前市周辺」弘前市公式ホームページ
  9. ^ 太宰治『津軽』新潮社、2004年6月。ISBN 4101006040 
  10. ^ 津軽国定公園”. 青森県 (2010年1月5日). 2011年6月23日閲覧。
  11. ^ 岩木高原県立自然公園”. 青森県 (2010年1月8日). 2011年6月23日閲覧。
  12. ^ a b 青森県・岩木山の噴火実績” (pdf). 社団法人 砂防学会. 2015年10月26日閲覧。
  13. ^ 岩木山北麓の火山麓扇状地 季刊地理学 Vol.47 (1995) No.4 P285-301
  14. ^ 日本の火山 岩木山、小菅正裕
  15. ^ 『青森県市資料編 中世3 北奥関係資料』、2012年、p.558-559
  16. ^ a b c 津軽岩木スカイラインとは │ 津軽岩木スカイライン”. 株式会社岩木スカイライン. 2014年8月4日閲覧。
  17. ^ a b 営業案内 │ 津軽岩木スカイライン”. 株式会社岩木スカイライン. 2014年8月4日閲覧。
  18. ^ 日本城郭大系 2巻、新人物往来社、1980年
  19. ^ 平成25年度 青森県内スキー場情報|青森県観光情報アプティネットaptine”. 公益社団法人 青森県観光連盟. 2014年8月7日閲覧。
  20. ^ 岩木山登山マップ”. 弘前市. 2011年6月23日閲覧。
  21. ^ 『花の百名山地図帳』山と溪谷社、2007年5月、33-34頁。ISBN 9784635922463 
  22. ^ 岩木山 http://blogs.yahoo.co.jp/yamaji20062001/35719742.html
  23. ^ 田沢拓也『空と山のあいだ―岩木山遭難・大館鳳鳴高生の五日間』角川文庫、2003年1月。ISBN 4043689012 
  24. ^ 岩木山の避難小屋”. 弘前市. 2011年6月23日閲覧。






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