宅地建物取引士 業務処理の原則

宅地建物取引士

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 12:10 UTC 版)

業務処理の原則

  • 宅地建物取引士の業務処理の原則(法第15条)
宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地又は建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならない。
国土交通省の判断(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方[9]:第15条関係、公正誠実義務について)によれば、宅地建物取引士は宅地建物取引の専門家として、専門的知識をもって適切な助言や重要事項の説明等を行い、消費者が安心して取引を行うことができる環境を整備することが必要がある。この為、宅地建物取引士は、常に公正な立場を保持して、業務に誠実に従事することで、紛争等を防止するとともに、宅地建物取引士が中心となって、リフォーム会社、瑕疵保険会社、金融機関等の宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携を図り、宅地及び建物の円滑な取引の遂行を図る必要があるものとするとされている。
  • 信用失墜行為の禁止(法第15条の2)
宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
国土交通省の判断(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方:第15条の2関係、信用失墜行為の禁止について)によれば、宅地建物取引士は宅地建物取引の専門家として専門的知識をもって重要事項の説明等を行う責務を負っており、その業務が取引の相手方だけでなく社会からも信頼されていることから、宅地建物取引士の信用を傷つけるような行為をしてはならないものとする。宅地建物取引士の信用を傷つけるような行為とは、宅地建物取引士の職責に反し、または職責の遂行に著しく悪影響を及ぼすような行為で、宅地建物取引士としての職業倫理に反するような行為であり、職務として行われるものに限らず、職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれるとされている。
  • 知識及び能力の維持向上(法第15条の3)
宅地建物取引士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない。
国土交通省の判断(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方:第15条の3関係、知識及び能力の維持・向上について)によれば、宅地建物取引士は宅地建物取引の専門家として、常に最新の法令等を的確に把握し、これに合わせて必要な実務能力を磨くとともに、知識を更新するよう努めるものとするとされている。

注釈 

  1. ^ 宅地建物取引士登録を受けた者が死亡した場合は、相続人がその死亡を知った日から30日以内。
  2. ^ 20歳未満でも親権者から営業の許可を受けた者(民法第6条)や、婚姻による成年擬制(民法第753条)により、成年者と同一の行為能力を有するに至った未成年者は、登録可能である。
  3. ^ a b 執行猶予を受けていて、取り消されることなくその期間が満了した場合、刑法第27条により「刑の言渡しは、効力を失う」ため、5年待たずとも登録を受けることができる。
  4. ^ 「暴力関係の罪」とは、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定されている罪、傷害罪(刑法第204条)、傷害現場助勢罪(刑法第206条)、暴行罪(刑法第208条)、凶器準備集合及び結集罪(刑法第208条3項)、脅迫罪(刑法第222条)、背任罪(刑法第247条)、暴力行為等処罰ニ関スル法律に規定されている罪をいう。いっぽう、過失傷害罪(刑法第209条)はここでいう「暴力関係の罪」に含まれない。
  5. ^ 「事務所」とは、本店(会社以外では主たる事務所)、宅地建物取引業を営む支店、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で宅地建物取引業に係る契約締結権限を有する使用人を置くもの、をいう。本店はそこで宅地建物取引業を営んでいなくても事務所とみなされる。
  6. ^ 「事務所以外の場所」とは、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外の場所、10区画以上の宅地または10戸以上の建物の分譲を行う際の案内所、10区画以上の宅地または10戸以上の建物の分譲の代理・媒介を行う際の案内所、業務に関する展示会その他の催しを実施する場所、をいう。なお、契約の締結や申込を受けない場所については、専任の宅地建物取引士の設置義務はない。
  7. ^ 宅地建物取引業を営もうとする者は、2つ以上の都道府県の区域内に事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては国土交通大臣の、1つの都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。

出典 

  1. ^ 国土交通省:宅地建物取引業法の改正について
  2. ^ 不動産適正取引推進機構:不動産取引に関する資格・試験制度の変遷
  3. ^ 一般財団法人不動産適正取引推進機構:不動産売買の手引き
  4. ^ 宅建士スタートアップフォーラム開催について(主催:業界団体、後援:国土交通省)
  5. ^ 法務省:日本法令外国語訳データベースシステム戸籍法施行規則法令翻訳(Regulation for Enforcement of the Family Register Act)
  6. ^ 法務省:法令外国語訳業務の流れ
  7. ^ 国土交通省:日本での不動産取引に関する基礎的な法制度等を英語で紹介します
  8. ^ 国土交通省:Flow of Real Estate Transactions(住宅取得・賃借に関するフロー )
  9. ^ 国土交通省:宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 より引用。
  10. ^ 35条書面とは|不動産用語を調べる【アットホーム】”. www.athome.co.jp. 2024年1月19日閲覧。
  11. ^ 国土交通省:第19回国土審議会土地政策分科会:杉田不動産業政策調整官発言 より引用。
  12. ^ 37条書面とは|不動産用語を調べる【アットホーム】”. www.athome.co.jp. 2024年1月19日閲覧。
  13. ^ 国土交通省:宅地建物取引士に係る法定講習充実検討委員会検討結果報告書
  14. ^ 大学生におすすめの資格は?就職活動で活かせる資格を6つ紹介! | 資格の情報サイト | スクールセレクト
  15. ^ 不動産適正取引推進機構:宅地建物取引士資格試験委員(順不同、敬称略)
  16. ^ NYの弁護士よりも東京の宅建士は希少性がある? 「悪文で難易度を上げているだけ」”. ITmedia ビジネスオンライン. 2022年11月7日閲覧。
  17. ^ 法律第百三十一号(昭三二・五・二七)”. www.shugiin.go.jp. 2022年11月7日閲覧。
  18. ^ a b 宅地建物取引主任者資格試験事業
  19. ^ 東京都宅地建物取引業協会 より引用。





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