室生赤目青山国定公園 室生火山群地域

室生赤目青山国定公園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/18 08:12 UTC 版)

室生火山群地域

位置

室生火山群は奈良県の東北部・三重県の中西部に位置する、主として山岳景観に優れた地域。両県県境の倶留尊山一帯に見られる柱状節理の地形、赤目四十八滝香落渓に見られる渓谷、奈良県宇陀市の名所旧蹟などが特筆される。

地形地質

トロイデ火山と火山岩の浸蝕による柱状節理が地形の特色。第三紀層生成後の噴火で岩山形成、その後の浸蝕作用で地形が形成された。赤目峡、香落渓は新火山岩に属する石英雲母安山岩で、暗灰色で目は細く節理状。県境附近にある大洞山尼ヶ岳等も独特の地形景観を示す。

植物

この地域は暖地性植物の北限地帯であるとともに、寒地性植物の南限地帯である。全般的に常緑広葉樹が多く、寺院維持のため造林された杉、檜も多い。高地では概ね温帯性落葉広葉樹林が占め、それ以下は暖帯性常緑広葉樹林が多い。有名なものとしては、国の天然記念物に指定されている宇陀市・室生山暖地羊歯群落向淵吐山スズラン群落、県指定記念物の佛隆寺の桜の巨樹、曽爾村門僕神社のお葉付イチョウ、葛のヒダリマキガヤの群生、東吉野村円覚寺のギンモクセイの樹木、鎧岳・兜岳・屏風岩の岩壁植生などがある。

文化

室生寺五重塔(国宝)

古代文化の発生の地である奈良盆地に接し伊勢に到る交通の要所にあったため、山地にもかかわらず文化景観は多様。奈良県側では、宇陀市の室生寺で、国宝指定の平安建築を見ることができる。三重県側では、赤目四十八滝の行法道場・延寿院の石造灯籠が文化財指定されている。

景観

荷担滝(赤目四十八滝)
  • 赤目四十八滝
    名張川の支流、丈六川に数多ある滝の総称。室生火山群独特の典型的な浸蝕による岩壁・奇岩と、滝の大きさに比して滝壺が広く深いのが特色。
    日本の滝百選にも選ばれている。
  • 香落渓
    香落渓は名張川の支流、青蓮寺川にある渓谷で、柱状節理による斧で刻んだような壮大な断崖が聳え立つ。
  • 奥香落
    奥香落は香落谷の小太郎岩から連なる山岳景観で、曽爾三山とともに室生火山群の代表的な地質景観。
    広義には渓谷を隔てて古光山、亀山、倶留尊山、曽爾高原を含む総称。
  • 倶留尊山
    この地域の最高峰で、室生火山群に属す海抜1,037mの塊状火山。奈良県と三重県の県境上にある。三重県側は急峻な柱状節理が露出、山麓の池の平高原ではのどかな山村風景が広がる。奈良県側には広々とした裾野があり、曽爾高原といわれる全山ススキ野原でその景観は非常にすばらしい[独自研究?]
  • 曽爾三山
    曽爾三山とは鎧岳・兜岳・屏風岩を合わせた総称(屏風岩、兜岩および鎧岩)で、国の天然記念物に指定されている[3]
    鎧岳は鎧の腹巻を正面から眺めた形から、兜岳は兜の針金に似ていることから名がついた。屏風岩は北東から南西にかけて約2km、高さ約200mに及ぶ壮大な柱状節理による断崖。
  • 室生寺
    奈良時代末期に興福寺系の僧によって創建された山寺である。
    平安時代初期を代表する仏像、絵画と共に、金堂・五重塔は平安時代初期建築の代表的な遺構といわれる。
  • 大和高原南部地区
    この地域には、初瀬宇陀川断層崖を構成する貝ヶ平山(822m)、香酔峠(564m)、額井岳(821m)があり大和高原の南限にあたる。貝ヶ平山は山域から二枚貝等の化石が多く見つかる。額井岳は別名「大和富士」と呼ばれる端正な姿である[独自研究?]
  • 鳥見山
    鳥見山上には神武天皇が大和平定のとき皇祖の神霊を祭ったといわれる鳥見山中霊畤がある。
  • 大洞山尼ヶ岳一帯
    大洞山は円頂丘火山の典型で、このスロープのうち中太郎生の東方から三多気にかけては、倶留尊山山麓の池の平に似た高原である。
    青山高原で代表される布引山地から尼ヶ岳・大洞山の山麓をよこぎり、倶留尊山の麓の池の平から奈良県境の亀山峠を経て、お亀池から室生寺に到る東海自然歩道は、公園利用上のメインルートである。

  1. ^ a b c 国定公園一覧 - 一般財団法人自然公園財団
  2. ^ 国定公園の概要” (PDF). 環境省. pp. 4 (2012年4月1日). 2013年5月19日閲覧。
  3. ^ 国指定文化財等データベース「屏風岩、兜岩および鎧岩」”. 文化庁 (1934年12月28日). 2013年5月19日閲覧。
  4. ^ 諏訪兼位・宮川邦彦・水谷総助・林田守生・大岩義治(1997)"紀伊半島中部,中央構造線の大露頭:月出露頭(三重県飯南郡飯高町月出ワサビ谷)"地質学雑誌(日本地質学会).103(11):XXXV-XXXVI.
  5. ^ 田中喜久雄. “伊勢湾台風で一部露出―月出の中央構造線露頭地”. 歴史の情報蔵. 三重県環境生活部文化振興課県史編さん班. 2016年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月18日閲覧。
  6. ^ 月出の中央構造線”. みんなで、守ろう!活かそう!三重の文化財 / 情報データベース. 三重県教育委員会事務局社会教育・文化財保護課. 2016年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月18日閲覧。






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